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【能動的三分間#7】あなたが作る建築の未来

【能動的三分間】7回目はマーク・クシュナー「あなたが作る建築の未来」です。

今回は本ではありません。皆さんはTED(Technology Entertainment Design)という非営利法人をご存知でしょうか。

Ideas worth spreading(広める価値のあるアイデア)をスローガンに、プロ・アマ問わず様々な人が自身の考えや知見、経験等のプレゼンテーションを行うカンファレンスを主催する団体です。

そのカンファレンスで行われたプレゼンテーションの一部はネットで無料で動画が公開されています(TED Talks)。無料でものすごく価値のある情報に触れられるコンテンツですので、かなりおすすめです。

今回はその動画の中からマーク・クシュナーのプレゼンをご紹介します。
(下記サイトリンク)

マーク・クシュナーはHWKNという建築設計事務所を主催しています。コロンビア大学で建築学の講師をしているようで、プレゼンもものすごく分かりやすい内容になっています。「建築がこれまで繰り返してきた歴史とこれからの建築のあるべき姿」が18分間のプレゼンにまとめられています。
かなり面白いプレゼンなので、ぜひ動画を見て欲しいです。以下、簡単ではありますが補足的に内容の主旨をまとめています。


●古代ギリシアの建築形態=権力、安定、民主主義の象徴(欧米人にとって)⇨銀行や博物館など公共性の高い建物に流用しやすい

●だが、そのようなデザインは建物の用途(プログラム)からデザインされたものではない

●建築の歴史は建築家の実験(イノベーション)と大衆が安心する象徴的な形態(古典主義的)の振り子のようなものである
(大衆にそっぽを向かれると象徴的形態に振れ、建築家のフラストレーションが溜まるとイノベーションに振れる)

●70年代のイノベーションの振り子
ブルータリズム(brutal=粗暴な、荒々しい)
機能主義的、合理主義的なモダニズムの建築 
コンクリートの打ち放しが特徴的

●80年代の古典主義的振り子
ポストモダニズム(合理的、機能主義的なモダニズム建築への批判)
表面的な装飾、様々な古典的建築様式の折衷、過剰な意匠
現代の感覚からすると悪趣味

●80年代後半から90年代のイノベーションの振り子
脱構築主義(デコンストラクティヴィズム)
アンバランス、非線形、予想を裏切るデザイン

●脱構築主義的建築は総じて不評ではあったが、メディアが良い役割を果たしたことでフランク・ゲーリー設計のビルバオ・グッゲンハイム美術館が人気を得た

●かつてエレベーターの発明、鉄・コンクリートなどの技術革命によって変貌を遂げた建築のあり方は、現代のおいてはメディア革命によって変貌を遂げる

●建築のプレゼンテーションを事前にメディアに載せることで、竣工する前から人々にとって既にデザインに対する理解が得られる
双方向的コミュニケーションにより、振り子の「最適解」が見つけやすくなる

●建築家が繰り返してきた実験はメディアの発達により終息するだろう

まさに「Ideas worth spreading」な内容だと思います。

古代ギリシア建築、古典主義建築、装飾主義と機能主義の批判合戦の歴史等、こちらのノートもご参考ください。


建築のこと
https://note.mu/dfkjb900/n/n6e45dc97d551

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