猫との対話

テツヤ 1.

おそらくトラオと誰かの子供猫、とは言ってももう生まれて半年近くは経過している立派な♂ネコが登場した。
主に近所の墓地をねぐらにその周辺に勢力を振るい、持ち前のイケメンぶりを発揮しながら大勢の♀ネコたちを翻弄させている。

目はキリっとややつり目で眼光が鋭い。見た目はスレンダーだが意外に大食漢で、他ネコの餌さえ掟を破って奪い取る強さは生存本能とリンクしているのだろう。

普段はゆるゆるとブロック塀の上を徘徊し、小さな虫や小動物を見るや否や一気に走り込む様はまるでウサイン・ボルトを彷彿とさせる(笑)。
私はこのネコに勝手に「テツヤ」と名前を授けた。あくまで私が勝手にそう呼んでいるだけだが、名前がなく「ミャー君」等と呼ぶよりはまだマシであろう。

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丁度テツヤの縄張りの真裏が我が家のマンションにあたるので、テツヤとは折に触れ顔を合わせる機会が多い。よって自然と顔見知りになり、最近は私の練習部屋の出窓から数十センチ先にあるブロック塀の上で、堂々と昼寝をしに来るようになった。

すりガラス越しに私の姿が見えるのか、時々「ミャー‥」と言って私に声をかけて来る。まさかナンパされてるわけでもなさそうなので、そのまま放っておく(笑)。

未だ異種とのコミュニケーションの方法には疎いらしく、同種の野良の♀ネコには直ぐに心を開くが私には少しだけ警戒心を持っているらしい。路で鉢合わせになっても知らんぷり。
この暑さだし仕方あるまい。

どうやらテツヤの目には、私が「♀」には映っていないようだ。

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