手段の目的化とよく言われるけど〜子育て、仕事〜

ビジネスにおいてよく言われる「手段を目的にしてはいけない」と言う言葉は、多くの人が聞いたことがあると思います。
それは、ビジネスにおいては明確なゴールが設定されていて、メンバー全員がゴールに向かって行動することが最も効率的だからです。
たとえば、個人がノルマを達成するのは、会社の経営をより良くする、という目的のためにいくつもある手段のひとつですよね。ノルマ達成のために必死になって同僚とお客様を奪い合っていては目的達成には近づけないので、「手段を目的にしてはいけない」と言われるのだと思います。

今朝、これと逆の現象が自分に起こってるかも?という気付きがありました。つまり、わたしは目的を手段にしていないか?と気付いたのです。

ポケモンスリープのアプリを触っている時のことです。

ポケモンスリープ概要:ポケモンたちといっしょにねむり、ポケモンの寝顔をリサーチする、という設定の睡眠計測アプリ。睡眠時間が長く、また、ポケモンが育つほど、めずらしいポケモンの寝顔に出会える。

そもそもポケモンスリープで睡眠計測をし始めた目的は「かわいいポケモンに出会うこと」でした。

それなのに、気づけば攻略サイトを延々サーフィンして、「もっと効率のいいやり方がある、そのためにはあのポケモンがほしい」と躍起になって、当初は楽しかったポケモンの寝顔リサーチも流れ作業のようにこなしている自分がいるのです。

攻略サイトを見るうちに、自分の記録を更新したいという他者から押し付けられた価値が目的になってしまい、もともとの目的を手段化してしまったのだと思います。
なんともったいないことかと残念に思いました。

残念なだけならまだいいんです。怖いのはここからでした。
目的の手段化は、子育てにも起こりうるのではないかと思った時にとても怖くなりました。
育児書を探せば、「息子を◯◯大学に入れた親の習慣」とか「AIに負けない大人に育てる◯◯教育」とか、競争思考な本にいくらでも出会います。
はじめからそういう目的で子育てしてる人はいいんです。
問題は、ただこどもに愛情を注ぎたいとか、こどもにこの世界の面白さを伝えたいと思っている人たちが、他者が提示する価値に引っ張られて「今のままではいけない」と焦りを感じてしまうことではないでしょうか。攻略サイトに影響された私のように。

今わたしの腕にはわが子が眠っていますが、ついさっきまでなかなか寝てくれず、焦りに焦っていました。
でもこの「うまくいかない寝かしつけ」も、わたしがやりたかった子育てのひとつで、どこかに向かう手段ではなくこれ自体が目的だったことを思い出しました。うまくいけばうれしいけど、うまくいかなくても念願の子育てをしてることにかわりはないんです。
うまくいっても、いかなくても、わが子に精一杯付き合っていこうじゃないか、と改めて心に決めたのでした。