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また始まったか。

ロシアのウクライナ侵略が始まってから、ここアメリカでは、自分が予想していた通りの出来事が起き出した。

ニューヨークのロシア料理店、ロシアブランドのガソリンスタンドなどが、今回の戦争でまきぞえ、を食ったようだ。

この記事によると、ニューヨークの歴史あるロシア料理店、Russian Tearoom は全く客が来なくなったという。
この店、名前こそロシアとついているが、現在のレストランオーナーは
ロシアとはあまり関係がない。


こちらの店なども被害を受けている。
名前が Russian tea time だが実際の経営者一族はウクライナ人なのだ。

この記事によると現在のオーナーの母親が30年前に、ウクライナから移住して来た時に始めた店だが、ロシアの侵攻が始まってから嫌がらせの電話がよくかかってくるらしい。

Since the start of the Ukraine invasion, the owner said they’ve been getting a lot of harassing phone calls and hateful messages from people thinking they’re part of the government. Since the start of the Ukraine invasion, the owner said they’ve been getting a lot of harassing phone calls and hateful messages from people thinking they’re part of the government.


ロシアが親企業のガソリンスタンドの方は、もっと深刻な事態におちいっている。
ルクオイル、ロシアの石油会社だが、アメリカでもフランチャイズ経営で、ガソリンスタンドを230店舗ほど持っている。
フランチャイズなので実際にスタンドを経営しているのはアメリカ人なのだが、
ニュージャージー州のNEWWARK市では、市議会の決定により、市内にある二つのルクオイルブランドのガソリンスタンドが、営業停止に追い込まれた。
当然、そこで働いていた16人の労働者は解雇。
スタンドのオーナーはアメリカ国籍、売っているガソリンも、アメリカの石油会社から買っていた物だが、ただルクオイルというロシアブランドの名前で営業していたことが市議会の気に障ったようだ。

https://www.youtube.com/watch?v=6mmW7vt3fnA


このLUKoil ロシアの国有企業ではなく、ロシアの財閥、いわゆるオルガルヒが所有している。
しかもルクオイルは、今回の一連のロシアによる、ウクライナ侵攻をすぐに止めるように、声明まで発表しているのだが、所詮はロシア人経営の企業、ロシアの物は全部悪、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。
これが今のアメリカの現状か。

ロシアを代表する酒、ウオッカも例外なく被害にあっている。
現在11の州が、販売禁止を決定している。
ネットを検索すれば、あちこちでウオッカを垂れ流している動画を見ることができる。

この件もまた,いい加減にせえよアメリカ的勘違いがあるのだが、ウオッカという酒類の全てが、ロシアで蒸留されているわけではないという事を知らないのだ。

For example, some bar owners are protesting the invasion by dumping out Stoli Vodka. Problem is, it’s only Russian by name, which is loosely translated as “capital city” due to its origins in Moscow. The vodka is actually made in Latvia, and the company’s headquarters is in Luxembourg — a member of NATO which has spoken against the Russian invasion.

このブランドのウオッカは、ラトビア製造で、会社自体はルクセンブルクにある。
どうやら、このウオッカを流しているバーテンダーはそのことを知らないらしい。


今回の一連の事件で、2003年の”フリーダムフライ”を思い出した。

このWIKIにも書いてあるが、大体こういったことは、終わってみればいかに自分達が、馬鹿げた事をしていたか、ということがわかるのだが、熱が冷めるまでは気づきもしない。

あの時は、アメリカ国民の大半が、イラクが大量破壊兵器を所有しており、
この国にもいずれ被害が及ぶ、と本気で信じていた。

自分も一度、大量破壊兵器の存在について、友人と大げんかをした。
数年経ってから、どう見てもその様なものはイラクには存在しなかったという流れになり、例の友人にその事を問い詰めると、当人自身はその事を覚えていなかった。

2001年以降は、テレビでのイブニングニュースの最後に、ほぼ毎日のように、明日テロが起きる危険性を、色で分けて政府が通達していた。
天気予報ならぬ、テロ予報だ。
今日は黄色だ、明日は赤に近いので危ないかもしれない、といった具合に。
心理操作という面では、非常に効果があったと思う。

初めはまとも聞いていなかった、自分の知人たちも、サブリミナル効果というのか、毎日これが目に入ってくると、少しずつうん、何かやはり危ないことが起きるんじゃないか? と言うふうになっていった。

政府が大衆をコントロールするのは、ひょっとしたら、ああしてやるものなのかもしれない。


知人にサムというヨルダン人の男がいる。
コーヒーショップを経営していて、その人柄に好感を覚えて、彼の店に戻ってくるリピーターも多い。

ある時ここは、彼にとっては二軒目のコーヒーショップだということを知った。
最初に開けた店は、ここから少し離れたWalnut Creekにあったのだと、教えてくれた。

そこは、中間層から上の白人が多く住んでいる街で、治安もかなりいい方だ。
彼の店はバートトレインの駅からすぐのところにあったらしいので、人の流れも途絶えることはなかっただろう。
そんな立地条件のいい場所で店を始めたのだが、タイミングが悪かった。

ビジネスをオープンしたのは、2001年9月11日のひと月前だったのだ。
9/11で知られているその日、イスラム系過激派による同時多発テロ事件がおきた。

アメリカで起きた最大のテロ事件だった。
事件発生後、間もなくしてアメリカでは全てのアラブ人は悪、という風潮が高まってきた。
アラブ系住民で、嫌がらせにあったという人の話もよく耳にした。

9・11以降、サムの店からは、客足が途絶えてた。
少しずつ、忙しくなっていたらしいが、以前、何度か店に来た客も見なくなった。

昔の彼を自分は知らないが、その穏やかな性格はあまり変わってないだろうと思う。
初対面でも、彼と話をして、嫌な印象を受ける人はまずいないだろう。
だがヨルダン人の彼、外見は典型的なアラブ系だ。

9.11後の、店の周辺の雰囲気の変化は、異様だったそうだ。
周りには、他にもコーナーストアー、その他のビジネスが、幾つかあったが
彼の店だけは、人が寄り付かなくなった。

WalnutCreek の住民は、テロを起こした連中と同じ人種のやっている、
コーヒーショップに行くのがいやになったのだろうか。

サムの性格がよかろうが、行くたびにエスプレッソを、オマケで出してくれようが、そんな事は一切関係ない。
結局、彼のアラブ人的外観が全ての判断基準となったようだ。

商売として、利益が出ない事も大変だったが、地域の人々の冷ややかな、
対応にも疲れて、店を開けていることができたのは、半年が限界だったといった。

今、ロシア人ビジネスに嫌がらせの電話をかけたり、ウオッカを捨てたりしている連中も、9.11の時、アラブ系住民は全て悪と考えていた人々と、
同じ思考回路だと思う。

自分はそんな連中が、一番怖い。
正しい側にいるから、何をやっても許されると思っているように見える。

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