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『スキップとローファー』を推すだけの記事

2023年春アニメとしても放送されている『スキップとローファー』。今回はこの作品(原作の漫画含む)をひたすら推す記事になります。

元々、TVアニメ化する前から原作は読んでいた。まぁ原作知ってるし、アニメは別に良いかな…と思い、スルーする予定だった。

が、主演が黒沢ともよ、ということであれば話は別です!

あまり女性声優を好きになることはないのだが、黒沢ともよは大好き。
『響け!ユーフォニアム』の黄前久美子の、なんとも言えない演技が本当に好きだった。きらきらなヒロインっていうよりも、ちょっと気だるげな主人公というか、キョンみたいな昔のラノベ主人公感の演技が凄いうまい。

モノローグとか、キャラによる語り、をやらせたら女性声優NO1だと思う。


そんな黒沢ともよが、好きな作品の主人公を演じる、ということで視聴が確定した。しかも、調べてみると、製作はP.A.WORKS。個人的に絶対60点以下の作品はつくらない、安心・安全のスタジオのイメージ。

こりゃ見てみなきゃ、ということで見てみました。
そしたらあまりの良さに悶絶。そのまま改めて原作読み直して、何だこの神漫画は、と再認識したので、ご紹介させてください。


友情モノとしての魅力

この作品、ジャンル的には恋愛モノに分類されるかもしれない。どちらかというと、少女漫画よりの。パッとしない女性主人公が、イケメンと恋する話。
本筋としてはそうかもしれない。でも、そんな浅い物語ではない。少なくとも自分の好きな箇所はそこではない。


この作品は主人公である「みつみ」を中心とする、友情物語が、個人的にはメインだと思っている。
中でも、みつみがいないと成立しない、不思議な友情の輪が少しずつ大きくなっていくところが凄い好き。

例えるなら、『君に届け』のギャル女子二人と黒沼爽子の友情成立エピソードがずっと続く感じ。今作の主人公である、みつみはあそこまで根暗でなく、むしろビックリするくらい前向きな人物だが。


好きなエピソードがありすぎて、どれを話そうか悩むが、序盤の好きなエピソードを1つ。

根暗で人見知りな女子、久留米誠。

『スキップとローファー』 第4話より

彼女のエピソードがめちゃくちゃ好きだ。
主人公のみつみのポジティブさや無邪気さに、周囲の人間には色々なタイプの人物が集まってくる。その中には、誠が苦手な、パッと見はチャラい(陽キャ)な人たちも多い。もちろん、彼らもめっっちゃ「いい人」なのだが。

そんな陽キャと、陰キャである誠が、主人公のみつみをキッカケとして少しずつ仲良くなっていく、このサイドストーリーが共感もでき、すごく染みる。
彼女の、主人公たちへの最初の印象はこんな感じ。

『スキップとローファー』 第4話より

しかし、無邪気なみつみにグイグイと誘われて、彼らと少しずつ仲良くなっていく。特に、このコマで派手ギャルと言われている村重さんとの関係性。これが最高。

割りと初期ではサバサバ系ギャルとして描かれる、村重さん。超絶美人だが、それゆえに、自分の容姿や性格にコンプレックスを感じている誠は苦手意識を持ってしまう。色んな人達でお出かけ、みたいなイベントのときも、

『スキップとローファー』 第5話より

こんな感じで、ギクシャクとした関係で始まってしまう。

でも、異なる価値観、見た目、属性、そんなの関係なく、愚直に向き合い、みんなと仲良くなっていくみつみを見習い、真正面から(文章だけど)村重さんに想いを伝える。

『スキップとローファー』 第5話より

そして、二人は少しずつ仲良くなっていく。
二人がメインエピソードになることはあまりないけども、話のちょっとしたシーンで、この二人がしっかりと友情を育んでいるシーンが見られる。
本当に微笑ましい関係。


これだけに限らず、どのキャラも、どのエピソードも本当に質が高い。そして、自分がこの作品が大好きな理由が、「主人公がキチンと主人公している」からだ。

直接的にせよ、間接的にせよ、主人公の行動によって、周りの登場人物たちの意識・行動が変わり、新たなドラマが生まれていく。それによってサブキャラたちにも魅力が生まれ、その魅力の連鎖が広がっていく。


こうしたストーリーの作り方とかだけじゃなく、演出とかがべらぼうに上手い。
主人公のみつみが田舎に帰るだけの話があるのだが、実家の安心感とか、空気感とかを描くのがウマすぎて…

本筋に絡まない箸休め的な話なんだろうけど、めちゃくちゃお気に入りの話。


ナレーションうめぇ…

アニメの方の話に入ります。

まずは冒頭、早速黒沢ともよのナレーションからストーリーは始まる。
めちゃくちゃ上手い。やっぱ演技がめっちゃ好きだ~

正直、最初は自分の中の原作のイメージと違う声だったりもしたんだけども、それは本当に最初だけ。あっという間に馴染んできた。自分の好きな黄前久美子の時の演技をベースに、ちょっと可愛いさをプラスした感じ?個人的にはもう少し低くても良かったんだが。


こういう青春作品って、キャラの心情が語られるナレーション、めちゃくちゃ大事。特に、この作品は原作から主人公のみつみの独白が非常に良い。だからこそ、声優はめちゃくちゃ大事なのだが、これに黒沢ともよを選んでくれるスタッフ~!
めちゃくちゃセンスいいです。はい。

個人的にはモノローグをやらせたら、男性声優は杉田、女性声優は黒沢ともよ、な印象です。


すべてが丁寧にアニメ化されてる

思わず暴走気味に黒沢ともよの魅力を語ってしまったが、アニメ単体としてもすごく丁寧に描かれており、完成度が高い。
これは上ブレした時のP.A.WORKS。

ギャグシーンで緩急つけて非常に見やすいテンポで描いているし、進め方も非常に丁寧。原作のコマとコマを丁寧に補完するような形での理想のアニメ化と言える。


特に素晴らしいのが、キャラデザと音楽。

個人的にはここ最近のアニメ界でトップクラスに原作再現できているキャラデザだと思う。淡い色使いとか、細い線とかの原作のタッチをすごく上手くアニメに落とし込んでいる気がする。あとは、それに合わせた背景含めた色彩設定とかもすごくいい仕事をしているのではないだろうか。
とにかく原作の絵が動いている感じが凄い。

あとは、要所でかかる音楽が素晴らしい。青春アニメとして、目立ちすぎず、しっかりと盛り上げている。何気にすごく大事な要素だと思っている。カッコいい音楽を作ることが音楽家の仕事ではない。
『宇宙よりも遠い場所』とかもすごく音楽が良かったし、あれも傑作青春アニメだ。

上記『よりもい』との共通点といえば、「主人公が必死に走るシーン」が1話であること。
だいたいの青春アニメにおいて描かれるこの手のシーンをどうやって演出するか、というのが青春アニメの力の見せどころだと思う。

今作品もしっかりとこれに合格点を出してきている。
これから物語が始まるぞ!というワクワク感をあらわした、非常に良いシーン。


とにかく、スタッフに恵まれているアニメ化。原作を読んでない人でも、まずはアニメからでお手軽に体験してみて下さい。
みつみの帰省シーンとかアニメで見たいけど、カットされちゃいそうだなぁ。

めちゃくちゃ長文になってしまったけども、『スキップとローファー』のオススメ記事でした。以上!

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