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Coldiac - "Beautiful Day"(私とインドネシアの音楽)

私にとって「インドネシア」は切っても切れない国の一つだ。勿論一度も足を運んだこと等無いのだけど、かつて私が唯一立ち上げたアジアの音楽ばかりを演奏する為のユニット「mocha」発足の切っ掛け‥、それがインドネシアの音楽だった。

当時の私は「インドネシア歌謡」と「マレイ歌謡」の区別が付いていなかった。そんな折、記憶では1997年の秋だったか‥、島田歌穂のレア・アルバム『Malacca』の中のDenpasar Moonが私の脳天を突き抜けた時の、あの痺れた感覚を今も忘れることが出来ない。


このアルバムが切っ掛けで私はミュージシャン 久保田真琴 氏を知り、その後彼がプロデュースする多くのアルバムを買い漁った。その経過でその他のインドネシアのアルバムとも遭遇し、中でも 'Jalan Jalan' と言うユニットがリリースしたアルバムBali DuaはCD盤が(なぜか)傷だらけになる程聴き込んだ。

未だデジタル音源等と言うものがこの世に存在すらしない時代のお話しである。


2021年12月4日、ジャワ島東部にある国内第2の都市スラバヤから南に約130キロ離れたスメル山が噴火した。
動画を視る限りでは人が住む場所でのいきなり噴火らしく、噴煙を背に逃げ惑う人々の姿が映し出され、ただただ胸が痛んだ。


こういう時、音楽家に一体何が出来るだろうかと私はいつも考える。その結果、現実的には何も出来ない自分の無力さに落胆する。
唯一出来ることがあるとすれば、それはただ「祈る」ことのみである。何もしないよりは未だましだと言い聞かせながら、ただただ非力な祈りを手向けること、それが音楽家の私に出来るただ一つの応援だ。

日本には多くのインドネシア音楽の愛好家たちが存在するが、その約半数が「踊りながら音楽を聴く人たち」で、残りの約半数が「無言で音楽を聴く人たち」である。

応援は声に出し、文字にして世に送り出さなければ何の力も持たない。

私も自身が音楽家であるから、是非私のリスナーの方々にもそうして欲しいと願うのだが、それはなかなか実現しない。皆、無言で音楽を聴き、アーティスト本人にリスニングの感想を寄せて来るが、そのプロセスをSNSやブログに書く人が少ないので「陰ながらの応援」はなかなか功を奏さないのが現状だ。
残念ながら「陰からの応援」は、社会そのものを揺るがす力にはならない。

その音楽、推しのアーティストに触れていること、ただそれだけを文字に書き起こすだけ‥、それが彼等~ファンにとってままならないのは何故なのか。

・単に照れ臭いから?
・それとも不特定多数のリスナーを持たない、きわめて個人的なスタンスで活動をしている音楽や音楽家をシェアすると異端児っぽくなって目立つから?
・或いは周囲の目を気にして、「音楽を愛好する」自分自身を世間に極力晒したくないから?


個人的な事情或いは社会の一員として、音楽と言う娯楽に触れている自身の様を世に晒すことによるリスクを恐れているのか‥。
その意味では私は自身が音楽家であること、そしてその伏線として音楽評論を開始して本当に良かったと思っている。なぜならこうして、推しの音楽や推しのミュージシャンを上から目線で紹介し、評論する機会を得られたからだ(笑)。

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そんな折、一見むさ苦しそうな男所帯の4人組のユニットの、この見掛けからは想像も付かない垢抜けた楽曲を見つけた。

Beautiful Day

楽曲は全編、英語で歌われている。

個人的には英語よりもインドネシア語で歌われるインドネシアポップスの方が私は好きだが、この作品はそこはかとなくインドネシアのテイストが入り混じった、程好く垢抜けた、そして程好く田舎臭い音楽と言えるだろう。
その中途半端にインドネシアな感じが又気持ち好い。

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インドネシアポップスは日本で言うところの昭和感がまだまだ満載で、どこか完全に周回遅れなのだ。その周回遅れ感が、私のような昭和生まれの芸術家の琴線に熱く触れて来る。

そんな Coldiac の中で、私が最近とても気に入っている作品を一曲ここに貼っておきたい。⇩

これも又周回遅れのひと昔前のR & Bテイスト満載の一曲である。

そして上記の曲を含む「インドネシア・ポップス」ばかりを集めた [Didier Merah 作] のプレイリストがあるので、そちらをこの記事の最後に置いて行く。
余り曲順やテイストを気にせず、兎に角インドネシア産の音楽を片っ端から集めただけのプレイリストになっているので、曲順が練られていないある種の無頓着感については何卒ご容赦・ご理解願えればありがたい。


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