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THE POWER OF NOW「いまここにいる自分」を受け入れると、なりたい自分になれる

1.「なりたい自分」になりたくて、なれないジレンマ

もしかするとあなたは、「なりたい自分」になりたくて、なれないジレンマを抱えているのかもしれません。また自分らしくと言われても、何が自分らしいのかわからないという悩みから、あれこれ欲しがっては手をつけては中途半端になってきたかもしれません。

もしくは「自分なんてどうせ」という想いから新しい学びや経験に飛び込むことが億劫で、避けてきたかもしれません。それで他人から認められたいと思って承認欲求に振り回されてきたかもしれません。

わたしも20代の頃に同じような思いを抱えてもんもんと生きてきました。「自分の人生、こんなはずじゃない。もっと輝いて、生きがいを持って生きたい!」と思っていました。そんな思いから様々な言語を習得し、海外で働き、起業し、さらに色んな講座を受けて常に学んできましたが、プライドばかり高くなって「なりたい自分」にはなかなか辿りつけませんでした。

地球上のどんなに遠くまで「なりたい自分」を探しに行っても、どこまでも「不甲斐ない自分」がついてきてガッカリ。

2.「なりたい自分」になれないのは、「いまここにいる自分」を拒否しているから

わたしたちの多くがどうして素直に「自分はコレ!」という軸を見つけられないのでしょうか?結論から言うとそれは、「いまここにいる自分」を拒否して、代わりとなる何かを得ようとしているからです。

自分の価値基準(軸)を知り認め、好きな事に没頭するためには、子供のように無垢で好奇心旺盛な状態でいなければなりません。

ですが実際わたしたちのマインドはこんがらがっていて、ゴチャゴチャしています。感情に踊らされているうちに無意識的に非合理な言い訳をして、条件を複雑化してしまいます。

だから「なりたい自分」になるために、まずはじめにやることは、自分に目を向けて、ゴチャゴチャ絡まった思考や感情のほどいて、まっさらにすることです。

わたし自身のそれまでの人生も、本当にゴチャゴチャしたものだったので、20代のほとんどの余暇をタイの寺院にこもって瞑想するか、インドで哲学を学ぶために経典を学ぶかして過ごし、思考と感情のクリアリングに全力投資してきました。それでも変化が起きたのは実は30代に入り、子供が生まれてからでした。

3.まずは自分が「いまここ」を拒否していることを認める

妊娠するとパートナーから「責任は取るけれど、君は僕の理想と違うから愛してない。」と告げられました。わたしはそれを真に受けて「自分には何かが足りないからだ」と考えてしまったので、その日から自己否定の地獄の日々を過ごすことになりました。

夫も人生の自由を失ったことへのストレスから無気力になり、無職で家庭や社会から逃げるように毎日ただマリファナを吸う日々。経済援助もなく、乳児には手がかかり、産後の貧血と寝不足で身体は常にだるい。頭が回らないから仕事をしても上手くいかない。

でもこうなったのも自分の責任だから自分がどうにかしなければいけない、家族を養い、子供を育てないといけないという想いから、日を追うごとにわたしは追い詰められていきました。

そのうち毎日、わたしは何で生きてるんだろう?生きてる意味あるのかな?死にたいなと本気で思うようになりました。でも赤ちゃんがいるから死ねない、と虚無と母性本能のジレンマの間で揺れ動く日々が続きました。

そしてその八方塞がりの状態が限界に達したある日、ずっと否定してきた「いまここにいる自分」を受け入れるしかなかったのです。白旗を上げるように、選択肢はそれしかありませんでした。

4.そしてどんな状態でも「いまここの自分」を受け入れる The Power of Now

それはエックハルト・トールの「パワーオブナウ」の中にある描写ととても似ていました。増していく苦しさに抗うことができずに、ついに抗うことをやめると、苦しさが臨界点に達した瞬間に眩暈のように意識が反転し、雪崩のように今までの抱えていた思考や感情が崩壊して突然楽になりました。エックハルト・トールのほうがその状況を上手く表現しているので、引用しておきますね。

「私は、もうそれ以上自分自身と生きることが出来なかった。そして、答えのない疑問が生じた。自分と生きることが出来ないこの「私」は、一体誰なんだ? 自分とは何だ? 私は虚空へと吸い込まれるように感じた。その時は、一体何が起こったのか知らなかったが、満たされない過去と恐ろしい未来との間に生きている、思考が作り出した自我が、その重苦しさ、その抱える問題と共に、崩壊したのだ。翌朝、目が覚めてみると、すべてが実に穏やかだった。この平安は、自我がそこに無かったために現れたのだ。」

シンプルに「いまここにいる自分」の状態を拒否せずに受け入れただけだったのですが、それまでどんなに瞑想の修行をしたり研究に励んでも得られなかった答えがそこにありました。そしてそれはあまりにもシンプルで、シンプルがゆえにそれを選ぶことができなかったのです。

みなさんはわたし(やエックハルト・トール)のように、強烈に痛い思いをしなくても良いです(もしくはもう充分してきたのかもしれませんが)。答えはとてもシンプルです。まずは白旗を上げて、今の自分を受入れるだけ。

「ありのままを受け入れる」という言葉はよく使われ、耳障りのいい言葉です。でもよく考えると意味が全然わからない言い回しですよね。だからはっきり言います。「ダメな自分でもいいよ」じゃなくて自分が「ダメな自分はダメである」と頑なに拒否していることを認知し、受け入れることです。

5.自分をゼロにする、アイデンティティ・クライシスのすすめ

「いまここの自分」をたとえそれがどんな状態であっても受け入れると自分が自分だと思い込んで固定していたものが崩れるので、「拒否したい自分」も「なりたい自分」も一度一緒に崩壊します。ある意味「アイデンティティ・クライシス」です。

もともとアイデンティティ・クライシスという言葉は外国圏などの文化が違う場所に住むと、自分の価値基準と違った価値を受け入れなければならない場合に起こる「何を基準に判断したらいいのかわからなくなる状態」のことを指します。どちらかというとメンタルにネガティブな影響を与えるものとして扱われますが、わたしはこのアイデンティティ・クライシスが起こることを歓迎しています。

なぜかというと、「自分が自分だと思い込んでいたもの」が崩れたり、価値があると思っていたものの価値が失われたりする絶好の機会だからです。

今まで絶対的だった価値基準が絶対ではないことを受け入れなければならないので辛い思いをしますが、価値が相対的で変化するものであることが理解できると、わたしたちは自由自在になり、「なりたい自分」というよりも「ありたい自分」でいられるのです。


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