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スタートアップのユーザーリサーチ101

初心者対象のユーザーリサーチ講習セミナーに今年20件(※)出演する中で驚くことがありました。それは、最も多い質問が「どのタイミングで実施するとよいか?」「どれくらいのサイクルが適切なのか?」という内容だったことです。(※2022年1月~10月時点)

これは本当に意外でした。順当に考えると質問法や好事例についての質問が上がりそうなものですが、調査の内容以前に、皆、業務計画のところで疑問を持っていることが多かったのです。(もちろん質問数や選択肢数の上限適正など定番の質問も多いです)

確かに、特に組織が成長軌道に乗るまでのスタートアップ期においては、この領域の先輩社員がいなかったり、前例となる過去実績がなかったりして、ゼロからすべて自分で業務計画を立てなくてはならず、しかも経営者に直に承認を得る必要があります。

私も「KDDI Open Innovation Fund」出資企業のスタートアップで、会社の第4期目以降にリサーチ組織の立ち上げを経験しており、単純に「このテーマでアンケートをやります」という宣言で調査計画が承認されるわけではないことはよく実感しています。

こうした調査の業務計画を円滑に動かす仕組みづくりのことを「ResearchOps(リサーチオプス)」と言い、永続的な取り組みにしていくためにオペレーションを重視する流れは、先行して盛り上がる海外に倣い日本でもよく目にするようになってきました。

一方、ResearchOpsの概念は定性調査を主体とするモデルがベースとなっており、定量文化偏重の傾向がある伝統的な日系企業では、組織によっては内部での受け容れが難しい面もあるのが実情です。(私自身はResearchOpsのモデルも併用しています)

そこで本記事では、スタートアップが予算ゼロからユーザーリサーチ体制を立ち上げて、定量・定性それぞれのリサーチツールが導入できるようになり、やがて調査会社へ少額の発注ができるようになるまでのステージに必要な段取りを紹介していきます。

スタートアップにおいては、ビジネスのサイズ感に合わせて予算や稼働などの限られたリソースをチューニングし、組織の急成長に合わせて段階的に業務をスケールさせていく事務スキルが求められます。局面では、分析スキルよりも使うかもしれません。

―といっても、そのような修行を積む場も時間も現実にはなかなか無いため、この記事では、私が組織の成長に合わせてユーザーリサーチ体制をコントロールし続けるもとにしてきた15の項目から成る調査の業務計画を、スタートアップ版でお届け致します。

ユーザーリサーチのオペレーションモデル(白図)

加えてこのたび、調査会社のクロス・マーケティングさん主催で、スタートアップにお勤めの方(または調査初心者)向けに、この記事の内容を元にしたリサーチ講座を開催することになりました。記事の最後に告知がありますので、こちらもお楽しみに!

※なお、質問法や分析法など、テクニカルな話は取り扱っていません。あくまで業務計画を完成させるために必要な項目を検討していく構成を取っているため、理論や事例を中心とする話をご覧になりたい方は他の記事をご覧いただくことをお薦めします。

▼ ①調査テーマ


調査テーマの項目には、組織で実施する代表的な調査テーマを記入します。

①調査テーマ

調査テーマとは、マーケティング課題やプロダクトの検証事項をリサーチの方法論に落とし込んだものを言います。スタートアップでよく取り扱う調査テーマには次のようなものがあります。

a.コンセプトテスト調査(ステートメント作成用・広告メッセージ作成用)

コンセプトテスト調査は、複数のコンセプトプランに対する評価を尋ねるテーマです。アンケートでは商材単位や企業単位のメッセージやデザイン画像を提示して、5段階評価で魅力度や利用意向を尋ねるのがオーソドックスなやり方です。

用途では、ステートメント作成用・広告メッセージ作成用に実施されることが多く、特にスタートアップ組織ではプロダクトマーケットフィットを目指す初めの段階でこの検証情報が必要になることから、コンセプトテストが初の調査実施テーマになることも多いです。

b.満足度調査(アセスメント用・セールスマテリアル掲載用)

満足度調査は、ブランドやサービスのユーザーに利用評価を尋ねるテーマです。アンケートでは5段階評価で満足度を尋ねるのがオーソドックスなやり方です。質問構成によっては、商品やサービスの推奨度・今後の利用意向なども同様の聞き方で尋ねることも多いです。

用途では、サービスやブランドのアセスメント(活動評価)、調査データのセールスマテリアルへの掲載用に実施されることが多く、ステージとしては事業活動がある程度進んだ段階で行う内容ですが、その後は定点調査などで実施機会が多くなる傾向があります。

c.ユーザープロファイル調査(ペルソナ作成用・外販資料掲載用)

ユーザープロファイル調査は、ユーザーの属性情報や利用ステータスなどを尋ねるテーマです。テーマアンケートの最初か最後にこの要素を入れることもありますが、このテーマを主にアンケートを実施する時は下記の用途に合わせて意識や行動を深堀りします。

用途では、商品やサービスのペルソナ作成用・メディアガイドなど外販資料掲載用に実施されることが多く、ペルソナは従業員数が100名に到達する成長期から、メディアガイドは会員数が100万人超など広告価値が付く頃から、調査実施ニーズが上がってきます。

d.キャンペーン効果測定(キャンペーン報告用・プレスリリース用)

キャンペーン効果測定は、文字通りキャンペーンの実施効果を検証するテーマです。質問構成で言うと、キャンペーンの認知・理解・参加、ブランドやサービスに対する態度変容などが軸となり、直接的な行動変化はもちろん、意識変化も把握していきます。

用途では、キャンペーン報告用・プレスリリース用に実施されることが多く、ユーザーのインサイトよりも施策への投資対効果に対する関心が高い組織で初の実施テーマとなる傾向があります。調査で得られるデータのイメージが明快であることが特徴です。

e.カテゴリユーザー調査(カテゴリ戦略立案用・新規参入市場検討用)

カテゴリユーザー調査は、特定の分野・領域のユーザー状況を把握するテーマです。このカテゴリとは、自社で既に展開しているカテゴリを細分化して考える場合と、現在展開していない市場を把握するために実施する場合とがあります。

用途では、カテゴリ戦略立案用・新規参入市場検討用に実施されることが多く、スタートアップでは最初のブランド・サービスが軌道に乗った段階で、次の事業拡張展開を模索するタイミングで実施されます。そのため、社長や部門長が直接手がけることも多い案件です。

a~eの特徴をご覧いただいて、組織の中での自身の役割に応じてテーマを選び取っていくとよいでしょう。その際に留意すべきポイントは次のようになります。

・調査結果データの用途となるアウトプットを明確に意識しておく

各調査テーマには向いている用途があります(かっこ書きで補足した内容が該当します)。調査結果データの用途となるアウトプットを明確に意識しておくと、何のために行うのか、どう活用するのか、といった調査計画時に重要な論点が自ずと明らかになります。

・マーケティング、セールス、PR、それぞれの活動目的に活かす

項目と併記してある用途にある通り、調査テーマを定める時には、マーケティング、セールス、PR、それぞれの活動目的に活かすことを想定します。担当者目線では調査実施自体に仕事価値がありますが、組織全体の目線では前出の活動目的で価値が認識されます。

・プロダクトの事業成長フェーズに応じて複数テーマを採り入れる

スタートアップのステージでは満足度調査をはじめ固定の調査テーマでリサーチを運用することが多いのですが、そのままずっと行くと様々な要望や課題に対応できません。プロダクトの事業成長フェーズに応じて複数テーマを採り入れる計画を立てましょう。

・初回、あるいは定期間隔で大規模に行う場合は総合調査とする

初回に調査を行う場合、個別特定のテーマで実施するというより、サービスやブランドについて一通りのデータを集める目的で実施するのが普通です。こういう時は調査テーマも一つには定めにくいので、「総合調査」という形で運用するようにします。

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▼ ②調査手法


調査手法の項目には、調査活動で使用する調査の手段を記入します。

②調査手法

(個々の調査手法の特性はこちらの過去記事をご覧ください)
▼横断的なデータドリブン組織に必要な、定量調査と定性調査の使い分け方
https://note.com/diisuket/n/nc5f302c13f7f

本稿では調査手法を次の4つに分類して説明します。

A.データベース分析・アクセス解析・A/Bテスト

これらの調査手法は、ログデータ・POSデータからサービスの特徴やビジネスの課題を把握するために用います。デジタルマーケティングの普及により多くの企業でツールが導入され、各種分析を行う時の基本データとして取り扱われています。

B.VOC/ソーシャルリスニング・アプリレビュー・デスクリサーチ

これらの調査手法は、ユーザーとのコンタクトデータや組織の外にあるオープンデータを加えて、仮説を構築したり論説を補強するために用います。特にマーケティング目的でのSNS活用が浸透してくるにつれ、VOCの活動も再注目されています。

C.ユーザーアンケート・デプスインタビュー

これらの調査手法は、ユーザーに直接質問して回答を得るアスキングタイプの方法であり、サービスの企画や検証の段階で用います。自社のユーザーにアンケートやインタビューを行う、ユーザーリサーチのサポートツール環境も整ってきました。

D.ファンミーティング・タウンウォッチング

これらの調査手法は、新しいアイデアを探索し、また、その習慣を組織に取り入れるために用います。一般企業ではそれほど実施率は高くありませんが、アイデアワークを重視する傾向にあるメディアや広告代理店の業態では多く行われています。

A~Dをご覧いただいて、まずは現在の環境で使うことができる手法をベースに、組織の活動計画や分析方針に合わせて徐々に拡充していくとよいでしょう。

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▼ ③調査範囲


調査範囲の項目には、調査活動で案件対応するプロダクトを記入します。

③調査範囲

この項目はビジネスモデルにより様々なパターンが考えられますが、概ね以下の3つに大分類できます。

a.プロダクト領域(商品・サービス・ブランド)

マーケティングリサーチやデザインリサーチではほとんどの場合、プロダクト領域の内容を取り扱うことになります。プロダクトとは商品・サービスを指し、特にウェブサービスはAPP/WEBまで分けて対応範囲を定めることもあります。

b.コーポレート領域(ホームページ・社内報・採用ツール)

組織によっては、主に広報や人事が対応するコーポレート領域をリサーチで取り扱うこともあります。調査で改善する対象物はホームページ・社内報・採用ツールなどがあり、BtoBやスタートアップで特に重要度が高い領域となります。

c.ユーザーコミュニケーション領域(オウンドメディア・SNS・ユーザーサポート・コミュニティ)

カスタマーサポート(主にBtoC)・カスタマーサクセス(主にBtoB)に注力している組織では、ユーザーコミュニケーション領域をリサーチで取り扱うこともあります。調査で改善する対象物はオウンドメディア・SNS・ユーザーサポート・コミュニティなどがあり、改善だけでなく企画のためにリサーチが使われるのも特徴です。

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▼ ④プロジェクト


プロジェクトの項目には、調査案件に対応するプロジェクトを記入します。

④プロジェクト

当然ですが、調査それ自体を目的化して運用していると、データの恩恵を受ける相手が不明瞭になっていきます。全社で参考にするからと安易に対象を広げるのではなく、意図して貢献するプロジェクトを定義するようにします。

調査に対応するプロジェクトは、概ね次のような項目が該当します。

a.事業戦略(ブランド・カテゴリ・エリア・顧客基盤・中計)

事業戦略とは、ブランド・カテゴリ・エリア・顧客基盤・中計など、それぞれの語句に続けて「○○戦略」と呼ばれる、商品やサービスの方向性を決めるプロジェクトを指します。

b.マーケティング施策(販促・広告・宣伝)

マーケティング施策とは、販促・広告・宣伝など、商品やサービスの普及に関わるプロジェクトを指します。

c.UI/UX(表示・機能・体験)

UI/UXとは、表示・機能・体験など、サイト・アプリほか物理的なプロダクトの仕様や操作に関わるプロジェクトを指します。

a~cを通じて、組織で取り扱う調査案件の優先順位を設定することができます。

さて、上記のプロジェクト区分は、単一の部門が自部門の課題や関心に専念して実施できる体制の時には良いのですが、実際のスタートアップではなかなかそうもいきません。緩やかにa~cを横断することが求められ、焦点を定めづらいことがあります。

そんな時には、自身の立場に照らして調査の優先順位を判断します。次のポイントを参考にしてください。

・担当者の場合、調査を通じた自部門の活動成果最大化にコミットする

自身の立場が担当者クラスならば、調査を通じた自部門の活動成果の最大化にコミットします。八方美人の計画は企画段階でウケはいいかもしれませんが、評価面談などのシーンで所属部門への直接貢献が薄いとみなされると調査活動を継続できなくなります。

・管理職の場合、全社最適→部門成果の順で考える方がワークしやすい

自身の立場が管理職クラスならば、担当者の場合とは異なり、全社最適→部門成果の順で考える方がワークします。管理職として調査活動を推進する場合、組織全体の接点を担う業務パフォーマンスが期待されているため大きな粒度のプロジェクトを選びます。

・横断プロジェクト、分科会、ワーキンググループ等を意識するとよい

自身が所属部門よりも組織を横串で貫くことを期待されている場合、横断プロジェクト、分科会、ワーキンググループ等をプロジェクトを意識します。これらの特別活動は既に重要性が認識されて発足しているのでその活動フォーマットに乗じるようにします。

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▼ ⑤調査対象者


調査対象者の項目には、調査に協力してくれる人の種別を記入します。

⑤調査対象者

実際には案件により様々なケースが考えられますが、スタートアップ組織でシンプルな調査運用を考えるなら、次のような類型に落ち着くはずです。

a.自社ユーザー(利用体験・自社評価・併用状況)

自社ユーザーは、利用体験・自社評価・併用状況などを尋ねる想定で設定します。

b.新規ユーザー(利用経緯・認知経路)

新規ユーザーも自社ユーザーの一部として、特に利用経緯・認知経路などを尋ねるのに最適な対象者として設定します。

c.競合ユーザー(利用体験・競合評価・併用状況)

競合ユーザーは、利用体験・競合評価・併用状況などを尋ねる想定で設定します。

d.カテゴリユーザー(生活習慣・消費経験)

カテゴリユーザーは、生活習慣・消費経験などを尋ねる想定で設定します。サービスの運営期間が一定以上あれば、カテゴリユーザーは自社や競合のユーザーも兼ねていることがほとんどですが、調査業務では新市場や強化分野(組織でいま現在情報が足りない分野)を志向して設定します。

e.従業員の家族・友人(参考意見・パイロットテスト)

従業員の家族・友人は、参考意見を尋ねたり、パイロットテストに付き合ってもらう想定で設定します。運営元である自分たちと立場が近いことから、一定のバイアスは発生しますがスタートアップでは貴重な情報源になります。

a~eを通じて、調査の対象となる人と大まかな質問範囲をイメージすることができます。
補足として以下のポイントにも留意しておきましょう。

・自社パネルは新規ユーザー(≒アクティブユーザー)の出現に強い

自社パネル(会員組織化された自社ユーザーの回答者母集団)は一般的に新規ユーザーのリクルーティングに強い傾向があり、アクティブユーザーを対象としたオーソドックスな調査内容では、調査会社の外部パネルを使用するより対象者確保の面で有利なことが多いです。

・カテゴリユーザー対象の調査の時に外部パネルを優先的に利用する

カテゴリユーザーの項目で説明の通り、新市場や強化分野では必ずしも自社パネルで対象者を十分に確保できない状況も訪れます。こういう時には費用をかけて外部パネルを優先的に利用すると良いでしょう。

・活動初期の準備が整わない時は、従業員の家族・友人に協力を仰ぐ

従業員の家族・友人の項目で説明の通り、活動初期の準備が整わない時は従業員の家族・友人に協力を仰ぎましょう。まったく一般の人を対象とする調査の準備は意外と大変なので、調査の精度にこだわるよりも柔軟に対応してもらえる協力者との関係性を重視します。

・自社に近い立ち位置の対象者比率が高いほど偏りも大きいので注意

一方、従業員の家族・友人をはじめ、自社に近い立ち位置に存在する対象者の比率が高いほど、得られる結果の偏りも大きいことに注意します。自社ユーザーですらカテゴリユーザーに比べると慣れや理解が進んでいる場合もあるので留意しておきましょう。

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▼ ⑥調査規模


調査規模の項目には、組織で標準と定める調査の実施規模を記入します。

⑥調査規模

スタートアップだとこの目安となる経験や事例が少ないので、概ね次のような規模感を目安にします。※もちろん人数は多いに越したことはなく、案件特性によっても目安は変わってきます。

a.定量調査:200ss~800ss程度/1回

定量調査(ウェブアンケート調査)の場合は、1回あたり200ss~800ss程度を目安にします。

b.定性調査:4ss~6ss程度/1回

定性調査(インタビュー調査)の場合は、1回あたり4ss~6ss程度を目安にします。

a~bを通じて、定量調査・定性調査それぞれの定番となる調査スペックを定義します。

さて、サンプル数はいったん上記を目安にすることとしますが、実際にはこの中でもまだ幅があります。次のモデルパターンを参考に、さらにイメージを広げていきましょう。

<モデルパターン:定量調査>

・実態把握型のアンケート

定量調査で実態把握型のアンケートを行う場合、200ss~400ss程度を目安にします。これは設計や分析の環境に置き換えると、シンプルな質問構成の時、最小限の基本属性で分析する時が当てはまります。

・仮説探索型のアンケート

定量調査で仮説探索型のアンケートを行う場合、400ss~800ss程度を目安にします。これは設計や分析の環境に置き換えると、カテゴリユーザーの意識・行動を複数の分析軸で調べる時が当てはまります。

<モデルパターン:定性調査>

・ベーシックなデプスインタビュー

定性調査でベーシックなデプスインタビューを行う場合、4ss程度を目安にします。これは実査の場面に置き換えると、同質性が高いグループの時、普遍的なテーマを扱う時が当てはまります。

・トレンドを知るデプスインタビュー

定性調査でトレンドを知るデプスインタビューを行う場合、4ss~6ss程度を目安にします。これは実査の場面に置き換えると、対象者を複数パターン設定する時、社会的な新奇事象をテーマとする時が当てはまります。

調査のサンプル数については上記のように目安となる数を押さえつつ、次のような「考え方」まで身につけておくと案件の状況に合わせて柔軟に対応できるようになります。

・テーマの分析に対して必要な数の下限を考慮して実施意義を考える

調査のサンプル数はもちろん上記の目安にかかわらずあったらあっただけよいのですが、現実的には費用をはじめとしてそうもいきません。サンプル調査では、調査対象テーマごとに分析に妥当な数があるので、その下限を考慮して実施意義を考えていきましょう。

サンプル数は総数を意識することの他に、分析軸の数によって下限を導くことも可能です。たとえば、都市圏に関する調査で東京・大阪・名古屋・福岡の4都市に在住している人を対象にする場合、分析軸の数は4つ、各100サンプルで全体は400サンプルとなります。

・足りなすぎると分析には不十分で、集めすぎると作業は膨大になる

サンプル数は、足りなすぎると十分な分析ができません。これは皆さん気をつけている点だと思います。一方、集めすぎても作業は膨大になります。テーマに対して適量を超えて集めてしまうと、データ量の取り扱いに苦しむことになるので注意してください。

調査会社に発注できる時には、予算上限の関係から集めすぎてしまうという状況は起きにくいのですが、セルフツールを使ってユーザーアンケートができる環境があり、かつ一定数のユーザーを抱えていると万単位の回収もできてしまうので気をつけましょう。

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▼ ⑦実施頻度


実施頻度の項目には、調査を実施する周期を記入します。

⑦実施頻度

気まぐれに調査を行う体制だと、本当にデータが必要な場面で予算や要員などのリソースを確保できません。結果的に実施頻度が少ない体制だとしても、おおよその見通しは立てるようにしましょう。

調査の周期は事業と組織の特性により様々ですが、スタートアップではいったん次のような範囲を目安にします。

a.定量調査:1/四半期~半期

定量調査(ここではアンケートを想定します)は、四半期~半期に1回程度を目安にします。アンケートは実施環境さえ整っていればもっとできそうなものですが、質問を構造化したり、データを集計する手間を考えると意外と時間がかかるので注意してください。

b.定性調査:1/隔月~四半期

定性調査(ここではインタビューを想定します)は、隔月~四半期に1回程度を目安にします。1対1のデプスインタビュー形式なら実施から報告までそれほど時間をかけずに実行でき、実施目的も部分的な範囲で実施しやすいので頻度は高めに保つようにします。

a~bを通じて、定量調査・定性調査それぞれの調査活動のサイクルを定義します。

さて、すんなりと上記の実施サイクルが決まれば良いのですが、スタートアップでは調査活動を定常業務とは見なされないことも多く、この場合は年間の見通しを立てることは困難です。

そんな時には、組織の活動に着目して実施タイミングを見計らいます。調査案件が突然湧いて出てくるのと、あらかじめ予測や提案ができる状態にあるのとでは天と地ほどの違いがあります。次に示すタイミングを参考にしてください。

・キックオフミーティングに向けて

キックオフミーティング、全社会、社員総会、合宿など組織全体のイベントに合わせる方法です。

・周年記念キャンペーンに合わせて

周年記念キャンペーンに合わせる方法です。周年企画はサービス全体のほか、カテゴリ別・メディア別なども考えられます。

・リニューアル計画のタイミングで

リニューアルの計画に合わせる方法です。特にサイト・アプリなどは2~3年も経つと古くなってしまうので、ある程度の規則性を見込むことができます。

・メルマガの運営が軌道に乗ったら

最後は、組織の成長ステージに合わせる方法です。内製型でアンケート実施やインタビュー協力者の募集を呼びかけるツールとしてはメルマガが適しており、メルマガが一定の会員数に達してから定常的なリサーチ運営を目指すやり方もです。

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▼ ⑧実施工程


実施工程の項目には、調査業務の手順を記入します。

⑧実施工程

スタートアップ組織では実行者も承認者も少数体制でリサーチを行うので、特にここに書いてある項目を定義しなくても成り立つかもしれません。しかし調査業務は関係者が増えてくると業務の管理や仕事量の見積もりが重要になるため、初めから整理しておけると後々まとめるのが楽になります。

ここの項目は見たままの内容で、a~bを通じて定量調査・定性調査それぞれで自社で必要な業務を整理します。その際、次のようなポイントに留意します。

・業務工程を定義してスケジュールの見積りにつなげる

業務工程を洗い出す目的は、単に仕事を定義するためではありません。業務工程が定義できているとスケジュールの見積もり精度を上げることができ、案件管理に大いに役立ちます。

・業務工程からユーザーデータへのアクセスやユーザーコミュニケーションといった付帯業務で連携の必要がある部門や個人を洗い出す

アンケートやインタビューは実施が近づくにつれて関連する他部門との連携業務が出てきます。業務工程を参照しながら、ユーザーデータへのアクセスやユーザーコミュニケーションなどで連携の必要がある部門や個人を洗い出しましょう。

・企画書・報告書などにサマリで記入する時の表記は、企画・設計・実査・集計・分析・報告くらいの粒度にする

調査業務の長い実施工程を企画書・報告書などの主要アウトプットに記載すると資料の内容が重たくなってしまいます。そういう時は業務工程をある程度簡略化して、企画・設計・実査・集計・分析・報告くらいの粒度にすると良いでしょう。

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▼ ⑨アウトプット


アウトプットの項目には、リサーチ業務を通じて作成する基本成果物を記入します。

⑨アウトプット

調査では、一般的には次のような成果物を作成します。

a.企画書(計画の全体像を示すもの)

企画書は、調査計画の全体像を示す成果物です。調査の成果に関する情報と実務の進め方に関する情報でバランスよく構成します。

b.アンケート調査票(質問票:定量調査)

アンケート調査票は、定量調査における質問票です。基本は質問項目を収録したファイルを指しますが、業務の関連性から配信・回収・集計計画なども同一ファイルに収録することも多くあります。

c.インタビューガイド(質問票:定性調査)

インタビューガイドは、定量調査における質問票です。基本はインタビューの質問項目や進行手順を収録したファイルを指しますが、リクルーティングの計画を同一ファイルに収録することもあります。

d.速報(実査の記録を伝えるもの)

速報は、実査の記録を伝えるものです。調査は実施から報告書をリリースするまで一定の時間を要します。場合によっては一ヶ月程度かかることもあるので、その間は速報を発信して組織内の情報ニーズに応えていきます。

e.報告書(分析結果を伝えるもの)

報告書は、分析結果を伝えるものです。定量調査では質問ごとの結果、定性調査では対象者ごとの結果を記し、考察・示唆を加えて分析結果を報告するための成果物です。

a~eを通じて、調査活動から創出する作成ファイルを明示します。

このパートを作成するにあたっては次の点にも留意します。

・報告書以外のドキュメンテーションも記載する

調査の成果物は報告書に集約される進め方が一般的です。しかし実際には上記のような中間時点のドキュメンテーションも重要であり、活動全体の業務成果を伝えるために報告書以外のドキュメンテーションも記載するようにします。

・各成果物が担う情報や機能の範囲を明確にする(報告書だけでは企画背景や調査設計が十分にわからないことが多い)

調査で得られる各成果物が担う情報や機能の範囲を明確にします。報告書だけでは企画背景や調査設計が十分にわからないことが多いので、どのドキュメントがどの範囲までを担うのかを定義していきます。

・調査の役割が高度な機能を求められている場合はフレームワークの名称等を記入する場所にする

もしあなたが担当する調査の役割が組織の中で高度な機能を求められている場合は、フレームワークの名称等を記入する場所にします。業務の基本成果物だけだとおそらく役割を説明しきれないからです。

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▼ ⑩関連KPI


関連KPIの項目には、リサーチにより貢献する目標指標を記入します。

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a.事業運営指標(部門KPI)

事業運営指標は部門KPIを記入します。

b.経営評価指標(全社KPI)

経営評価指標は全社KPを記入します。

a~bを通じて、調査が関与する領域のKPIを明確にします。この項目は各領域のKPIがわかっていればすぐに埋まるのですが、意外と調査活動の中でKPIは見過ごされがちです。次のポイントに留意しておきましょう。

・調査が関わる事業やプロジェクトのKPIを明記する(KPIが不明な活動の調査企画は再考する)

調査の仕事では関わる事業やプロジェクトのKPIをできるだけ明記するようにします。立場によっては案件対応数など仕事量を成果基準としている場合もあろうかと思いますが、支援・協業先の目標も常に気にかけるようにします。逆に、KPIが不明な活動の調査企画は再考すべきでしょう(依頼主が自身の業務のKPIを設定できていないケースもよくあります)。

・「売上達成」や「顧客理解」などの究極的な表現は極力使用を避ける

調査の目標にはつい格調高い文章表現を採用してしまいがちです。成果の表現として多い「売上達成」や「顧客理解」の使用には十分注意しましょう。これらは究極的な表現なので、案件の詳細にかかわらず何にでも当てはまってしまいます。万能なのでこの表現を使うこと自体は避けられないと思いますが、使いどころは慎重であるべきです。

・調査による貢献が定性要因メインの場合、組織改革の成熟度や推進度の置き換えて定量化する

ここまでKPIで考える重要性を説明してきました。とはいえ、調査活動はどうしても抽象度が高くて重要な目標が含まれます。たとえばペルソナを作成するための調査ではペルソナが直接的に売上を創出するわけではありません。しかし組織として基本的に揃えるべきデータと言えます。こういう時は、組織改革の成熟度や推進度を用いて定量化を試みます。

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▼ ⑪実行体制


実行体制には、組織におけるリサーチのレポートラインや業務管掌・役割分担を記入します。

⑪実行体制

資料上は組織図も似た機能を持ちますが、よりリサーチにフォーカスした整理を加えていきます。スタートアップ組織の実行体制は、次のような項目で構成します。

a.管掌部門:****本部 ****部

組織の中でリサーチを担当する本部・部門を記載します。小規模組織では大企業と違って予算や要員が分散する状況は望ましいことではないので、記入するタイミングで調査を主導する部門を明らかにしていきます。

特にスタートアップでは、個人の技能に実際の業務が割り当てられやすく、リサーチのように大所帯にはなり得ない組織機能は、組織が成長してもなお個人に留まり続け、引継ぎ等が容易でなくなるので注意します。

b.担当体制:**(実行者)、**(承認者)、**(情報提供者)

実務で調査を担当するメンバーを記載します。実行者(実査や分析を行う人)、承認者(企画や費用の決裁を行う人)、情報提供者(データ協力・アドバイスなどを行う人)のように、役割をはっきりさせます。

この役割分担や共有範囲の設定が甘いと、計画した内容を予定通り実行できなかったり、「私はその計画を承知していない」「私にも結果を教えて欲しい」という人が後から次々と現れてしまい大変になります。

a~bを通じて、関係者と役割を整理することができます。
実際にこの項目を決める時には、特に以下のポイントに留意しておきましょう。

・役割と権限を明確にしておく

担当体制にある通り、調査に関わる人の役割と権限を明確にしておきます。他の専門業務に比べるとリサーチはここが曖昧なままスタートするケースが多いのですが、フタを開けたら実行者も確認者も稼働見積りが甘かったという事態が起きがちなので注意します。

・合議制では誰が企画内容を決裁するのかを曖昧にしない

調査内容を考える業務シーン、特にアンケートの調査票作成では合議制で進むことがほとんどです。それ自体は避けられないことですが、合議制のもとではそれぞれの立場が主張され、調査票上で意見がまとまらなかったり、矛盾した内容のまま決着することがあります。

こうした環境で実施されるアンケートはまず回答者を惑わせてますし、ひいては結果データを見る自分たちをも苦しめます。ですので、合議制では誰が企画内容を決裁するのかを決して曖昧にせず、最終的に判断を一任する人物(たいていは管掌部門長)を決めておきます。

・予算部門と調査部門は同一の組織であることが望ましい

調査の予算を管掌する部門と調査の実務を管掌する部門はできるだけ同一であることが望ましいです。すなわち、事業部門が運用する場合は事業部門が(例:ブランド事業部)、機能部門が運用する場合は機能部門が(例:マーケティング事業部)が権限を持ちます。

まれにこの関係性が襷がけになっていて、予算部門と実行部門が分かれているケースがあるのですが、責任の所在や成果の定義についての認識を合わせるのが難しく、たいていどっちつかずの中途半端な運用になります。予算の更新期に極力見直すようにしましょう。

・業務上・討議上の関与メンバーもリストアップしておく

調査業務の関係者と言うと役員や部長を意識するものですが、決裁者との関係性だけでは調査業務を円滑に実行することはできません。担当体制を記入する時は、業務上・討議上の関与メンバーもリストアップしておき、あらかじめ人間関係を作っておきましょう。

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▼ ⑫共有方法


共有方法には、調査結果の報告や進捗状況の共有を行う活動単位を記入します。

⑫共有方法

前項に続きレポートラインの話ですが、より広い関係者の範囲を設定していきます。スタートアップ組織の共有方法は、次のような項目で構成します。

a.報告会/勉強会(担当者主導で全社へ)

報告会や勉強会を通じて調査結果を共有する方法です。調査の担当者主導で全社に向けて公表する時に使います。調査報告に特化した特別会議体なので、実施概要から分析結果まで詳細に共有できることが特徴です。もし調査会社に業務を発注していれば報告や講師は依頼できるかもしれません。

b.部会/部門キックオフミーティング(部門長主導で部内へ)

所属する部門の定例会議である部会や、半期などの周期で行われる部門のキックオフミーティングで調査結果を共有する方法です。調査を管掌する部門長主導で部内に向けて公表する時に使います。大きな会議体の中で実施するため、部門方針の裏づけとなる部分の抜粋説明が中心となります。

c.役員会(部門長主導で経営層へ)

役員会を通じて調査結果を共有する方法です。会議の参加者要件が限定されていることから、部門長主導で経営層へ報告する形態を取ります。調査結果の詳細を伝えるのは時間的に難しいことが多く、サマリの出来が報告成果に直結する特徴があります。

d.分科会(担当者主導で分科会内へ)

新規企画や改善事項を検討する分科会を通じて調査結果を共有する方法です。プロジェクトのメンバーである担当者主導で分科会内へ報告する形態を取ります。プロジェクト側の課題や期待と調査データが一致することや、プロジェクトメンバーの関心が高いことから、調査報告が成功する確率は高いやり方になります。

e.全社キックオフミーティング(経営層主導で全社へ)

全社キックオフミーティングを通じて調査結果を共有する方法です。経営層主導で全社に向けて方針や施策を伝えるのと同時に、エビデンスデータとして調査結果を共有する形態を取ります。a~eの中では調査の実施価値が最も実感されやすいやり方になります。

a~eを通じて、報告や共有の環境を定義することができます。
ただ、実際にはいずれか一つを選択するというより組み合わせて調査成果を伝えていくことになります。調査を担当する部門の特性によって変わるので、組み合わせ方は以下のモデルパターンもご参照ください。

<モデルパターン>(会議体ベース)

①部門主導(部会+部門キックオフミーティング)

自身の立場が担当者で、担当する事業や機能の個別調査を行う場合が該当します。このパターンでは調査結果の個別性が高くて内容を全体で参照することは難しいことが多いので、部会と部門キックオフミーティングで共有していくのが通例です。

②本部主導(報告会/勉強会+役員会+分科会)

自身の立場が組織を横串しで立ち回る担当者で、重要施策や投資事項を扱う場合が該当します。このパターンでは調査結果を母体のプロジェクトに加えて全体で参照することが多いので、報告会/勉強会+役員会+分科会など各レイヤーに共有していくのが通例です。

③経営主導(役員会+全社キックオフミーティング)

自身の立場が経営層の側近となる担当者で、ブランド・サービスの総合調査はもちろん、会社単位の経営戦略を決定する市場調査を行う場合が該当します。このパターンでは役員会でのコミュニケーションを重視しつつ、全社キックオフミーティングなどを通じて方針を共有していくのが通例です。

モデルパターンを見る時は以下のポイントも参照してみてください。

・データを共有する会議体とそれにより定義される共有範囲を明確にする

ご覧の通り、会議体をベースにすると誰にどのように伝えるのか、上手く整理できるようになります。共有範囲を人物単位で考えていると仕事が小さくまとまってしまいます。既存の会議体の成り立ちを上手く活かして共有範囲を明確にしていきましょう。

・上記のモデルパターンにとらわれず、組織全体で参照できるようにする

上記のモデルパターンはあくまで自身の立場に合わせて報告成果を最大化するための手段です。実際は立場にかかわらず、できるだけ組織全体で参照できるようにする体制づくりに励むのが理想です。

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▼ ⑬対応予算


対応予算には、調査費に対応する予算を記入します。

⑬対応予算

調査業務で使用する経費の使徒と金額を明記していきましょう。スタートアップ組織の対応予算は、次のような項目で構成します。

a.定量調査:ウェブアンケートツール利用費、アンケート回答謝礼

定量調査では、ウェブアンケートツール利用費、アンケート回答謝礼などが主な費目となります。

b.定性調査:インタビュープラットフォーム利用費、インタビュー協力謝礼

定性調査では、インタビュープラットフォーム利用費、インタビュー協力謝礼などが主な費目となります。

a~bを通じて、予算上限と使途配分を設定することができます。

ここで気をつけたいのは、いずれかの手法のみで運用していると結果の偏りや成果の限界も訪れることです。そこで、調査に充てられる年間予算をもとに、できることを最大限模索していきます。以下のモデルパターンを参照しながらご自身の組織に合うようアレンジしてみてください。

<モデルパターン>(年間予算ベース)

①0円(フリーアンケートツール+インタビュー機縁法/無償)

予算が全く無い場合は、フリーのアンケートツール(Googleフォームなど)とインタビュー機縁法(無償協力)で組み立てます。予算が(少額ではなく)ゼロということは、全く費用をかけられないというより、組織の中で業務や成果のイメージがつかないという状況であることが推測されます。まずは取り得る方法の中で業務への貢献を積み重ねていきましょう。

②15万円程度(ウェブアンケートツール+インタビュー機縁法/有償)

予算が15万円程度の場合は、ウェブアンケートツール(ライトプランやスポット利用)とインタビュー機縁法(有償協力・少人数)を軸に組み立てます。予算が付いているとはいえ展開方法は限られているので、組織が重視している手法または自身が腕に覚えがある手法を軸にそれが四半期の間に成り立つようにし、もう一方の手法は残予算で実施すると良いでしょう。

③30万円程度(ウェブアンケートツール+インタビュープラットフォーム)

予算が30万円程度の場合は、ウェブアンケートツール(ミドルプランやスポット利用)とインタビュープラットフォームを軸に組み立てます。定量・定性いずれもセルフサービスのリサーチツールを定期的に使っていくということは、調査の業務サイクルができてきているということであり、スタートアップではまずは予算30万円が一つの到達点になります。

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▼ ⑭調査会社


調査会社の項目には、利用するツールや提供元の調査会社(支援会社)の情報を記入します。

⑭調査会社

例示のように、会社名・参考URL・紹介文・契約期間・費用計画・選定理由などをまとめます。

a~bを通じて、調査会社とツールを選定していきます。
この項目はほぼ事務的な情報から構成されていますが、以下のポイントに留意しながら記入するようにします。

・自社の典型的なモデルパターンから契約期間や費用規模を見積もる

リサーチ活動の立ち上げや期首に調査計画を立てる文脈においては、いきなり個別案件にかかる費用の大小を見極めるよりも、自社の典型的なモデルパターンから契約期間や費用規模を見積もる方が合理的です。その平均的なケースを基準に規模の大小も判断しやすいからです。まずは典型的なモデルパターンを作っていきましょう。

・契約期間の設定がない単発型の場合も年間のコスト効果を意識する

アンケートツールはサブスクタイプの定期契約サービスであることが多いですが、契約期間の設定がないスポット利用の場合でも年間ベースのコスト管理を意識しましょう。これはアンケートツールでもインタビューツールでも同じ話です。年間で費用と成果を検証していく方が組織のコスト管理の志向性とマッチしやすいからです。

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▼ ⑮参考図書


参考図書の項目には、部門やチームで教科書代わりに使う書籍を記入します。いくつあってもよいのですが、できるだけ入門書であることと、理論と実務のバランスが取れた本である方が多くのスタッフが参考にできることでしょう。

⑮参考図書

例では、マーケティングリサーチとデザインリサーチそれぞれのおすすめ書籍をピックアップしています。それぞれ定量調査と定性調査の基本書と位置づけることもでき、方針や手順で迷った時にたびたび見返せる内容が詰まっています。

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