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中国アントグループのAlipayは、アジア各地で電子マネー事業を戦略的に拡大。

ForbesJAPANは2024年03月18日に、中国フィンテック大手アントグループ(Ant group)のAnt International(アントインターナショナル)が進めるグローバル展開は、Alipay+(アリペイプラス)の立ち上げとアジア各国で提供されている電子マネーとの相互運用の向上に軸足を置いて以来、ますます戦略的になっていると報告した。

こうした取り組みが利益につながっているかどうかを測るのは難しいが、過去1年半でのアントの国際決済ネットワークAnt Internationalの拡大は目覚ましい。同社はまた、地政学的な圧力から特定の例えば、中国市場でのプレゼンスを賢くもひっそりと縮小している。

海外旅行が新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)前の水準まで回復しており、Alipay+は特に近隣のアジア諸国で大きく成長する余地があるようだ。

韓国での成長

Alipay+にとって最も重要な市場の1つは韓国である。韓国は中国人の観光客やビジネスパーソンが最も訪れる国であるだけでなく、中国にとって5番目に大きな貿易相手国で、中国は韓国にとって最大の貿易相手国である。

こうした理由に加え、韓国のメジャーな電子マネーであるカカオペイとの2017年来の提携により、アリペイは韓国で事業を成長させるにあたりユニークな立場にある。

中国を訪れる韓国人は、Alipay+に対応する中国の大半の店舗でKakao Pay(カカオペイ)のアプリを使って決済でき、韓国を訪れる中国人も同様にアリペイで決済できる。カカオペイは2023年末までに、この相互運用性を中国国内の店舗決済の80%にまで拡大した。

2023年12月に韓国の首都ソウルで行われた記者会見で、アントグループは韓国の実在店舗でのAlipay+による決済が2023年01月からの10カ月で700%以上増えたことを明らかにした。Alipay+は現在、韓国の主要免税店や百貨店、コンビニ、飲食店、交通機関など170万以上の加盟店で利用できる。2023年09月の韓国の決済システムのゼロペイとの提携が同国におけるAlipay+の普及に大きく貢献している。

さらに、アリペイはカカオ以外の韓国の電子マネーとの提携を増やし、現在ではネイバーペイやトスペイとも提携。これらの電子マネーのユーザーは数十カ国のAlipay+のグローバル加盟店でQRコード決済ができるようになった。アリペイは昨年9月の合意に従って、トスペイの株式の40%近くを保有しているとされている。

新興市場への進出

アントインターナショナルは、韓国のようなアジアの先進国に戦略的に注力しているのに加えて、南アジアの発展途上の市場でも事業を拡大している。こうした国々は、韓国や日本、東南アジアほど多くの中国人の観光客やビジネスパーソンを惹きつけてはいないが、それでもビジネスチャンスがある。

アントは2024年01月に「パキスタンで決済事業を促進する」ために、パキスタンのNayaPayと契約を結んだ。両社はパキスタンのインスタント決済システムRaastとAlipay+の決済パートナーと互換性のあるQRコードを展開する予定である。この連携により、国際的なキャッシュレスの決済システムとパキスタンとの接続性が向上するはずである。さらに、この提携でNayaPayaはパキスタンの企業をAlipay+の約25のグローバル決済パートナーにつなげられるようになる。

人口の約70%にあたる1億人が銀行口座を持っていないパキスタンは、間違いなくアジアで最も重要な若いフィンテック市場である。銀行口座を持たない人口ではインドとインドネシアには及ばないが、これらの市場のフィンテック業界はパキスタンよりもはるかに発達している。アントグループがパキスタンでいち早く浸透すれば、やがて大きな見返りを得られるかもしれない。

また、Alipay+はスリランカにも進出している。同国の人口は2200万とパキスタンよりはるかに市場規模は小さいが、それでも事業展開する価値はある。ここでもアリペイは一足先に参入し、先行者利益を得ようと躍起になっているようだ。昨年9月、スリランカの40万以上の加盟店がAlipay+とそのパートナーアプリを通じて国境を越えたデジタル決済に対応できるようになると発表した。

しかし、インド市場からは徐々に撤退

パキスタンやスリランカでの事業拡大とは対照的に、アントインターナショナルはインド市場から徐々に撤退しつつある。このような有望なフィンテック市場から撤退する主な理由は、中印関係が緊迫化し、インドがテック大手に対する規制を強める中、中国企業にとってビジネス環境がますます厳しいものになっているためである。

とくに、ジャック・マーが巨大投資をして育ててきたモバイル・マネー事業体Paytmの一連の「違反」の後、「Paytm」は決済銀行ライセンスを剥奪される可能性が出てきていた。

また、インドは、国営の「UPI」が電子決済取引独占する可能性が大きくなたことが、最大の原因だろう。

アントはかつて、インドのフィンテック業界のユニコーンであるPaytm(ペイティーエム)の株式を大量に保有していたが、現在はその売却に追われている。昨年8月にアントはペイティーエムの創業者ビジェイ・シェカール・シャルマに株式の10.3%、6億2800万ドル(約936億円)相当を売却。同月さらに3.6%を公開市場で売却した。

アントが残り10%のPaytm株を売却しても驚かない。インドの規制当局からそうするよう圧力がかかる可能性もある。またPaytm傘下の銀行の免許取消しが迫っていることやコンプライアンス違反の疑いでPaytmの将来性は疑問視されている。

訪欧アジア人観光客へのサービス提供

Alipay+は今後、アジア人旅行者の消費力と、アジアを越えて増えつつある提携電子マネーのネットワークを活用することを視野に入れている。米国にも事業拡大のチャンスはあるが、米国では今年大統領選挙があり、中国のテック企業は引き続き議員らによって注意深く監視されているため、米国での大規模な事業拡大は論争の的になる可能性がある。

対照的に欧州では障害が少なく、アリペイは今月14日に欧州サッカー連盟(UEFA)が主催する第17回欧州選手権でワールドファースト(2019年に買収)と提携すると発表した。この提携により、Alipay+のネットワークのドイツでのカバー範囲が全国に拡大される。アリペイ、アリペイHK、マカオのMPay(エムペイ)に加え、マレーシアのTouch'n Go eWalletとMyPB、モンゴルのHipay(ハイペイ)、フィリピンのGcash(Gキャッシュ)、シンガポールの Changi Pay(チャンギペイ)とOCBC Digital(OCBCデジタル)、タイのTrueMoney(トゥルーマネー)、韓国のカカオペイ、Naver Pay(ネイバーペイ)、Toss Payといった電子マネーも提携に含まれる。

中国が中東や中南米、アフリカと経済関係を深めていることから、アントインターナショナルは今後、これらの地域にも進出することが見込まれる。

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https://forbesjapan.com/articles/detail/69767?utm_content=order-16&utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=1111-theme
https://www.forbes.com/sites/zennonkapron/2024/03/14/alipays-international-expansion-is-increasingly-strategic/?sh=7ba8c1028d58#:~:text=80%25 of in-store payments

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