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なぜ勉強しないといけないの?と聞かれたら

最近、書店で「勉強が面白くなる瞬間」という本が平積みされており、最近資格試験の勉強も始めたし、面白そうと思って、読んでみました。

内容は、勉強嫌いであった著者が一念発起して、勉強に対する心構えを変え、難関校にいくつも合格したメソッドを本にまとめたというものです。受験大国である韓国ならではの厳しい環境の中、どうやって勉強法を身につけたのか、分かりやすくまとめられており、大変参考になりました。

この本を読んだ後に、「そもそもなぜ、勉強しなくてはいけないのだろう。」と、根本的な疑問が浮かびました。

個人的には、今まで、勉強することに疑問を抱いていませんでした。聞かれたこともなかったし、自分が面白いから勉強をはじめ、少し成長してからは必要だから勉強していた幼少時代です。

それは幸せなことだと思うのですが、では、誰かに「なぜ、勉強しなくてはいけないのか。」と聞かれた場合、どう答えようか考えてみました。

結論としては、答える相手によって回答が変わるなと思いました。

1 幼児に聞かれたら

うちの子どものように、小学校入学前の子どもに、素朴に聞かれることもあるかと思います。
「今度、小学校に入学するけれど、小学校では国語や算数などの勉強をするらしい。何で勉強しなくてはいけないの?」
とてもとても、あり得そうな状況です。どう答えるべきでしょうか。

必要性を伝えてもピンとこないだろうし、大人になったら役に立つよというのも違うし、みんなやっているよは、もっと変だし…ぐるぐると頭を捻って考えました。

自分の結論としては、「勉強は楽しいと思うよ。」です。幼稚園や保育園に入って、あるいは今まで家の中で過ごしてきて、できて楽しかった経験はあると思います。

ピアノが弾けるようになった、幼稚園のお遊戯会で上手く踊れた、時計が読めるようになった、お片付けができて褒められた、などなど、成功体験が何かしらあると思います。

なので、子どもに伝えるとしたら、「今まで、できるようになったことがいっぱいあると思う。勉強すると、もっともっとできるようになることが増えて楽しくなるよ。」になるのかなと考えています。

本格的に勉強するという経験がない時に、「必要だから」「自己責任」と言われても腹落ちしないのではないかと思います。それであれば、今までで楽しかったことから思い起こすほうが、本人も納得するのではないかなと感じます。

ただ、我が子も小学校入学前なのですが、こういった質問はしてきません。3歳上の従姉妹のお姉ちゃんが勉強しているのを見て、「私も勉強したい!」と言い出して、それがずっと継続しています。

そのため、聞かれなかった質問の答えは、ずっと眠ったままです。下の子に聞かれた時のために、もう少し推敲しておきたいと思います。

2 少し成長した子どもに聞かれたら

小学校の高学年、中学校に入って少しして、勉強がだんだん難しくなってきたときに、壁にぶつかる時期があると思います。分数の通分や社会の歴史が入ってきたり、英語も文法やら難しいことが出てきた時期です。
「ああ、なんだか分からなくなってきた。そもそも何で勉強しなくちゃいけないんだっけ?」
これもありそうです。

この時の答え方も難しそうです。ある程度経験して、できたときの喜びは理解しているが、それよりも分からないということが嫌な状態なのかもしれません。

そもそも、勉強は階段状に成果が出てくるような印象があります。スロープのようになだらかだけれども、上っているのが分かるというものではなく、長い踊り場があって、ある日突然フッと上がる、成長しているというものではないでしょうか。

分からないことをやっている最中は苦しいです。なんでわからないのだろうと悔しいですし、ああもう!と投げ出したくなる時もあります。そんな時に、これで勉強が楽しくなるという特効薬のようなものはありません。

分からないなりに、もがきながら続けていって、できる部分が増えていって、楽しくなってくる、その繰り返しなのだと思います。だからこそ、途中でやめてしまうのはもったいないです。99回叩いてあと一回で壁が崩れるというのに、そこでやめてしまっては、きっと後悔します。

そのため、私の答えとしては「勉強って分からないことが多くて大変だよね。ただ、勉強をやらなきゃよかった、と思うことはないから続けてみたら。」になるのかと思います。

勉強は、本来楽しいものであるとは思うのですが、将来後悔しないで済むようにするものでもあると思います。「もっと勉強しておけばよかった」という後悔は山ほど聞きますが、「こんなこと学ばなきゃよかった」は聞いたことがありません。後で失敗したと思わないために、勉強するという回答は一理あるのではないかなと思います。

3 大人になりかけの子どもに言われたら

さらに成長した場合です。将来を意識し始めます。
「このまま、勉強していていいのか、もっとやりたいことがあるのではとないか。」と、前向きに悩んでいるかもしれませんし、現状が不安で逃げているだけなのかもしれません。

思春期真っ盛りでしょうし、この時期に親の言うことを聞くことはないと思いますが、聞かれたらどう答えるか考えてみます。

進路について悩むときといえば、高校生くらいでしょうか。数年もすれば社会人となります。その前に、大学へ行ったり、大学院に行ったり、専門学校に行ったりすると思いますが、最終的には自立して自分で稼ぐことになります。

私は勉強するは、悩んだその時の一番簡単な解決策だと思います。興味の範囲を広げられるのはもちろん、答えも解法も分かっている問題に挑戦することは、ビジネスの練習になります。

社会人は答えのない問題に日々挑戦して、稼いでいます。自分で課題設定をして、解法のない状態で、手掛かりを何とか見つけ出しながら、成果を出して組織に貢献します。

答えも解法も調べれば分かる勉強は、ビジネスのいい予行練習です。問題が与えられ、自分で考えてみて回答し、授業や問題集の答えを見て、納得して知識を得る、そして成長する。この繰り返しです。RPGでいえば、ボスの前に、レベル上げをするようなものです。

勉強の中で興味をそそられたことを、さらに深めるために大学に行こうと思うこともありだし、全く何がしたいかわからない状態なので、とりあえず勉強を続けるために大学に行くで良いと思います。

どうやって稼ぐことが自分に向いているかを探し出すのは大変困難です。社会人となっている人でも、向き不向きが分からないまま会社員や公務員となって仕事をしている人がたくさんいます。

やみくもに努力しても答えは見つかりません。ただ、勉強で成果を出すことは芸術やスポーツ面で稼げるほどに成果を出すよりもはるかに簡単だと思います。

そのため、この時点での答えは「何をやって良いかわからなければ、とりあえず勉強しておけばよいと思うし、他のものに今から手を付けるより、遥かに上手くいくと思う。」

だんだんと大人に近づいてくるにしたがって、勉強は自分ごとになってきます。アドバイスはするけれども、結論を出すのは自分次第になってきます。

4 大人に聞かれたら

さすがに、社会人や働いている人から、「なぜ勉強しなくてはいけないのか。」と聞かれることは少ないと思います。そういわれても知らんがなと言われてしまうでしょう。

ただ、自分が勉強をしている時に、「なぜ勉強しているのですか。」という理由を聞かれることはあるでしょう。特に、公務員であると、何かの資格をとっても給料は上がりませんし、TOEICでハイスコアをとっても、英語が使える部署は限られています。

少し毛色は違いますが、「今、なぜ貴方は勉強しているの。」と問われた時にどう答えるか、考えてみたいと思います。

やはり、勉強が楽しいからなのだと思います。新しいことを知った時は嬉しいですし、興味が広がって新しい世界が広がった時には、生きる理由がまた一つ増えたようにも感じます。

また、知識を得るということは、その人の考える範囲や伝えられる範囲を広げることでもあります。人間は自分の知識の範囲でしか、物事を語れませんしもっと言えば考えることはできません。

先日、菅前首相 追悼の辞 を読みました。これを見て個人としては、非常に感動しましたし、自分の想いをこれほどまでに伝えられるのかと、ただただ驚嘆しました。

追悼の辞は、大切な人に向けた最後の言葉です。できる限りの思いを伝えたい、そのためには共に過ごした日々の記憶はもちろんですが、それを伝えるための言葉が必要です。

その言葉をどうやって練るか、推敲にも自分の知識が基盤になり、語彙がなければ文章は作れません。ましてや、最後の山県有朋の歌を文中に入れ込むなど、知見がなければ不可能です。

人を感動させる、人の心を打つ言葉には、国語の力が必要です。それは読書など、日々の勉強でしか手に入れることはできません。大切な人に思いを伝えるときに、自分の力が及ばないことで半分も伝えられなかったら悔いが残るでしょう。

たまたま国語の例でしたが、数学でも英語でも、社会でも理科でも同じです。学んでおかなかったことの失敗は山ほどあると思います。そしてそのほとんどは気づかないかもしれません。

計算ができなかったばかりに、損をしてしまった。歴史を知らないばかりに、あからさまに失望されてしまった。分かればまだ良い方です。反省して、きっかけにして、学ぼうと思うかもしれません。怖いのは、勉強が不足していることで、気づかないうちに、自分の価値を落としたり、大切なものを失っているかもしれないということです。

私が今勉強する理由は、単純に楽しいから、そして、勉強しなかったことによる後悔を少しでも減らしたいからです。

幼少期は、何となく勉強をやっていました。中学校になってテストを受けることが多くなり、勉強した分だけ点数が上がるのが楽しくなりました。大学に入って、自分の専門分野が見つかり、興味のあることを深く学ぶ楽しさに目覚めました。そして、社会人になって、仕事のことで学ぶことに加えて、気分転換に色々な分野の本を見たり、友人に教えてもらったりしながら勉強しています。

親からも、「勉強しなさい」と言われたことはなく、勉強に対して嫌な思い出はないのですが、今が一番楽しく勉強していると思います。

「なぜ、勉強するのだろう」と思っていること自体、勉強が足りていない証拠でもあるので、思い浮かんだこともないが良い回答なのですが、リスキリング、学びなおしという言葉を最近多く見たので、まとめてみました。

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