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「ARCHIVE」ロゴデザインの裏側

ダメな業界

こんにちは、初めまして。グラフィックデザイナーの森田です。

恐らく業界外の多くの皆さんは「一体デザイナーって何をしてるんや」って感じだと思います。同じくクリエイターと呼ばれる種族でも、例えば靴職人や美容師、カメラマンにイラストレーター等は、なんとなく想像がつきやすい。

しかしデザイナーはどうか。結構ブラックボックスに見えると思うんですよね。他のデザイナーさん達も開示したくない訳ではないと思うんですが、業界的に昔から仕事はアウトプットされたものだけを見せる、ということが慣習みたいになってます。そして恐らくそうすることが「カッコいい」と。。。

そんな業界だから、(特にデザイナーには)記憶に新しいオリンピックのエンブレムの問題が浮き上がってきたと考えています。デザイナーって奴らは何やってるか分からない、何だかデザイナーっていう仕事が高尚で、自分達を一般の人間とは違うって思ってる・・・・そういう風に見られるようにデザイナー側からしてしまっている。。。

昔はそれでよかったのかもしれません。だけど、もうそれが通用する時代じゃない。僕たちデザイナーの考え方、仕事に対する思考方法、オリエンからアウトプットまで、出来る限り公開し、こちらから世間に興味関心を持ってもらえるように努力する。それがすごく大事な時代だと思います。

かく言う僕も、自分のwebサイトではカッコつけてアウトプットだけ偉そうに載せている人間です。ですのでこれからnoteを使って極力裏側・・・って言い方もなんかウザいですね。別に裏も表もなく、何やってるかっていうのを公開していこうと思っています。もちろん全ての仕事が出来る訳ではありません。業務上口外できないこともありますが、その上で出来る限りを。

「ARCHIVE」のロゴ制作

さて、前置きが少々長くなりましたが、今回は「カメラマッチングサロン ARCHIVE」さんのロゴ制作についてお話しさせていただきます。

そもそもこのお話は、もともと友人の美容師兼カメラマンのMさんから頂きました。
Mさんは昨年からカメラマンとして活動し始めたのですが、最初にカメラマンを養成する講座で写真を学び、そこからとあるカメラのオンラインサロン等を経て今に至ります。まだ経験は浅いですが、僕も時々仕事をお願いしますし、頼りになる実力を持った方です。
で、そのMさんが入会していたオンラインサロンがどうも上手く稼働していないらしく、カメラマン同士の交流もあまりないし、そもそもMさんのようにいきなりカメラマンになった人の動く場所もない。だったら自分でそんな場所を作った方が早いんじゃないか、ということでした。

前後しますが、この話は「オンラインサロンを始めるからロゴを作って欲しい」と依頼を頂いてから聞きました。

話は変わりますが僕はデザインをする上で
「なぜそれが必要なのか」
「なぜそれが役に立つのか」
「なぜデザインしないといけないのか」

の『3大なぜ』を明確にしないと仕事に入れません。ちなみに「それ」というのはお客さんの事業や活動のことです。

正直な話、単純に「見た目」だけを求めているならクラウドソーシングなどに発注した方が早いし安い。圧倒的に。クオリティもなかなか高いです。少し前に覗いた時、ちょっとみなさんすごくてビックリしました。

だけど、例えば今抱えている隠れた問題解決だったり、ツールへの展開、将来的な展望など、見た目以外の「機能性」や「愛着」をデザインに求めるのであればまだクラウドソーシングでは限界があるかな、というのが今の僕の考えです。

もちろん中にはしっかり話を聞いてくれる方、考えてくれる方もいらっしゃると思います。だけどやっぱりそれは本当に限られた人ではないかと。なぜかというと、「ギャラが超安い」から。正直な話、あまりにも対価が安いと制作側としては極力時間をかけたくないと思うものです。。。もし僕がクラウドソーシングに作り手側として登録したら、やっぱり今ほど思考を巡らせないだろうな・・・と思います。

さて、今回の案件を先ほどの『3大なぜ』に当てはめて端的に述べると

・なぜそれが必要なのか
A.フリーカメラマンのための適切な場所がないから

・なぜそれが役に立つのか
A.場所を提供することで、カメラマン同士の交流が生まれ、本来繋がり得なかった関係ができることで個では成し得なかった価値が生まれる

・なぜそれにデザインが必要なのか
A.大々的に始めるのは不可能で、まずは身近なところから少しずつ広げていく。したがって「おしゃれさ」や「小規模ながらもちゃんとしてる感」を出して見てもらいやすくして宣伝していきたい。

とのことでした。
そして大事なことがもう一つ。今後の展望として、カメラマンだけでなく様々なクリエイターを繋ぎ合わせるプラットフォームにしたい、というご要望がありました。

これを踏まえて僕が出したデザインする上での制約は3つ。

1)素人ウケするデザインでありながらも、モノづくりをしている人種に好まれやすいもの
2)将来への展望を踏まえ「カメラ」感は出さず、様々な業種に対応できるよう抽象的なロゴにする
3)少人数の運営であるため、Mさんがやる気になるデザイン

ちなみに3ですが、これはある程度の組織になるとまた考え方は変わってきます。一人の好みを反映するのはよくありません。
今回の場合は何よりMさんの個人の頑張りが今後のサロンを左右するので、Mさんにロゴを好きになってもらい、「よし!」って思ってもらうことが重要だと考えました。

髪を切ったりお気に入りの服やアクセサリーを身につけて出かけると、自分は何も変わってないのになんだかルンルン気分になったり、妙に自身がついたりするじゃないですか。今回はそんな効能をロゴに込められたらいいな、と思いました。

「デザインの力」をすごく信じているデザイナーを時々見かけるのですが、僕はそれは誤解だと思っています。もし「デザインの力」というものがあるとするのであれば、それは企業や組織を後押しする力です。あくまで自転車を漕ぐのは企業であって、デザインは暗い道を照らすライトであり、漕ぐのを少し楽にする変速機だと思います。

さて、オンラインサロンの名前は「ARCHIVE」。様々な人・業種・価値観を保管する場所でありたい、とのこと。先ほどの3つを自分に課しつつ、あーでもないこーでもないとスケッチしていきます。

PC上でもうーうー言いながらスケッチしていきます。仕事でここが一番苦しいところです。

方向性が固まったらディティールを検証します。

コピーを何枚もとってガサガサさせたり。

僕はロゴの場合、基本的にはフォントもオリジナルで作ります。何でかっていうと、ロゴは組織を表す「顔」だから。既存のフォントであれば他にも使われてる可能性は十分あって、それって顔のコピーだと思うんです。「完全オリジナルの顔だ」と言えることも、運営する上で例え小さくても自信の一つにして欲しいんです。

そうして完成したロゴがこちらです。

日本語ver.と英語ver.は、カナとアルファベットは印象がかなり違うので、それぞれの要素の空間を変えたりしています。
そしていずれ「カメラマンマッチングサロン」は外してもいい。それでも成り立つデザインというのも意識しています。

今回は予算の関係、それとMさんからそこそこ信頼して頂いているので(?)1案のみのプレゼンでした。そして結果Mさんからとってもご好評いただけて即決でした。しかし以上が僕のデザイン制作の全てではなく、あくまで「今回の場合」です。案件によっては当然複数の提案、そして色々なツールへの展開性、ロゴの育ち方も併せてプレゼンしたりもあります。

そして何よりロゴで大切なのは、「初心に返らせる力」だと考えています。企業や組織には、難題にぶち当たったり迷走したり、いろんな困難があると思います。そんな時、ふとロゴを見つめて「何でこの活動を始めたんだっけ」って思ってもらえるロゴをつくりたい。いや、お客さんと一緒につくっていく感覚かもしれません。マジで。これまでもお客さんに言われたからこそアウトプットできたロゴはたくさんあるんです。

今回はロゴ制作の一例を書き記しましたが、今後も他のロゴの一例、ロゴ以外のデザイン作業を時々書いていこうと思っています。

デザイナーはアーティストではありません。一般人です。


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森田慶賢

DESIGN WORKという屋号でグラフィックデザイナーとか編集とかやっています。 https://d-w.cloud

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