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自分でできる怪我の初期対応:RICE処置。トレーニング復帰を早めるために。

こんにちは。Dice Trainingです。
岩手県でトレーニング指導を生業にしてます。
アメリカ留学中にNSCA CSCSを取得。
留学中のインターンシップも含めると、
トレーニング指導に携わって20年以上になります。

さて、今回は最もシンプルな怪我の初期対応
「RICE処置」

に関して記事を書いていきます。

スポーツに関わる人には当たり前のこと。でも、一般の方にはあまり馴染みはないかも。

実際、今パーソナルに来てくれているお客様の例です。

5月の連休中に外出した際に、
足をひねってしまった。
結構、腫れて痛みもあったので、
連休が終わってから病院で受診。
診断は軽度の捻挫。
(※捻挫は骨をつなぐ靭帯の怪我です。
 靭帯の損傷具合によって3段階の評価をします。)
もちろん、お仕事がありますから、
連休明けから、通勤や職務で動く日々。
怪我の回復は思わしくありません。

また、運動経験のあまりない方だったので、
怪我や痛みに対しての反応もとても慎重。。。
トレーニング再開までに
3週間ほどの時間
がかかりました。

痛みがある時に無理をするのはよくないです。
でも、プログラムの期間が限られているので、
この3週間は大きな影響が。。。。
実際、体組成を測ったら、
脂肪が増えて、筋肉が減って。。。。

・連休中で医療機関にすぐ行けなかった。
・受傷後に適切な対応が取れていたなかった。

ことが、トレーニングの再開を遅らせてことは明白です。

せっかく、今まで努力して、
身体が変わってきたところ。
トレーニングには可逆性の原則があります。
やらないと、元に戻ってしまう。。。。
こうならないためにも、
ちょっとした怪我に対して、
自分でもできる初期対応
「RICE処置」
を覚えておきましょう!

切傷がない外傷なら、まずはRICE処置

前提として、RICE処置は、
・皮膚の損傷がない(出血がない)
・怪我をした要因が明確
といった外傷に対する処置
です。

従って、上の例のような
”捻挫”や”打撲”などが対象となります。

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RICE処置は、4つの手技を用いた応急処置です。
”R”est=安静
”I”ce=冷却
”C”ompression=圧迫
”E”levation=挙上

それぞれの項目を説明していきます。

Rest=安静

怪我をした部位を安静にすることです。
怪我をしているのに、
無理に動かしたりすると、
悪化するのは目に見えています。
だから、まずは動かさない。

安静にします。
当たり前のことですよね。

”I”ce=冷却


怪我をした部位を冷却します。
基本は氷を使用します。
氷のうや袋に氷を入れて、
患部に未着させる。

空気が入っていると、
熱伝導が悪くなるので、
細かい氷を使って、
できる限り空気を抜くのがポイント
です。

20分間冷やし、40分間休憩する。
これを複数回繰り返します。
あまりに長時間のアイシングや、
氷ではなくて冷却剤などの化学物質の活用は、
凍傷のリスク
もあるので要注意です。

アイシングは、
・腫れ・炎症の発熱を抑える。
・血管を収縮させて血流を抑制する。
・細胞の活動を緩やかにして酸素などの必要量を抑える。
・冷やすことで、痛覚を鈍くする。

などの効果があります。
なぜ、これが良いのかは、後で別途、説明します。

Compression=圧迫

怪我をした部位を圧迫します。
基本は、伸縮性のある
弾性包帯を活用します。


患部を圧迫することで、
・細胞や毛細血管から漏れ出る
 細胞液や血液をおさえる
・患部に流れ込む血流を制限する

ことができます。
物理的に血液の流れなどを
制限するイメージです。
腫れすぎないようにするって感じですね。

Elevation=挙上

怪我をした部位を持ち上げます
心臓よりも高い位置に患部を置くことによって、
重力の影響を利用して、
血液が患部に流れるのを抑え、
患部から血液が戻るのを促します。

圧迫と同様に物理的に血液の流れをコントールして、
腫れすぎないようにすることと、
内出血などを抑えるイメージです。

怪我をするとなぜ腫れるのか。腫れすぎないように、なぜRICE処置をするのか。

怪我が起こるということは、
その部位の組織が損傷するということです。
この時、組織レベルの反応として”炎症”が起こります
炎症と聞くと悪いイメージがあると思いますが、
炎症は、
・異物に対する生体反応
・修復開始のために壊死しつつある組織の排除
・正常な組織の再生促進
などの役割
を担います。
つまりいたって正常な生理反応です。

しかし、炎症が起こると、
・熱感を出す、赤くなる
・腫れる
・疼痛
・部位の機能障害
などの兆候が起こります。

日常生活をするにも、
ちょっと困ってしまいますよね。

また、炎症が起こっている部位は、
患部とその周囲の代謝が上がります。
なんとか怪我を治そうと、
多くの酸素や栄養素を必要とするから
です。
元々、内出血などで
細胞内圧が高くなっているのに、
怪我を治そうと
さらに血流が集まってとどまる。
つまり、さらに患部は腫れ上がっていきます。

そうなると、血液の循環が悪くなっているので、
酸素や栄養素のやりとりはそこで滞ってしまう。

結果として、患部とその周辺組織は
酸欠状態や栄養欠乏になる。
最悪、組織は壊死してしまいます。

この2次的外傷性損傷と呼ばれる状態を防ぐためにも、
血流の流れなどを制限して、
炎症反応を適度に抑える必要があります。

これを実現するために、
RICE処置は有効です。
上に書いたように、
安静・圧迫・挙上で内出血を抑制。
冷却で細胞の代謝を抑制。
冷却・圧迫・挙上で血液の流入を抑制。

と、2次的外傷性損傷を抑えることができます。
結果として、全体の回復を早めることができるわけです。

どれだけ初期対応をしっかりするか。

捻挫や打撲。
これは、日常生活で
誰にでも起こり得ること。
怪我をしたばかりの時=急性期に、
いかに初期対応をするかで、
その後の回復は大きく違います。

例に挙げたお客様のケース。
連休中で医療機関がお休みで受診ができない。
緊急性が高ければ別ですが、
捻挫くらいなら、様子を見るのは普通の対応です。

しかし、実際、放置していたので、回復が遅れた。
そして、トレーニングが思うようにできなくなってしまった。
これは大きな損失です。

もし、怪我をしたに日、
RICE処置をして、しっかり休養していれば。。。。。
もう少し違った結果になっていたと思います。

怪我をした直後の24時間は、
急性期の扱いになります。

この期間、複数回、氷で冷やす。
外出などを控え、安瀬にする。

氷のうなどがなくても、
氷は出先でも手に入れることはできますよね。
コンビニ等で、簡単にブロックアイスは買えます。
捻挫などの外傷をした場合は、
まず、しっかり冷やす。
横になって患部を
心臓よりも高くして安静にする。

これくらいはできると思います。

もちろん、その後、きちんと医療機関で
診てもらうことをすすめます。

怪我で行動に制限がかかると、
トレーニングだけでなく、
日常生活にも影響が出ます。

トレーニングの成果を無駄にしないためにも、
日常を活動的に過ごすためにも、
もし、外傷が起こった時は、
まず、自分で応急処置=RICE処置を!


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