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カルストの夏

北九州市小倉南区にあるカルスト台地「平尾台」。この時期は草に覆われ、眼にも涼し気な緑一色の景観が広がる。
台地全体が高原の爽やかな風にゆらゆらとなびいている。
平野部から数百メートルほど標高が上がるだけなのに、ここは大自然のど真ん中。見るもの感じるものすべて別世界。
足元の大地すべては結晶質石灰岩、大理石の山だ。
この緑の野が秋には一面金色に輝くすすき野に変容する。
訪れたこの日は小雨交じりの曇天。頂上付近は雲がかかり、遠くまで連なるカルストの風景は見ることができなかった。
中腹から数枚だけ写真を撮る。
またあらためて天気のいい日にゆっくり歩こう。

「平尾台」は半裸出カルスト地形の高台。北九州市、行橋市、香春町、苅田町、みやこ町にまたがり、標高370~710m、南北6km、東西2kmにわたるカルスト台地である。

平尾台の石灰岩は、3憶4千万年の赤道近くの海の海洋生物(サンゴ、フズリナ)の死骸が石灰岩になったもので、地殻の移動で現在の平尾台まで移動してきたと考えられている。

カルストとは、石灰岩で出来た地質が、二酸化炭素を含んだ水(雨水、地中)によって溶食されて出来た地形。
国指定天然記念物(1952年320ha)であり、また北九州国定公園(1972年1,144ha)、県立自然公園(1950年)に指定されている。
また秋吉台(山口県美祢市)、四国カルスト(愛媛・高知県境の四国脊梁山脈)と並ぶ日本三大カルストの一つでもある。

またカルストという名前は、スロベニア西南部からイタリア北東部にかけてのクラス地方(スロベニア語:Kras、イタリア語:Carso)あるいはカルスト地方(ドイツ語:Karst)の典型的な石灰岩台地から、カルスト地形という地理学用語が生まれた。

ゴロゴロと地表に並ぶ石は地表や地中の石灰岩が水に溶かされ様々な形をしているピナクルと呼ばれるもの。地面の上に転がっている訳でなく、地下深く続く石灰岩の頭が地表に出ている状態である。

石灰岩は二酸化炭素を含んだ水(雨水)や、地中の二酸化炭素を含んだ水で溶けていく。
平尾台は、1億年前にマグマの熱で溶かされ再結晶した、結晶質石灰岩すなわち大理石の山である。

平尾台自然観察センター及びニッポン旅マガジンHP参照













昨年12月に投稿した平尾台の記事はこちら。
一面すすき野に変貌した景色もまた美しい所である。


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