泥万次郎

#ビジネス 、#投資 を中心に、経済、経営、社会、哲学へ。 日本経済を憂えており、何と…

泥万次郎

#ビジネス 、#投資 を中心に、経済、経営、社会、哲学へ。 日本経済を憂えており、何とか再興の糸口を見つけたい。 #ナシーム・N・タレブ の代表作 #ブラックスワン 、 #反脆弱性 からリスクに強い経営を探ります。 https://twitter.com/deracine1026

マガジン

  • 今こそタレブの「反脆弱性」を読み解き強くなる

    N.N.タレブの「反脆弱性」は、新たな発想であり、災難や苦しみにより逆に強くなるということ。 いま、コロナ禍やブラックスワン的な災害、経済危機に揺れる今こそ、反脆弱性を手に入れたい。

  • コロナ禍に今一度「仕事」について考える

  • ビジネスマンのためのブラックスワン対策講座

    ブラックスワンという予測不能の大惨事に対してどう対処するのか? 経営との関連付けをしながら具体的に論じる。

  • ブラック・スワン (ナシーム・ニコラス・タレブ著) 要約版

    30分で読めて理解できる「ブラック・スワン」 どうすればブラックスワンを回避できるか? 新型コロナはブラックスワンか?

最近の記事

花と人が会話する日

俳句において花や木、林や森、さらには野菜や果実まで、様々な植物が詠まれています。特に植物には季節性があるため、季語として俳句においては重要な要素になっています。 植物は、私たちが見て、写生して、鑑賞する対象物であり、静かに被写体として、その美しさや健気さ、豊潤さが私たちに感動を与えてくれています。まさに動き回る動物が「動」ならば、植物は「静」であり、常に受け身として静かに佇んでいるように見えます。それが、私たちが日々感じている植物というものではないでしょうか。 人は自ら

    • 「性的求愛」行動としての芸術とビジネス

      1.性的求愛のための身体・行動 誰もが知っているクジャクの美しい羽根、雄鹿の巨大な角、これらはメスに対する性的なアピールであり、繁殖のための競争を勝ち抜くためのディスプレイだ。多くの動物において、その目的のために驚異的な形やサイズになっており、これらは、実は一般的な生存条件において大きなハンディキャップになっているのである。例えば、クジャクの装飾は、飛行にとって不利であり、尚且つ敵への視認性を高めることになる。 ダーウィンはこれを「性淘汰」と呼び、自然淘汰のモデルと峻別し

      • わたしの目は節穴なのか?  ~視覚優位の人間の弱点~

        1.変異と選択(淘汰) 生物において遺伝子の「変異」が起こると、仮にそれが生存率を高めるものであれば、生存競争の中でその遺伝子は淘汰されずに残る。特定の変異した遺伝子が生き残ることを「自然選択」と言われる。この「変異」と「自然選択」により「進化」が起こる。これがあの有名なダーウィンの進化論である。 そのダーウィンが、「種の起源」を書き上げる際に、もっとも苦労したと言われているのが「目」の進化についての説明である。ヒトのこの複雑な目の機構がこのような変異と自然選択によって

        • 万物を決定するのは「流れ」と「デザイン」なのか?

          ルーマニア出身で、熱力学分野の鬼才で米国版ノーベル賞と言われる、ベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞した、エイドリアン・べジャン(デューク大学教授)が、1996年に発表した奇妙な「法則」がある。それは、彼自身が「コンストラクタル法則」と呼ぶ、まったく新たな「物理法則」なのである。それを正確に定義した言葉は次のようになる。 この法則は、革命的とも言われているが、一方で革命的であるほどその思考を受け入れるの時間がかかるものである。この法則の驚くべき点はその普遍性にある。物理

        花と人が会話する日

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          24本
        • コロナ禍に今一度「仕事」について考える
          4本
        • ビジネスマンのためのブラックスワン対策講座
          11本
        • ブラック・スワン (ナシーム・ニコラス・タレブ著) 要約版
          20本

        記事

          はたして株価の予想は可能なのか?

          ここに、永い間様々な学者が悩み、また日々多くの投資家やアナリストが必死に取り組んできた、とても古くて新しい命題がある。「はたして株価を予想することは可能なのか?」 ある人いわく「目隠しをしたサルに新聞の株式欄をめがけてダーツを投げさせ、そのダーツのあたった銘柄でポートフォリオを組んでも、専門家が注意深く選んだポートフォリオとさほど変わらぬ運用成績をあげる」。これがランダム・ウォーク理論で、「ウオール街のランダム・ウォーカー」の著者のバートン・マルキ−ルが懇切丁寧にその証明を

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          会話するバクテリア、思考する細胞               ~微生物の恐るべき能力~

          1.細菌(バクテリア)という生命体 微生物というのは、目に見えない生物のことで、例えば細菌(バクテリア)の一種で私たちの腸にすみついている大腸菌は1000分の1ミリです。酵母菌はそれより大きく100分の1ミリくらいだと言います。そしてそれらの生き物は単細胞、つまり細胞1つ1つが独立した生き物です。 人間社会では、考えなしに行動をする人のことを「この単細胞!」と揶揄することがあります。ところが最近の研究でいろいろ驚くべきことが判明してきました。単細胞でも、お互いに会話し、

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          みんな失敗してきたんだ

          1.半分以上負けても勝つ方法 誰でも負けたくない、失敗したくないと思うのは当然です。でも何度も負けたり、失敗が続いたら落ち込みますよね。 しかし、半分以上負けても、いやほとんど負けても、トータルで勝つ方法があります。確率の低いテールイベント(正規分布などで百回とか千回に一度しか起こらない事象)によって莫大な利益を得ることができる仕組みがあるからです。 ベンチャー投資がひとつの例です。ある米国の投資会社が調査した結果、ベンチャー投資が今まで行われた2万1千社のベンチャー

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          「4割打者の絶滅」の理由と「中小企業支援の逆説」

          1.ランダムウォーク理論 ランダムウォークというものがあります。酔歩、つまり酔っ払いの千鳥足がよくその例に出されます。つまり、帰趨本能を失った酔っ払いがフラフラと道を歩くと右へ行ったり左に行ったり、まったく予測不能な動きをすること、これがランダムウォークです。これは液体や気体中に浮遊する微粒子が、不規則に運動する現象と同じであり、ブラウン運動と言われています。 株式の世界においても、ランダムウォーク理論があります。それは、株式の値動きは、どの時点においても長期的にも短期

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          地震予知は100%不可能である  ~「予測不能性」とは~

          現代の科学者は、一見関係のないような事象、例えば地震、山火事、株式市場の暴落、新たな技術革命、政治的な動乱、戦争などの様々な分野における変化や大惨事について、共通する性格を発見している。それは「べき乗則」という観点である。 世界で一番有名な「砂遊び」の話をしたい。パー・バク、チャオ・タン、クルト・ヴィ―ゼンフェルドという3人の物理学者による「砂遊び」である。テーブルの上に砂粒を一粒ずつ落としていくのである。何が起こるであろうか。大きな砂山がまず出来上がる。その斜面はだんだん

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          「分からない」ことを「分かる」大事さ 

          大学を出て総合商社に入社した。商社なので、ドルやポンドなど外国通貨の契約がたくさんあった。会社では、財務部の為替専門の部署の人が、社内の若手社員を中心とした受渡業務の担当者に対して、毎週「為替研究会」を早朝に開催していた。目的は、為替動向を予想し、為替のリスクヘッジを促すためだ。具体的には、外国通貨の先物の為替予約をするかどうかの判断にしてください、ということだった。 その為替研究会では、様々な経済環境や需給動向を分析して、通貨の為替レートが今後上がるのか下がるのか、また短

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          なぜ経営の本をいくら読んでも会社がうまくいかないのか? 

          本屋さんに行けば、各種の経営本、ハウツー、経営者の「おれはすごい経営者なんだ」的な経営者の自叙伝がところ狭しと並んでいる。また、経営学や経営理論の書籍も数多くあり、どの本がいいのか迷うのではないだろうか。 星野リゾートの星野佳路氏は、今や様々な経営手法がある意味で常識化し、皆がそれを学び、実行することで、どこの会社も大きな差がなくなっている、とTVの経営塾で発言していた。例えば、顧客満足度や社員のモチベーションアップ、ブランド戦略、SNSの活用、競争戦略などである。これらを

          なぜ経営の本をいくら読んでも会社がうまくいかないのか? 

          エントロピーと俳句

          エントロピーという言葉は、なんだかむかし物理か何かで習ったような記憶はないでしょうか? あるいは、エントロピーという言葉はたまに聞くけど、改めてどういう意味なのか問われると分からないし、なんか自分の生活とは何の関係もなさそうだし、まあいいか、という感じでしょうか。 いわゆる熱力学の第2法則が、エントロピーの法則です(第1法則はエネルギー保存の法則)。エントロピーは、一言でいうと、ものの乱雑さや拡散の度合い、であり、それは時間とともに増大する、というのが法則です。 例えば、

          エントロピーと俳句

          「変化に適応するものが生き残る」は誤り 〜 ダーウィンの進化論を正しく理解し企業を進化させる方法 〜

          1.ダーウィンの名言? チャールズ・ダーウィンの有名な言葉と言えば、「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである」だと言われている。小泉首相がこれをスピーチに使ったのは有名な話であり、いまだにこの言葉は様々なサイトに氾濫しており、経営セミナーや社長のスピーチでよく使われている。 某建材メーカーの現在TVで流れているCMでも、このように言っている。 進化論の中でダーウィンは言いました。 「強いモノが生き残れるのでは

          「変化に適応するものが生き残る」は誤り 〜 ダーウィンの進化論を正しく理解し企業を進化させる方法 〜

          私たちはみんな違う世界を見ている  ~生物における「環世界」とは~

          生物は、自らの機能や進化に応じて、ものを見たり感じたりしている。単純な生物ほど、知覚する対象は限られている。複雑な生物ほど、様々な知覚器官が発達しており、より詳しく周りの世界を知覚することができる。 生物学者のヤーコブ・フォン・ユクスキュルは「生物から見た世界」(1934年)において、動物は自らの知覚器官を通して知覚記号を受け取り、それが知覚標識となり自らの環境である「環世界」が出来上がっていると言う。そして、その知覚標識は、その生物の作用器官を通して行動につながるわけであ

          私たちはみんな違う世界を見ている  ~生物における「環世界」とは~

          企業の組織横断的取組の方法としての「統合」と「共同責任」              ~メアリー フォレット(1868-1933)の経営思想~

          企業を中心とする現代の組織においては、権限がいたるところに存在し、様々なリーダーが組織の上から下までいろいろな立場にいてコントロールをしている。その中で、これらの分散された権限やリーダーシップをどのように結合するかが現在のビジネス組織の重要問題となっている。 フォレットは、「私が調査した企業では、最大の弱点は部門間の関係にあった。多くの工場の能率は、不完全に作られた調整のシステムによって低められている」と言う。そして、あらゆる調整は、部門の長たちの間の親密さの程度に、つまり

          企業の組織横断的取組の方法としての「統合」と「共同責任」              ~メアリー フォレット(1868-1933)の経営思想~

          リーダーシップの本質 「目に見えないリーダー」とは? ~ メアリー フォレット(1868-1933)の経営思想 ~

          メアリー・フォレットは、1924年ロンドンでリーダーシップについての講演を行っている。驚くべきことにその内容は極めて現代的であるだけでなく、今なお専門家にインスピレーションを与え続けている。 ハーバード大学のロザベス・モス・カンター教授は、「(フォレットの)後に出版されているリーダーに関する無数のハウトゥ―書も、彼女の定義を書き換えることができずにいる」(以下引用はすべて「管理の予言者」、太字は筆者)と、フォレットの先見性を讃えている。そのフォレットの考える「リーダーシップ

          リーダーシップの本質 「目に見えないリーダー」とは? ~ メアリー フォレット(1868-1933)の経営思想 ~