見出し画像

「DESIGN CAMP@奥大和2022 ・1歩目の報告会」レポートVol.1/マルサンフットウエアーのその後

海外デザイナーと国内デザイナーが奈良県・奥大和地域内の事業者に寄り添い、「販路拡大」につながるようなデザインを提案するプログラム「DESIGN CAMP@奥大和」。

2016年度にスタートし、6回目を迎えた「DESIGN CAMP@奥大和2022」は、2022年8月22日(月)〜9月5日(月)に開催。
国内デザイナーと通訳・コーディネーターは事業者のもとで3日間の就労体験をし、海外デザイナーはオンラインで見学・情報を共有しました。

「DESIGN CAMP@奥大和2022」参加者

5日目は会場を「オフィスキャンプ東吉野」に移し、就労体験で得られた様々な課題についてチームで議論を重ね、デザイン提案に向けて検討。
最終日の9月5日(月)にはその成果を事業者にプレゼンテーションしました。
各チームのプレゼンテーション内容は下記リンクをご覧ください。
(記事が公開されたらリンクを貼ります)

株式会社吉田屋
大橋茶屋
株式会社マルサンフットウエアー

今後につながる、「一歩目の報告会」

最終日のプレゼンテーションをもって約2週間に渡るプログラムは終了しましたが、「DESIGN CAMP@奥大和」の目的はデザイン提案をするだけではなく、下記3点も視野に入れているのです。

「相互の暮らしや文化について深く理解し合い、『縁』をつないでいく」
「事業者の今後の新たな事業展開の足がかりを作る」
「奥大和地域の魅力を国内外問わず広く発信する機会を目指す」

そのため、各チームはプログラムを終えてからもコミュニケーションを取り続け、今後につながるような企画を進めていました。

個性豊かな3チームは、どのような動きをしていたのでしょうか?

本レポートでは、2023年2月9日(木)に行った「DESIGN CAMP@奥大和2022」のその後を伝える、「1歩目の報告会」の様子をレポートします。


マルサンフットウエアー3回目のクラウドファンディングにチャレンジ

「1歩目の報告会」の会場は事業者として参加した吉田屋さんのご自宅。

事業者、デザイナー、通訳・コーディネーター、奈良県庁の担当者など20名近くが集まり、海外デザイナーや会場に来ることができないメンバーはオンラインで参加しました。

「一歩目の報告会」当日の様子


はじめに、マルサンフットウエアーチームが報告しました。

<参加メンバー>
会場参加:株式会社マルサンフットウエアー・西邨さん、デザイナー・長光さん、通訳コーディネーター・荒木さん
オンライン参加:台湾デザイナーのHansさん

「足の裏に笑顔を」のテーマをもとに、9月に様々なデザインを提案したマルサンフットウエアーチーム。
11月には台湾からHansさん、Ginさんら3名が奈良を訪れ、西邨さん宅にホームステイしました。

その時のことを西邨さんは
「ホームステイの経験がなかったので最初は不安があったのですが、3人が帰る頃には寂しくなって、『またね』というほどでした。
短い時間の中で御所市も周り、マルサンフットウエアーがどういうところで育ったのか感じていただけたと思います」(西邨さん)

その後、西邨さんは11月には3回目となるクラウドファンディングに挑戦。
9月にデザイナーたちが提案した「MARUSAN GOSE」ブランドのサンダルをお披露目し、支援総額451,000円、目標達成率150%と成功をおさめました。

「今回のクラウドファンディングを通じて、今後は戦略を立てながら進むことをより一層意識しようと思いました」(西邨さん)

デザイナーの長光さんはこのクラウドファンディング用の写真撮影や、文章などをサポートしたそうです。

日時計のように影が動く、木製の看板を作りました

その3ヶ月後の2023年2月15日(水)〜17日(金)には『東京インターナショナル・ギフト・ショー』に『奈良県履物協同組合連合会』の1社として出展した西邨さん。
そこで1つの制作物をお披露目しました。

「日本全国にマルサンフットウエアーのサンダルを届ける動きができたらいいねと長光さんと話していたんです」と西邨さん。
そして、作ったのがサンダルをモチーフにしたオリジナルの看板でした。

折り畳み式の看板は軽量で持ち運びにも便利

「持ち運びができるように折り畳むことができてコンパクトになるもの、そして重くないものにしました。
『MARUSAN GOSE』ブランドの進み方や西邨さんの人柄などを見ていると温かみのある素材のほうが良いと思い、木の看板にしたんです。
手作りの風合いが欲しかったので、レタリングや足型のくりぬきなどオールハンドメイドで僕が作りました。

長光さんのオールハンドメイド

看板を屋外に置くと、太陽光を通してくりぬいた靴の形が映し出されます。その影が日時計のように動いていく様子で70年近く続いている御所の履物の歴史そのものを表現できたらと思っています」(長光さん)

そしてこの看板は「ギフトショー」のマルサンフットウエアーブースでデビュー。「今後も一緒に色々なところを回っていきたい」と西邨さん。

「東京ギフトショー」でお披露目された『MARUSAN GOSE』のロゴ

オンラインでその様子を見守っていた台湾デザイナーのHansさんも、「いい看板ですね!」と笑顔でコメントしていました。

台湾デザイナーのHans氏

西邨さんのパワーを唯一無二なものにしていきたい

9月のデザイン提案からの4ヶ月間を長光さんは
「西邨さんはパワフルで暴れ牛でもあるので、手綱を握りながらそのパワーの打率を上げていきたいです。そうすると強力な唯一無二なものになると感じています。未来は明るいと思います」と振り返りました。

長光さんのコメントを受けて西邨さんは、「これまではチャレンジしなかったら成功も失敗もないと思ってやってきましたが、これからは長光さんたちのアドバイスを聞いて、ブレーキをかけながら1歩1歩進んでいきたいと思います」と答えました。

サンダルを履く人が多いエリアへ

最後に、参加者から質問を募ってマルサンフットウエアーチームは報告を終えました。主な質問は以下のとおりです。

Q:9月の提案にあったサンダルのフィッティングカーは作ったのですか?

西邨さん:フィッティングカーの実現には少し時間がかかると思います。

Q:サンダルとともに全国行脚をしたいとのことだったが、第1弾はどこに行きたいですか?

長光さん:サンダルを履く人が多い沖縄や九州など、海沿いがいいかなと思っています。

Vol.2では「大橋茶屋」の報告会の様子をお届けします。