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コトバンクが実現したい未来-国内最大級の無料事典サイト-

プロフィール
内山 和幸(うちやま かずゆき)
中途入社13年目。入社後、様々な事業部で経験を積み、コトバンクの立ち上げから現在までサービスの管理を担当

山口 忠(やまぐち ただし)
中途入社15年目。株式会社PeXのサービス運営に2年携わり、その後ECナビに異動。現在はコトバンクなど主に出版社関連の仕事を担当
DIGITALIOメディア事業部のエンジニアの組織であるTech unitに所属し、Contents Data unitの開発にも携わっている。DIGITALIOのCTO室ではエンジニアリングについての課題発見やサポートも担当

「コトバンク」とは?

ーコトバンクのサービスについて教えてください。
国内最大級の無料辞典サイト「コトバンク

内山:出版社などが提供する信頼性が高い辞書や辞典やデータベースから言葉の意味を一度に検索ができるサービスです。個人的には言葉の意味を調べるには欠かせないサービスだと思っています。

ー他の辞書サイトと比べて、コトバンクならではの強みはありますか?
内山:あるサイトでは辞書を忠実に再現することに重きを置いていたり、また別のあるサイトは情報さえあれば信頼性があろうがなかろうがとりあえず入れちゃえという感じがあったりしますが、コトバンクは信頼性が高いデータのみで構成していることと、Webサービスとして使いやすいことを重視しています。取り扱っている辞書の数が多いということもあり、今では141辞書で293万語を取り扱っているので、他のサイトに比べてもかなり信頼性が高いということが強みになっていると思います。

山口:デザインを見てもらっても分かる通り、すごくシンプルになっていると思います。利用者がGoogleで何か言葉を検索して、コトバンクに訪れ意味を知って帰るというのが理想の形です。その上でシンプルに読みやすく伝えるということを意識しています。

ーコトバンクは他社と共同運営しているそうですが、どのような役割分担ですか?
内山:コトバンクは、2022年4月から小学館とCARTA HOLDINGSの合弁会社である株式会社C-POTと事業提携しています。C-POTは、小学館だけでなく色々な出版社とのつながりが強いので、コンテンツの調達を主に担当していただいています。DIGITALIOはコンテンツ調達のサポートとメディア運営の経験を生かした事業開発というところをメインで担当して連携しています。

ー小学館との連携はどのように始まりましたか?
内山:導入の背景として、元々コトバンクは2009年にDIGITALIOがECナビという会社名だった頃にスタートしました。
当時、ある新聞社の時事用語コンテンツが休刊になるという情報を手に入れました。そこでニュースや新聞に書いてあるような用語がたくさん解説されているものをWEBサービス化するといいのではないかということで新聞社と一緒に取り組み始めたのがサービスの誕生のきっかけです。

現代用語辞典の情報を掲載するところから始まり、少しずつ信頼を積み上げながら、さらにサービスを拡大していくにあたり、用語をもっと増やしていこうということになり、辞書や百科事典の用語も掲載していくことになりました。そこから様々な出版社へ声をかけるようになりました。特に小学館は数多くのコンテンツを提供いただいています。当初、小学館はコンテンツ提供のみでしたが、後に出版コンテンツのデータベース化を行うC-POTという会社を2社でつくり、そこからC-POTもコトバンクに参加する形となりました。

ー出版社と連携する上で気をつけていることはありますか?
山口:小学館に限った話ではないのですが、連携する上では情報に誤りがないように取り込むということが必須なので、そこはかなり気をつけています。正確な情報を勝手に加工してしまったり、プログラムのバグで間違った情報が入ってしまってはいけないですし、データに不整合が起きないような仕組みを作り上げることが、一番注力している点です。

コトバンクの運用について

ーコトバンクは無料サービスですが、どのようにマネタイズしているのですか?
内山:すごくシンプルにいうと広告収益です。ユーザーは出版社のコンテンツを無料で利用でき、その代わりに我々がお金を払っています。出版社からコンテンツを調達し、ユーザーに無料で提供することで、ユーザーがたくさんサイトに訪れ広告収益が増えて、利益になるという仕組みです。

ー施策を打つ上で気をつけていることはありますか?
内山:一般的なWebサービスはPVを稼いでいるページのベスト10が全体のPVの殆どを占めているようなケースが多いのかなと思いますが、コトバンクはそういったコンテンツはほとんどありません。数十〜数百PVのページが、何百万ページあるというような形になっています。なので、様々な施策を打つ中で急激に効果が現れることはなく、とても緩やかな動きをしているので、その動きを見逃してしまい、気がついた時には下がっていたり、逆に成長していたりすることが何度もありました。そのため常に動向をチェックしながら施策を打つように気をつけています。

山口:SEOメディアは結果がすぐにでないということもあり難しい部分だと思います。今取り入れている施策は本当に効果があるのかが分かりにくいこともあり、SEOは正解がないので、おおよその予測で施策を打ってみることが多くとても難しいです。

ー今後どのような施策を打つかはどうやって決めているのですか?
内山:チームの皆で決めてやっています。たたきは僕が作るのですが、ワンマンでやるのではなくチームで案を出しながら話し合って決めています。

山口:例えばGoogleのコアウェブバイタルなどの仕組みは、検索エンジン側から見たサイトの点数を可視化してくれるものがあるのですが、そこで出た点数を元に今の作りをどうするかの判断基準として、チーム全体でなにをどこまでやるのか話していきます。エンジニアだからコードだけを書くということではなく、サービス全体を考えて話し合っていくことのほうが多い気がします。

内山:コードをかける人でないと出ない案もありますし、ビジネスの視点で物事を考えられることも必要となってくると思うので、エンジニアの方にも積極的に意見交換に参加してもらっています。ビジネスとエンジニアリングの継ぎ目がないということがDIGITALIOの魅力の1つだと思います。

ーサービスが安定するまでに大変だったことはありますか?
内山:黒字化するのにすごく時間がかかりました。最初は2万語だったのが、50万語位まで増えてようやくサービスが成長期に足を入れ始め、ここに至るまでに5年ほど時間を費やしました。普通こんなに時間がかかっていたらサービスを終了してしまうと思うかもしれませんが、何とか黒字化するまで続けてくることができました。サービスが上手くいっていなかった時期には、どれだけ省力化して手をかけずに運用していけるかどうかを意識していたので、長く続けることができたのかもしれません。

山口:エンジニア目線でも、いかに手を掛けずに管理していくかということを考えたりしていました。

ーユーザー数を増やすために苦労したことはありますか?
内山:ユーザー数を増やすために我々が注力すべきなのはコンテンツを増やすことなのですが、これに苦労しました。特に黒字化するまでの期間は想定よりもコンテンツの追加が全く追いつかないような状況が続きました。そんな中でも可能性を感じ辞書を提供してくださり、初期からご参加いただいた出版社には本当に感謝しています。
黒字化以降は比較的スムーズに運用できるようになったのですが、各出版社の大量のデータをコトバンクに掲載するのは今でも時間がかかるので課題に感じています。

ー今現在、課題に感じていることはありますか?
コトバンクが提供している「言葉の意味」というところではある程度やりきった感があるので、また違った目線で新しいコンテンツを調達しなければならないと思い、ここ2〜3年試行錯誤しています。
例えば、言葉の意味だけではなく、雑学など、知っていると話のネタになったり生活の役に立ったりするような情報も入れてみようかなと紆余曲折しながら取り組んでいます。

また、検索エンジンに依存しているところも課題の1つだと考えています。検索エンジンからコンテンツへのトラフィックというのが一時期97%あったのですが、今では90%くらいになっています。年に2、3回アルゴリズムアップデートというものがあり、いきなりアクセスが無くなってしまう時があるので、検索エンジンからのトラフィックに振り回されないように違うところからの利用を増やすことが必要だと考えています。

ー当初と比べて、サービスが成長したと実感しますか?
内山:時間はかかりましたが、コトバンクは日本人の何割かが月に1度は利用しているサービスになったはずです。その割に「コトバンク」の名前は一般的ではないと思っていますが、いつの間にかたくさんの人の生活に役に立つことができていて、ツールとして浸透しているのかなと思っています。
サービスとして「当たり前にある存在」を目指しているのですが、ある程度実現出来ている実感はありますし、より利用されるように工夫していくことにはとてもやりがいを感じます。

山口:
コトバンクはCARTA HOLDINGSが提供しているサービス中で最も一般ユーザの方々の中で知名度のあるサービスだと思っていて、一度はサイトを利用したことがある方も多いと思います。しかしそれが「コトバンク」だという認識はなく、ただ言葉の意味を理解して去っていくことが多いです。印象的な出来事として、僕は新卒採用にも関わらせていただくことが多いのですが、面接でコトバンクの話をすると、学生の皆さんはコトバンクを利用したことがあっても、サービス名もCARTA HOLDINGSが運営していることも意外と知らないことが多いです(笑)だからこそ、サービス名も含めてコトバンクを認知してもらえるととても嬉しいです。

僕には子供がいるのですが、今の小学生は授業でパソコンやタブレットを利用することがあって、1人1台パソコンを持って調べもの学習をするそうです。そこでコトバンクで調べたりすることがあるらしく、僕がコトバンクの仕事をしていることを子供達は知っているので、学校から帰ってきたときにコトバンクで調べものをしたと嬉しそうに報告されると誇らしく思います。

コトバンクの今後について

ーコトバンクの将来像はありますか?
内山:チームで共有しているのは、「世界中に流通する言葉全ての情報がコトバンクにある状態にすること」です。特に今後は、言葉の意味だけでなく、その言葉に関連する情報を集めることで、これまでよりも言葉の理解を深めることができたり、コンテンツとして楽しんで頂けるようにしたいと思っています。

ー今後挑戦してみたいことはありますか?
内山:コトバンクのようにWeb検索に依存しているコンテンツはいずれAIによって無くなってしまう可能性もあります。C-POTと連携しているため、老舗の信頼性の高いコンテンツをたくさん扱わせていただけるチャンスは多くあるので、コトバンクに限らず新たな事にもチャレンジしていきたいと思っています!

山口:コトバンクはかなり長い間運営しているサービスということもあり、開設当時とはサービス規模も目指すべき姿も変わって来ている中で、都度改善やバージョンアップは繰り返してきたものの、やはりコアのところでやりづらさや作りづらさが顕著になってきているなと感じることがあります。なので、システム全体としてリアーキテクトやサービスのリニューアルも視野に入れていきたいと思ってます。

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