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#028:学習する組織におけるリーダー

兵庫県神戸市を拠点に活動しております「まじわるデザイン」代表の戸田裕之です。
「ムダをなくしたいだけ」です。

引き続き「学習する組織」から、第15章「リーダーの新しい仕事」を紹介します。
組織やチームのことを考える時、リーダーをどう扱うかは1つのポイントです。

(リーダーに関する誤解)
・「私たちがこうした人たち(経営者など)を「リーダー」と呼ぶ場合、もっと広いメッセージを暗号化しているのである。それは、「変化をもたらす力をもっているには階層のトップにいる人たちだけであり、階層の下のほうにいる人たちはその力をもっていない」というメッセージだ。このことは深い悲劇的な混同を物語っている。」
・「基本的に、リーダーに対する従来の考え方の土台にあるのは、社員は無力であり、個人のビジョンに欠け、変革の力を身につけることができず、これらの欠陥を修復できるのはひと握りの偉大なリーダーだけだという前提である。」
→リーダーは、すなわち「いわゆる偉い人」でなければならないという根強い考えがあります。
私は、例えば、経営者は1つの機能で、リーダーもまた別の機能と考えます。必然性があって、経営者とリーダーの両方の機能を同じ人が担うこともありますが、あくまでもたまたまです。

(リーダーとは)
・「英語の「lead」(導く)という動詞は、インド・ヨーロッパ語の語根の「leith」から来ている。これは「敷居を超える」という意味で、ときには死と関連するイメージをもたらす。」
・「本当の意味で指導(リード)する人たちは、おおよそ自分のことをそのように考えてはいないようである。彼らが目を向けているのはつねに、何をしなくてはならないかであり、自分が活動しているより大きなシステムであり、自分が活動しているより大きなシステムであり、自分が誰とともに未来を創造するかであって、「リーダー」としての自分自身ではない。」
→この「敷居を超える」という定義はとてもしっくりきます。
スポーツクライミングに「リード」という種目があります。これは、本格的なクライミングで岩場に先頭でルートを作りながら登って行く人の機能を模擬した競技で、自分の命綱で、かつ、仲間の命綱にもなるロープを掛けながら壁を登ります。
これがまさにリーダーで、いつも同じ人が担うわけでなく、そのときどきの状況で人が変わることになります。また、偉いとかそういうことではなく、誰かがやる必要があるから、淡々とやるものです。

(リーダーの役割:設計者)
・「学習する組織において、リーダーは設計者であり、教師であり、執事である。」
・「「皆さんの組織が一隻の遠洋定期船だとしましょう。そして、皆さんがそのリーダーだと想像してみてください。さて、皆さんの役割は何でしょうか?」(中略)見過ごされているリーダーシップの役割とは、「船の設計者」である。」
・「リーダーの設計の仕事がもたらす影響は広範に及ぶ可能性があるが、往々にして設計者の功績になることはほとんどないことを心得ることが重要だ。(中略)良い設計の証は、危機がないことであるー「リーダーは英雄である」という組織文化ではうまく注意を引くことはない。」
→船のリーダーは船長さんと言いたくなりますが、そもそも誰かが設計しないと船ができません。ちょっと意地悪なひっかけみたいではありますが。
本当に理想的な設計ができれば、なにごとも起きないので、英雄的なリーダーは必要なくなります。
「まじわるデザイン」としては、こういう設計ができれば設計者冥利に尽きます。

(リーダーの役割:教師)
・「偉大なる教師の周りには学習する人がいる。偉大なる教師は学習する場を創り出し、人々をその場に招き入れる。」
・「真の教師になるためには、まず、学習者にならなくてはならない。」
→教師としてのリーダーは、自分が学びたくなる場を作り、そこで自分が学びます。だから人がついてきます。
井庭崇さんと市川力さんが提唱している「ジェネレーター」の考え方も参考になります。
「自ら面白がりながら創造・探究を進め、周囲も巻き込んで刺激・誘発しながら、みんなで成し遂げてしまう人」(井庭崇さん)

(リーダーの役割:執事)
・「「導く人々に奉仕するリーダー」という考え方は、理想主義的と思われるかもしれないが、実用的でもあると私は確信している。」
・「執事を務めることとは(中略)、要するに「全体にとって正しいことをする」ことである。」
→リーダーは「やらせる人」みたいなイメージがありますが、それではうまく行かないことは、実感あるでしょう。同時に、「しょうがないから全部後始末する人」でもありません。「全体にとって正しいこと」をしていれば、必ず、まわりの人がついてきます。
・「サーバント・リーダとして活躍できているかを、どうすれば判断できるのか
「その人のまわりの人々が成長していますか」」(ロバート・K・グリーンリーフさん)

写真は、香川県琴平町にある「金陵の郷」。昔の酒蔵が博物館になっています。日本酒好きにはたまりません。
===誰一人取り残さない===


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