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自分のダメさを示すハンバーガー

自分は「バーガーキング」が大好きだ。ハンバーガーチェーンだと1番好き。シンプルな肉の味で勝負する潔さが好きなのだ。しかし、残念なことに、近所には店舗がない。

だから、新作バーガーが出たらなにかの用事にかこつけて、バーがーキングまで食事をしにいくことが多い。今日はそんな感じで、映画を見に行った帰りに、バーガーキングを食べに行った時の話。


映画終了は夜の少し遅め。そこからお店まで向かうと着くのは閉店1時間くらい前。食事をし、家に帰り、日付が変わる前にはお腹いっぱいの状態でぐっすりと眠る。

そんなプランを考えながら、バーガーキング秋葉原店に向かった。手慣れた様子で購入しようとすると、店員が
「ただいまの時間は、お持ち帰りのみです~」
というアナウンスが。

「そんなバカな、店舗の閉店時間まであと1時間以上あるはず…?」
と思いながらも、はじめてしまった注文を中断するという、冷静な行動は取れなかった。せっかく秋葉原で途中下車してここまで来たのだ。新作バーガーを食べずに帰るのはなんか悔しい、という意地が生まれた。注文完了ボタンを押す。

待ち時間に調べると、どうやら秋葉原店は火曜日だけ閉店時間が1時間早いらしい。さすがにそこまでは調べきれていなかった…


バーガーキングは多少は冷めても美味しいところも魅力の1つではある。しかし、せっかくの新作バーガーなら温かいベストな状態で食べたい。自分は熱い料理をほっといて写真を撮るのが嫌いなくらい、「できたて」にはこだわりがある。

仕方がないから公園とかのベンチで座って食べることを画策する。ちょうどつい最近、秋葉原で終電を逃し、友達とゆっくり座れる公園を探して歩きまわるという、ダメ大学生のような経験をしていた。おかげで、秋葉原の公園の位置は把握済みだ。世の中、なにが役に立つかは分からない。


しかし、外に出ると急な大雨…
自分の臨機応変なプラン変更さえ、天候によって潰された。さすがに、雨に濡れながら熱々のハンバーガーを食べたいと思うほど、ホカホカを求めている人間ではない。

致し方ない。山手線に乗り、自宅までバーガーキングを抱えて帰るしかない。


この帰りの時間が地獄だった…

別に自分のことなんて誰も見ていない。そんなことはわかっている。しかし、すごく恥ずかしい。普段ならテンションが上がる、ハンバーガーの美味しそうな匂いが袋から漏れてくるたびに、なぜかテンションが下がる。「出てくるな…!」と思いながらビニール袋をキツくしばって封をする。

この言いようがない羞恥心は何なのだろうか。外から見たらただハンバーガーの袋を持っている成人男性だ。そりゃ多少は匂いはするかもしれないが、悪臭ではないのだから、問題ないはず。


これは自己嫌悪からくる羞恥心なのだろう。
時間をしっかり調べられなかった爪の甘さ。最初の目的に固執して適切な判断ができなかったこと。そのくせ、結果は妥協した形になり不満に思っている。

そんな己の未熟さをくやみながら、密室空間である電車に乗っている。ファストフードのお持ち帰り特有の良い匂いを漂わせながら。なんだか、自分のダメさを公衆にさらしているような気持ちになってしまったのだ。


あるマンガの名シーン?を思い出した。

『鬱ごはん』 3巻 81話より


鬱野たけしと同じように、己の欲望や人間性を晒していた気分だった。
誰もバーガーキングの袋1つでそこまで理解できるわけないのに。勝手に邪推してこんなことを思うって、人間はめんどうくさい生き物だ。

ちなみに鬱ごはんはめちゃくちゃ名作です。めんどうくさい人間の考え方がいっぱい書かれていて、読んでいてすごく安心する。
以上!

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