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ユーノスロードスター


当時僕はマツダのユーノスという新ブランド第一号となったロードスターという2人乗りオープンカーに乗っていた。サーフィンするぞ!と決める前に購入していて愛着もあるクルマだったので、サーフィンを始めてからも当分手放さなかったクルマだ。前編にも書いたけど、元々このクルマで初めてのサーフィンに行くつもりはなくて、サーフィンがきっかけで知り合ったいとやんのクルマに同乗するつもりだったが、彼が急に行けなくなってしまったので、この自分のクルマで行かざるを得ない。ロードスターはオープンカーで天井が幌で出来ているからキャリアがつかない。助手席にサーフボードを入れてみたが、2人乗りの小さな車内なのでどうしても長さが収まらない。最終的に幌の後ろ側の分厚い塩化ビニール製のリアウインドーの部分を開けてサーフボードの先端が少しはみ出る形にしてようやく落ち着いた。天気予報は晴れなのでなんとかなるだろうと思った。

とにかく朝一番から海に入った方が良いという(当時の僕にとっては理由が不明だったが)いとやんの強いアドバイスもあって深夜2時くらいに自宅を出たが、途中の奈良から名古屋方面に向かう国道で大事故が発生し全く動かなくなってしまった上に、天気予報が外れてしまい、通り雨が相当な雨量で降り始めた。オープンカーって実は走行している限りほとんど車内に雨は入ってこないのだが、渋滞で止まっているものだからどんどん雨水が入ってくる。海から上がってから使うために持ってきていたタオルで、車内に浸入してくる雨水を何回も拭き取り続けたけど、結局車内がびしょ濡れになってしまった。パッと見た目ではオープンカーにサーフボード載せたチャラい奴なわけだから、そんな顛末に後続のクルマは多分笑いが止まらなかったのではなかろうか。

そんなこんなで、ようやく伊勢神宮近辺まで来ると、いとやんが言う通り、ちらほらキャリアにサーフボードを乗せたクルマが同じ方向を目指して走っている。今考えれば伊勢には有名なサーフポイントが複数あるので、必ずしも目的の国府の浜に到着するとは限らないのだが、その時は何故か奇跡的に目的地である国府の浜に到着した。ただ、砂浜が広大でどこに場所を定めればよいかが分からない。浜の中ほどだと、場所を決める決定的要素にかけるので、なんとなく浜の北側末端部にクルマを止めた。ポイント名でいうとメインポイントと呼ばれている場所だ。

とにかくトラブルがらみの長旅で疲れたので、朝到着したのはよいがとりあえず横になって寝たかった。とはいえ、2シーターなのでシートが完全には倒れず寝付けない。とにかく横になりたかったので色々工夫した挙句、サーフボードは車外に出し、両方のシートを前寄りに倒してシート後方の幌が収まる窮屈なスペースにごろんと横になる事にした。本当に凄く狭いスペースで身体だけとりあえず収まる感じだ。足は前のシートあたりに投げ出す形になり、おそらく外から見ると異様な姿だったかと思う。しかも、まだ降り注いだ雨で身体を横たえるスペースはしっとりしているし、今考えたら、よくもピカピカのサーフボードを外に放置したまま盗まれずに済んだものだ。残念な事にこのクルマ、とうの昔に売ってしまったし、あまり写真も残っていないので、中古車販売サイトで見つけた情報を参照してみたい。

https://www.tomisatoracing.jp/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC/
このサイトの写真の13枚目に問題の幌を格納するスペースの写真を見つけた。車種は僕の乗っていたNAタイプという初代ではなく、その次のNBというタイプだが、だいたい車内は似たようなイメージだった。

この"幌が格納されるスペース"で寝たのは、この時限りである。その体勢で寝ると、例の塩化ビニール製のリアウインドーに背中を押しつけ密着させて寝る事になる。考えたくはないけど、寝ている間に車外からアーミーナイフとかで刺されたら死ぬと思う。それ以降はシートに座って仮眠する事はあっても車中泊は一度もなく、素直にホテルに泊まった。今になってネットで検索してみると、ロードスターで車中泊するというネタで動画をあげていらっしゃる方がいたが、その方曰く、幌の格納スペースの活用は無理との事であった。

https://youtu.be/4CoZb1bgA5Q

この方が使っていたロードスターは四代目のシャーシ、一方で僕の愛車は初代であったので、多分スペースの大きさが根本的に違うものと思われる。

いずれにせよ、あのクルマで車中泊はするものではないと断言出来る。 但し、その後数年は経済的理由もあり、このクルマで色々工夫をしてサーフィンに行ったので、そのお話はまた後日書きたいなと思う。

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