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ロジカルシンキング②:各推論の種類は定式化できるか?

パースの研究者である米盛裕二によると、推論は大きく2つのタイプに分類されます:分析推論(演繹法)と拡張推論(帰納法とアブダクション)です。
演繹法の典型例である三段論法は、次のように展開されます:

  1. 前提:全てのMはPである

  2. 前提:SはMである

  3. 結論:したがって、SはPである

演繹法の特徴は、その結論が前提の中に既に含まれている点にあります。前提を分析することで答えを導き出すため、この推論は「分析的」と呼ばれます。例えば、連立方程式がこれに該当します。重要な点は、前提が真であれば結論も真であるということです。
一方、拡張推論では、前提が真であっても結論が偽になることがあります。帰納法は経験から一般化を導く推論であり(データに基づく一般化)アブダクションは科学的仮説や理論を発案する推論です(データを説明するための仮説形成)。

帰納法は次のように定式化されます:

  1. 前提1:A1はBである

  2. 前提2:A2はBである

  3. 前提3:A3はBである

  4. 結論:したがって、すべてのAnはBである

帰納法では、前提に予想外のものが現れると結論が偽になる可能性があります。このため、帰納法は自己修正的な性質を持ち、経験から学ぶ機能が内在しています。

アブダクションの定式化は以下の通りです:

  1. ある驚くべき事実Cがある

  2. しかし、もしHが真ならば、Cが真である

  3. よって、Hが真である

これは、事実Cを説明するために仮説Hを立てるプロセスです。アブダクションは、説明を要求する事実に対して使用されます。

パースによれば、科学的探究はアブダクション、演繹法、帰納法の3段階で進行します。すなわち、アブダクションで仮説を形成し、演繹法で実験を設計し、帰納法で実証的事実を集めて結論を導くというプロセスです。

参考図書:『アブダクション 仮説と発見の論理』 米盛裕二


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