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「大企業とスタートアップの協業はうまく行かない」を打ち破る方法、の留意点

昨日下記の記事を書きました(今日と画像一緒に見えますが実はちょっと違います)。

大企業によるスタートアップの買収(出資含む)は、これまで失敗しがちだった両者の連携を成功させる可能性があるよ、という話でした。
もちろん良いことばかりはなく、「気をつけてね」ということもあります。

この記事にある通り、空回りしがちです。
なので大企業とスタートアップ、お互いの事情を踏まえた上で、注意点をしっかり抑えましょう、という話です。

大手企業の事情

大手企業には、それ特有の事情があります。いくつか具体例を紹介します。
まず、投資しても基本的にIPOによるキャピタルゲインを主目的にしていません。
なぜなら、利益インパクトが小さいことが多い、もしくは継続的なものではないから(上場企業は継続した利益成長が求められています)です。

実際、私が関与したある大企業によるベンチャーへの出資案件では、結果的にIPOを達成し一定のリターンが出たにも関わらず、その大企業内ではまだ投資成功案件と見られていません。

重要なのは、大企業のKPIにインパクトを与えられるか、つまり大企業側のビジネスにシナジーを産めるかどうかです。

また、最初はスタートアップとの協業に積極的だったとしても、業績が悪化したり経営陣が交代したりすると方針がガラッと変わることもあります。

他にも、大手企業では一定以上の株式を保有しないと(例えば持分法以上)、データなどの社内アセットを出資先に提供できないといった場合があります。

このような事情があるので、お互いがその注意点を踏まえた上で協業するのが重要です。以下まとめました。

それぞれが事前に考えておくべき注意点

大手企業
・大企業にとってはコントロール(経営者の独断専行など、アクセル踏みすぎによる事故等)が難しい場合がある

・スタートアップの利益が出ても、大企業側の目的(シナジー獲得など)に結びつかないケースがある

・大企業にとっては当然リスクが高く、減損すれば目立つ。一方、社内で無駄なコストが発生しても目立たない

・子会社上場はかなり難しいし、今後もその流れは加速する
スタートアップ
・スタートアップにとっては大企業から制約(スピード、投資金額、役員派遣など)を受ける可能性がある

・大企業の社長交代や今回のような経済危機には方針が急に変わる可能性がある

・主体性と長期ビジョンのない大手企業に振り回され、あるいは支援を十分に受けられないケースもある

・アイディアやデータをパクられるリスクがある

大手企業によるスタートアップ買収の成功率をあげる要素

上記のとおり注意点をそれぞれ上げましたが、成功率をあげるにはこれらをカバーすれば言い訳です。具体的には以下のとおりです。

・スタートアップ経営者が一定期間株を保有し続けること、残ること

・スタートアップが経営の主体性を保つこと(一体性が強まるとIPO実務にも弊害)

・スタートアップ利益ファーストの姿勢を貫くこと(大企業の利益優先をしない)

・お互い、特に大企業の譲れないもの、重視するKPIを事前に握っておくこと(それ以外は変わる覚悟)

・大企業は資金を出して終わりでなく、コミットすること(言うだけではダメで形に残す、IR資料に協業によるシナジー創出を明記、主力人材提供、本体での幹部登用など)

・短期PLではなく中長期での将来キャッシュフローの創出にかけること(短期PL重視だと投資抑制になりやすい)

結構盛り沢山になってしまいましたが、失敗してから気づくよりいいと思うので、大手企業とスタートアップの連携を考えている当事者の方々は参考にしてみてください。


最後まで読んでいただきありがとうございました。
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