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「わたしに還るマインドフルネス」 ー マインドフルネス3つのステップ①

お久しぶりの方も、はじめましての方もこんにちは!だるまいこです。

マインドフルネスについて、やさしくまとめたKindle本ができました。仏教的なマインドフルネスの基礎である「戒・定・慧」になぞらえて、マインドフルネス3つのステップというテーマで、三冊のシリーズになっています。

*Kindle Unlimited(キンドル・アンリミテッド)では無料で読めます!

今日から3回に分けて一冊づつ、こちらのnoteにて、無料で一部を公開していきます。一人でも多くの方に読んでいただき、共感していただけると嬉しいです。ぜひ、気になる方は一度ご覧ください。そして続きが読みたくなったら、お手に取ってもらえると幸いです。

第1章:「わたし」という宇宙に気づく


はじめに

わたしたちが日ごろ認識している「わたし」は、全体のほんの一部だということはみなさんも聞いたことがあると思います。わたしたちはそのほんの一部だけを「わたし」だと思い込んで、日々良いとか悪いとかジャッジしてしまいます。これこそがわたしたちを小さな檻の中に閉じ込めるように制限して、不自由にしている原因です。本当の「わたし」とは、わたしたちの既成概念や、そこから起こるジャッジの外側にも広がっています。本当の「わたし」は自分が思っているよりもずっとずっと巨大なものです。それがどんなものなのか想像してみてください。


1)ありのままの自分ってどんな自分?

「ありのままの自分」と言うフレーズは、なんか自由で開放的な感じがしますよね。それはきっと、わたしたちがたくさん我慢して生きているからだと思います。じゃあ反対に我慢しなくていい状態の自分ってどういうものなのでしょう?

日本の方に「やりたいことは何ですか?」と聞くと、一定数で「のんびりしたい」「ゆっくりしたい」という方がいらっしゃいます。さらに「のんびりできたら何がしたいですか?」と聞くと、「何もしたくない」や「ゆっくりお茶を飲みたい」と言うのです。これは長年タイに住んでいるわたしにとって驚きの答えでした。何もしない時間や、ゆっくりお茶を飲む時間もないということです。ですがそうおっしゃる方が、実際に休む暇もなく働いているビジネスマンなのかというと、そういう人は滅多にいません。不思議に思い、どういうことなのかしばらく考えてみたところ、「ゆっくり休んではいけないような雰囲気の中で暮らしている」のではないかと思いました。

大乗仏教の文化圏にある日本では、仏教といえば般若心経なので「空」がいきなり出てきます。いきなり「色即是空」から考えるので、「やりたいこと」があるのは無意味、本来の自分というコンセプトも無我なんじゃないの?という風に感じるかもしれません。ですが実際のブッダの教えは、自分というものがどんな要素で構成されているのかを解明していくものです。なので「欲求」は自分を知る大切な手がかりで、無造作にないことにしてしまうのは、それこそマインドフルネスの反対側に行ってしまいます。

「何もしたくない、ただのんびりしたい」というのは、本来の自分の欲求ではなく、「わたしは疲れてボロボロです」というサインです。疲れている人にやりたいことを尋ねるのは賢い質問ではありません。どんな個性を持った人であっても、疲れていたら休みたい、寝たいと言うでしょう。そんな時にやりたいことを聞くのは酷です。まずはゆっくり休んで、それから聞いたらいいのです。

なのでもし今あなたが「何もしたくない、ゆっくりしたい」と思っているのであれば、あなたは疲れていて、人生の意味なんて考えたくない状態にあります。そんな状態では「ありのままの自分」や人生の意味は無意味にしか思えません。ですが今感じている無意味さとブッダのいう「無常・無我」や「空」は全く別のものです。どちらかと言うと本来は「ありのままの自分」というフレーズから感じられるような自由で開放的な感じに近いものなのではないでしょうか。

そこで自由や開放感を感じるために、まず最初にしなければならないことは「何もしないでそっとしておくこと」です。でもそれがゴールではなく、スタート地点に立つための準備みたいなものです。

わたしたちが通常「わたし」だと思っているものは、星くずのように数えきれないほどたくさんの条件が集まったものからできていると仏教では考えます。これが「縁起」です。「わたし」というものは、宇宙の中で太陽やいろんな星との間で引っ張りあいっこしながら、ちょうどいい感じで回っている地球のようなものです。日頃は当たり前すぎて気づいていない、さまざまな要素の力学が働いている中で、ちょうどいい感じで成立しています。そしてその無数の条件のひとつひとつに気づき紐解いていくと、日ごろ常に抱えている「わたし」というものは分解されてみつからない、と考えるのが「無我」の考え方です。

ですので無我を突然「わたしはない」と極端にそこだけ切り取ってしまうと「わたしの価値はない」という矛盾に陥ってしまいます。それだと縁起という考え方から遠ざかって、ネガティブな方へ偏ってしまいます。ですが反対に「わたし」は常に変化していて、確固たる「わたし」はないのだから「何にでもなれる」可能性があるとポジティブに考えることもできます。ポジティブにというのは、良い方向に都合よく考えるというのではなく「本来のわたし」は、無条件で何でもない=何にでも変化できるニュートラルな状態なんだということを前向きに捉えるということです。


2)マインドフルネスは本来の自分に還る練習

マインドフルネスとは、何にもなっていない原初の意識に戻るということであり、本来の自分に還る練習です。その練習の過程で縁起が洗練されていくことにより、集中力や能力が上がったり、癒しが起こったりして、人生そのものが好転していきます。

なのでマインドフルネス瞑想とは今この瞬間に集中することであり、それをやると色んなことがよくなるという風に言われています。ですが無理やり集中したり、何かを変えようとせずに、単純に自分が「何にもなっていない瞬間」を増やしていけば良いのです。そのために「何もしないで自分をそっとしておく」習慣を持つことからはじめます。

何にもなっていない状態が増えれば増えるほど、恐れや怒りに対する条件反射からものごとを選ぶことが減り、純粋な場所から落ち着いて選択することが多くなっていきます。タロットカードを引くように、問題が起こった時や気分がすぐれない時だけ今ここに集中するのではなく、日頃から自分の欲求に耳を傾け、ひと休みする習慣を積み重ねることが大切です。するといつの間にか純度の高い「ありのままの自分」に気づいていく、そういう自然な意識との付き合い方を身に着けるのがホンモノのマインドフルネスです。


3)わたしの意識は小宇宙

過去の選択データのブレンドから、ちょうどいい所に現れているのが現在の「わたし」です。だとしたら自分の人生が上手く行かないのは過去のカルマのせいで、これはわたしの運命なんだ!と思う人もいるかもしれません。また自分が悪いんだと自己嫌悪して、もっと良い自分になろうと努力しても、上手くいかなくて疲れて落ち込んでしまう人もいるかもしれません。

ですが今の自分を疎ましく思って、無理やり押さえつけてコントロールしようとすると、ダイエットのリバウンドと同じようなことが起こります。押さえられたエネルギーは押さえた分だけ、どこからか必ずはみ出そうとするのです。そうして自分を敵に回して追いかけている限り上手くいくことはありません。それはあなたが宇宙の星くずを、ほうきとちりとりで掃除しようとしているようなものです。スケールがなんかちょっとヘンなのです。それと同じように自分を変えるために我慢や努力をすることは、検討違いなエネルギーの使い方で、疲れてしまうだけです。

わたしたちの意識というのは宇宙のような壮大なスケールのものであり、普段思っている「わたし」がコントロールできるようなものではありません。わたしたちが目撃している「わたし」というものは、ほんの一部で、ちょっとした気分の変化も、宇宙のどこかで知らない間に爆発した星の影響だったりするわけです。起こっている気分の変化に対して嫌悪感ではなく、超新星爆発の観測のように自然現象として好奇心を持って目を向けてみてください。「わたし」という宇宙の様子に気づけば気づくほど、運がよくなったり、もっと思ったような自分でいられるようになります。


4)自分を敵に回していると世界は上手く回らない

現代では自分を敵に回している人が意外と多いので、自分への思いやりを意味する「セルフコンパッション」という言葉が流行っているのかもしれません。わたしたちは自分を敵視するという、とんでもない茶番を起こしています。なのでまずは自分に対する敵意に気づいて、それをケアしてください。それはつまり自分を大切に扱うということです。

慈悲の瞑想の一番最初の文言も「わたしがしあわせでありますように」で始まります。実はこの文言の「しあわせ」の部分は意訳であり、本来は「敵意のない」という意味にあたります。なので厳密には「わたしが敵意のない状態でありますように」というのが直訳です。しかも一番最初に考える敵意の対象は他の誰でもない「わたし」自身なのです。

自分の中にある自分に対する敵意が「わたし」を不幸にしている根源的な原因です。なので一番最初にケアするのは他でもない自分自身です。「わたし」が敵意から自由になることで、他の人やものごとに対する敵意も自然と和らいでいきます。



無料公開はここまでです
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つづきの目次:

第2章:わたしという宇宙を観測する

1)自分の観測所を設置する

2)自分を大切にするための5つの約束

3)自分の中に潜むインナーバイオレンス


第3章 呼吸を感じて、自分をそっとしておく

1)ブッダの言うこの世はすべて苦しみって本当?

2)泥水を静かに置いて、泥を沈澱させていく

3)自分をそっとしておく時間を作る


第4章 呼吸を観察する瞑想、アナパナサティ

1)深く長い呼吸をゆっくり繰り返す

2)自然な呼吸を観察する

3)カラダ全体で呼吸する

4)自然な状態へ還っていくのを観察する


第二部「わたしに安らぐマインドフルネス」はこちら↓↓↓

第三部「自然に還るマインドフルネス」はこちら↓↓↓


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