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AIは研究の楽しみを奪うか

21世紀は間違いなくAIが人類の知能を完全に超える世紀になるだろう。
囲碁や将棋といったゲームでは既にトッププロですらAIに歯が立たない。
昨年話題になったMidJourneyというAIは、プロが数ヶ月かけて描くような絵を数秒で描く。
AIの発展は研究の世界にも及び、AlphaFoldをはじめとするAIが新しい研究成果を生み出し始めている。

そのような中で、AIが研究の楽しみを奪うことはないのだろうか

このポストでは、研究の魅力とAIの発展について思うことを書くことにした。

研究の魅力

まず、研究の魅力とは何かについて整理する。
研究の魅力とは、私が思うに「科学は神が出題したパズルである」ということだ。
人間はパズルを解くのが好きである。そうでもなければ、暇つぶしに数独やクロスワードを解く人間などいないはずだ。
その中でも科学の研究とは、最も難しく、最も魅力的なパズルなのだと思っている。
これまでに生まれてきた1000億を超える人の誰1人として答えを知らない。
研究の魅力とは、神が出題した科学というパズルを解くことそのものなのだと私は考えている。
(その答えが時に人の役に立つということもまた研究の魅力だと思う)。

AIの発展はこの研究の魅力を奪うかもしれない。
AIが完全に人類の知性を超えるとすれば、人類はそのパズルを解く上で役割を失う。
例えるなら、自分がクロスワードを解いている時に、横から大天才がそれを取って1人で解き始めるようなものだ。

科学というパズルの完成

私はこのような研究とAIの発展について、考え方を変えることにした。
それは「科学というパズルが完成に近づいている」という考え方だ。
パズルを解くとき、大抵ラストはあっけないものだ。
パズルでは解き始めが最も難しく、ピースが8割ほど埋まると、後は作業的にピースが埋まるようになる。
研究におけるAIの発展は、パズルにおける律速段階だったのかもしれない。
人類は700万年かけて科学のパズルを解き続け、ようやくAIの発展という律速段階を超えた。
そう捉えると、人類の知性とAIの二項対立でもなく、人類がパズルを解く能力がないと嘆くこともない。

残された仕事

人類が科学のパズルを解く上で残された仕事は、AIシンギュラリティに向けて足りないピースを埋めることかもしれない。
それによって科学は完成に近づき、私たちはその観測者になることができるのかもしれない。
それは結構楽しみだなと思う。

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