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2023年10月23日、日本株式市況


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Prime Market

23日の国内債券市場で長期金利は上昇(債券価格は下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前週末比0.025%高い0.860%と、2013年7月以来10年3カ月ぶりの高水準をつけた。日銀が30~31日に開く金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を再修正するとの思惑から幅広い年限で新発債が売られた。日本時間23日の取引で米長期金利が上昇したのも国内金利の上昇圧力となった。

22日付の日本経済新聞朝刊は「日銀でYCCの再修正論が浮上している」と報じた。米金利上昇を受けて日本の長期金利も日銀が事実上の上限とする1%に近づきつつあるためで、月末の会合で議論される見通しだという。再びYCCを修正すれば金利の先高観は強まる公算が大きく、超長期債を中心に売りが目立った。

日銀が23日実施した定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)で、購入予定額は4本全てで前回の定例オペと同じだった。だが、残存期間「5年超10年以下」では応札額を落札額で割った応札倍率が前回を上回るなど、投資家の売り意欲は高い結果だと受け取られたのも長期金利の上昇を促した。


23日の東京株式市場で日経平均株価は3日続落し、前週末比259円81銭(0.83%)安の3万0999円55銭で終えた。終値で心理的節目の3万1000円を下回るのは10月6日以来。前週末の米株式相場の下落に加え、日銀が金融政策を再修正するとの思惑が重荷となった。午後には日米の長期金利上昇を背景に売りが膨らみ、一段安となった。

朝方から幅広い銘柄で売りが優勢となった。前週末の米主要株価指数が軒並み下落し、東京市場に売りが波及。米連邦準備理事会(FRB)の高官が金融引き締めの長期化を支持する姿勢を示したことが相場の重荷になった。

午後に入ると、日米の長期金利上昇を受けて日経平均は下げ幅を拡大した。22日付の日本経済新聞朝刊が「日銀で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の再修正論が浮上してきた」と報じたのも、国内金利の上昇を促した。日経平均は節目の3万1000円付近では押し目買いなどで下げ渋る場面もあったが、大引けにかけて再び売りが優勢となった。

 プライム市場にとってグロース市場は肩に乗せた「炭鉱のカナリア」であった。直近の騰落レシオはプライム市場、グロース市場ともに80%を下回り体感温度的にほぼ並んだ状態となった。特に個人投資家はこのカナリアの方に投資資金を偏重させていた向きも多く、追い証回避の投げが下げに拍車をかけた部分もあったと思われるが、プライム市場は海外投資家の先物売りで沈められた。海外投資家は10月第1週に現物で5200億円強の買い越しに転じたものの、同週に先物では1兆4000億円あまりの大幅売り越し、先物は9月最終週も1兆5000億円以上売り越していたから、2週間で約3兆円に及ぶ強烈な売り圧力をかけていた。光明を見いだすとすれば10月第2週。海外投資家は2週続けて現物で4500億円強の買い越しとなり、先物も3200億円強と少ないがようやく買い越しに転じている。ただ、現状でこれが相場反転の萌芽となるイメージは乏しい。

 ロシアのウクライナ侵攻に加え、中東でのイスラム組織ハマスとイスラエルの紛争によって地政学リスクが一段と高まっている。「本来であれば地政学リスクは、一過性とは言えなくても株式市場にとってノイズの領域を出ない。ただ、今回は紛争が長引くだけでなく、戦線がこれから拡大する可能性があるだけに不測の事態も想定され、見切り発車では手が出しにくい」(国内証券ストラテジスト)という声がある。差し当たってはイランの動きが巨大な変数となり、情勢は大きく変化する。また、反米感情を持つサウジアラビアをはじめ、中東でイスラエルを擁護しない動きが目立っており「西側メディアと現地メディアの論調は全く違う」(ネット証券アナリスト)という指摘も聞かれる。

 バイデン米大統領は1000億ドル規模のイスラエル、ウクライナ支援を表明しているが、「これまでウクライナ支援の名目では通らなかった予算が、イスラエルが絡むと政治的に通りやすくなる」(ネット証券アナリスト)という事実がある。そしてこれによって米国債の増発に拍車がかかると、長期金利は一段と上昇してしまう。地政学リスクで安全資産である米国債を買う動きが金利上昇を抑えるという楽観的なロジックは砂上の楼閣と化す。

 ここにきて、FRBの政策金利引き上げが最終局面に来ていることで米長期金利の上昇が止まる可能性に言及する市場関係者も少なくなかったが、足もとの状況はFRBの政策スタンスと長期金利は必ずしも連動していないことが分かる。また、米10年債利回りの急上昇により、皮肉にもリセッションの前兆として懸念されていた逆イールドがあっという間に縮小、この調子で行けば2年債利回りと10年債利回りの“正常化”が近いわけだが、10年債利回りのアクセルの踏み方があまりにも過激だ。その正常化の瞬間は同時に株式市場のクラッシュを意味する場合もある。現在の米10年債利回りの水準は2007年6月以来の高水準だが、この1年3か月後、つまり2008年9月にリーマン・ショックが起きた。長期金利上昇は米経済の強さの裏返しといっても、その強さに今の利回りの上昇スピードを肯定できる要素はない。今の株式市場に値ごろ感はあるが、希望的観測で焦って動かないという勇気も必要だと思われる。

アジア市況では上海総合指数などが下落していることも、重しとなっている。上海総合指数は、前週末に付けた年初来安値を下回っており、国内景気や米中関係への不安が続いている。


<7180> 九州FG 896.3 +10.3
大幅反発。本日は同社のほか、北洋銀行や京都FG、富山第一銀行など、地銀の一角で強い動きに。日銀でYCCの再修正論が浮上していると報じられており、地銀株の買い材料とされた。国内長期金利が上昇し、7月の修正で決めた1%という上限に近づきつつあることが背景。来週に日銀金融政策決定会合が予定されいる中で思惑買いが先行の形に。なお、新発10年物国債利回りは約10年3カ月ぶりの高水準となってきている。

<9888> UEX 1088 -61
大幅反落。先週末に業績予想の修正を発表している。上半期営業利益は従来の予想レンジ15-17億円に対して12.5億円、前年同期比43.2%減に、通期では31-35億円のレンジから26-30億円のレンジにそれぞれ下方修正している。ステンレス鋼の販売数量が低位で推移したことで、利幅が圧迫されて売上総利益率が下振れとなるもよう。第1四半期から上半期にかけては減益幅が一段と拡大する形に。

<9991> ジェコス 940 +10
大幅続伸。先週末に業績・配当予想の上方修正を発表。上半期営業利益は従来予想の17.5億円から26.3億円に、通期では46.5億円から53億円にそれぞれ上方修正。年間配当金も従来計画の35円から37円に引き上げた。物件着工の順調な進捗、建設機械事業における資産売却の増加や売却価格の上昇などが背景に。上振れは想定線とみられるが、利回り妙味などは一段と高まる状況に。

<8150> 三信電気 2196 +80
大幅続伸。先週末に上半期業績予想の上方修正を発表している。営業利益は従来予想の17億円から28億円、前年同期比34.1%減に引き上げ。半導体の販売が当初想定よりも好調に推移したほか、想定以上の円安効果もあって、デバイス事業の計画が上振れとなるもよう。第1四半期はほぼ半減の水準に落ち込んでいたこともあり、足元の収益改善は想定以上との見方が優勢になっている。

<5933> アルインコ 958 -85
大幅続落。先週末に上半期決算を発表、営業利益は13.7億円で前年同期比36.4%増となり、第1四半期決算時に上方修正した14.5億円をやや下回った。第1四半期は前年同期比59.9%増であったため、増益率も鈍化する形になった。さらに、上半期決算上方修正時には据え置いていた通期予想の25億円は今回も据え置きで失望感が先行する形に。電子機器関連セグメントが足元では伸び悩んでいるもよう。

<6238> フリュー 1471 +44
大幅続伸。先週末に9月の月次動向を発表している。9月売上高は34.73億円で前年同月比30.9%増となっている。ここ2カ月は1ケタ台の売上成長にとどまっていたが、増収率は加速化する形となり、24年3月期では最大の伸び率に。これにより、上半期の月次売上累計は前年同期比16.3%増となっている。主力の世界観ビジネス分野の売上が大きく伸長しているようだ。

<3097> 物語コーポ 3760 +155
大幅反発。水戸証券では投資判断を新規に「A」、目標株価を5000円としている。積極的な新規出店、メディア露出等による認知度向上、店舗改装、商品開発などにより競争力を高めることに注力しており、持続的な成長性を高く評価としている。中長期的には、新業態の開発、商業施設や都市型ビルインなど新たな立地への進出にも期待と。なお、前日にTV番組で取り上げられいることも買い材料につながっているようだ。

<6146> ディスコ 28575 +575
大幅反発。先週末は19日の決算発表を受けて出尽くし感も先行する展開となっていたが、本日は20日に開催された説明会を受けて、見直しの動きが強まる形になっているようだ。とりわけ、生成AI関連分野については3ヵ月前よりも顧客要求が一層強まっていることが示されている。従来3桁億円とのコメントであったが、今回は3桁億円の真ん中くらいは見えているとしているもよう。先行き期待が一段と高まる形になっている。

<4503> アステラス薬 1933.5 +51.5
大幅反発。前日に、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)においてがん領域ポートフォリオのデータを発表している。Seagen社と共同で開発を進めている抗体-薬物複合体であるパドセブと、メルク社のPD-1阻害剤キイトルーダとの併用療法について、第III相EV-302試験における詳細な結果を公表しているもよう。良好な結果が得られたことは発表されていたが、学会における評価の高さが認識される形となっているようだ。

<5423> 東製鉄 1615 -22
反落。先週末に上半期決算、並びに通期業績予想の修正を発表。上半期営業利益は215億円で前年同期比4.3%増となり、従来計画の200億円を上振れた。その分、通期予想は350億円から365億円に上方修正した。ただ、4-6月期の69.9%増に対して7-9月期は同31.0%減と大幅減益に転じた。年間配当を40円から50円に引き上げ、自社株買いの発表も行ったが、収益性の悪化傾向をマイナス視する動きに。


・日本酸素HD<4091>大陽日酸、苫小牧に物流拠点、ラピダスに特殊ガス供給
・ALSOK<2331>ミネベアミツミと、製品開発・販促で協業、第1弾、電子錠1
・トヨタ自<7203>テスラ規格採用、充電に北米1.2万基利用可能
・トヨタ自<7203>自分好みのクルマ味わう、車載OS「アリーン」開発加速
・三井E&S<7003>舶用水素エンジン実証設備を完工、年度内に技術・知見
・SBテク<4726>PDFなど分析・要約、生成AIが正確回答
・Ridge-i<5572>生成AI有効活用を支援、スバルにコンサル提供
・三菱ケミG<4188>EVなど4分野に照準、25年度売上収益4割増へ
・石油資源開発<1662>米でCO2回収・貯留、米BSOに出資
・コスモエネHD<5021>コスモエネルギー開発、リチウム生産参入へ、米法人設立
・日本冶金工業<5480>25年めどLNGへ燃料転換、京都の回転式窯炉


  As concerns over the weekend that the Middle East crisis might worsen, gold and crude oil sank along with Treasuries, while US market futures climbed. Chinese stocks were among the most impacted as market mood remained shaky as Asian stocks sank for a fourth straight day.
  As Israel delayed its ground incursion into Gaza in an effort to negotiate the release of more captives, oil dipped below $87 per barrel and gold dropped from a five-month high to roughly $1,970 an ounce. Following Friday's more than 1% decline in the S&P 500, US futures contracts increased in Asia. Treasury prices dropped, reducing Friday's rise. For a brief while, the yen fell below 150 to the dollar.
  Following the release of two US prisoners by Hamas and the beginning of relief shipments across Egypt's border with Gaza over the weekend, markets are beginning to unwind some of last week's haven bid. Israel has increased airstrikes on Gaza in anticipation of the "next phase" of its struggle with Hamas, but it has also issued a warning that Hezbollah runs the risk of entangling Lebanon in a larger regional conflict.


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