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猫の愛くるしさたるや

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猫の愛くるしさたるや

最近の記事

花粉症患者の怒りの矛先

今、花粉症に苦しんでいる諸君。 いまこそ痒い目で真実を見る時である。 花粉症を発症すると、みな花粉へ、杉の木へ怒りの矛先を向ける。 その切先は真っ直ぐであり、今にも叩き切りそうな迫力である。 しかし私はすっと切先に手を添え、ノンと言ってやる。 痒いのは目である。口内である。耳の中の人もいる。 そう、我らの身体が引き起こしているのだ。 馬鹿みたいに反応して、痒みを引き起こすこの身体。ちょっとの傷で、ヒステリックな叫び声を上げるセンチメンタルな母親のよう。 誰かは言う。

    • 本を読むこと

      高校生の頃、電車の中では本を読んでいた。 キッチンでは料理を作り、浴槽では湯船に浸かり、それらと同列に電車では本を読んでいた。 ブックオフで、簡単そうと思い、カフカの「変身」に触れたのが、きっと文学に触れる最初の一歩だった。 カフカ、カミュ、ヘルマン・ヘッセ、川端康成、ヘミングウェイ。 世界史の教科書に載っている作者のものを読めば良いのだろう、と、何を読みたいか、ではなくこれを読めば問題ない、と読んでいた。何の問題がないのか、については分からない。しかし読む手は止まらなか

      • 世界樹

        ドラクエ11など、ファンタジー作品には世界樹と呼ばれるデカすぎる樹が登場する。 世界樹はその世界で起きた全てのことを記録しており、ドラクエ11では世界樹の記録から魔王打倒の作戦を導き出す。 この世界樹は2つ凄い点があると思う。 1,アクセス速度 ドラクエ11の世界樹は(他もそうかもしれないが) 世界で起こったこと全て記録している。 そして、ある情報を求める者が現れた時、相応しい情報を与える。 この与えるまでのスピードには目を見張る。 過去全て記録しているにも関わらず

        • クリスマスディナーの一言

          「とても美味しそうでした」 テーブルに料理を置きながら、ウェイターは溢すように言った。 僕たちはそれが料理紹介の一言目と認識できなく、呆気に取られた。

        花粉症患者の怒りの矛先

          Bondeeについて

          台頭してきたBondee、友達も何人かやってる。 そんな新たなSNS、Bondeeについて書いていく。 Bondeeの特徴 これまでのSNS、例えばInstagramや Twitterは過去と現在を共有する。 「こんな美味しいもの食べました!」 「今これが欲しい!」 「1週間後楽しみだなあ」 これらは今より過去、或いは今、今からまだ見ぬ未来を綴っている。共有が当たり前になったので、深く考えたことはなかったが、写真というものは当然過去しか写さない。それを主軸にしたInst

          Bondeeについて

          グラスの水の中の氷

          ファミレスで勉強や読書をしている時の机の上は、定式化されている。 本或いは参考書と、頼んだ食事に、水の入ったグラスが机の上にあり、それぞれを消費したい時にそれぞれを手に取る。 本を読んでいると、カランと音が聞こえる。グラスの水に入った氷が立てた音だ。 氷は歪なバランス感覚で水の中に入っているが、時間が経つごとに溶けて、これまでの接地面が溶けて、バランスを保てなくなり、終いには音を立て、新たなバランスを獲得する。 僕はいつも驚かされる。唐突なカランは落ち着きが支配するファ

          グラスの水の中の氷

          嫌いな考察の考察

          昨今、考察が流行っている。 ワンピースでは「黒ひげの正体考察」や「ひとつなぎの財宝についての考察」などがあり、他作品に関しても考察が溢れている。 特にYouTubeを開けば考察チャンネルのようなものが乱立しており、流行っている、と言えるだろう。 私は現代に吹き荒れている考察流行が嫌いだ。 考察とはA→B→未知のCと論理的に次なる展開を予想すること、或いはC→B→Aと物語初期の行動の真なる意図を解き明かす行為である。 漫画作品をピタゴラスイッチのビー玉装置として取り扱うことを

          嫌いな考察の考察

          夢を見たんです。

           内容は忘れてしまいましたが、僕が何かに悩んでいたら、その僕を冷笑する様に、 「不安も心に焼べられるよ。」  と一言返してきました。  朝起きて、顔を洗い歯を磨いてる時も、この言葉が胸につっかえていたのでここに書き残しました。 「不安も心に焼べられるよ。」  不安でも、それは心の栄養であり、経験値として感性を磨く研磨剤となるから無駄ではないよ、という事なのでしょうか。  僕には真意はわかりません。夢の中で紡がれた言葉、或いはいつか読んだ小説の台詞なのか。どちらにせよ

          夢を見たんです。

          ちょっとしたメモ

          ※脚色してます 僕がアンケートのデータ入力のバイトをしていた時、一枚のアンケートに目が留まりました。 50代・女性・一人暮らし・世帯収入100万円以下。 不穏な空気は感じましたが、私情は挟まず黙々とパソコンに打ち込みました。 しかし「最近買った冷蔵庫の容量」という項目で手が止まってしまいました。 140リットル以下に○、そして次の設問の「以前使っていた冷蔵庫の容量」には400リットル以上に○がついていました。 ただの○にここまでのメッセージ性を含ませられるのか、と。

          ちょっとしたメモ

          鶏塩つけ麺

          その日は役所で転出届を発行する必要があった。大倉山駅で降り、以前働いていた塾の前を通り、健康診断の入口には惑わされず、役所に通ずる自動ドアをくぐった。 どの窓口が適しているのか、キョロキョロと探していると中年の女性が近づいてきた。要件を聞くと1枚の紙を渡してきた。どうやら転出届発行に必要な書類らしい。名前やその時とその時以降の住所を記入し、指示通り21番窓口へ。 幾つかの身分証明書を見せると、職員が勝手に転出届に必要な処理をしてくれる。その様は商品が出来るまでのベルトコン

          鶏塩つけ麺

          好きな小説の何節か

          カミュ『転落』より 自分が正しい側にいるということ、それだけで良心の平静を保つことができたんですよ。 自分の長所しか認めないことによって、愛想のよさと平静さを保てたのです。 残念ながら、ある年齢を過ぎると、人間は誰でも自分の顔に責任をもたなければなりません。 快楽においては、誰も偽善的ではいられない。

          好きな小説の何節か

          「最近面白いと思ったプロモーション」

          就活時代、良いの書けたかも!と思ったものを載せます。これを提出した企業は書類は受かり、面接は落ちました。 以下がそれです。 ─────────────────────── ユニリーバの履歴書の試みです。 3月6日、ユニリーバは履歴書に性別と顔写真の記載を無くし、名前も苗字のみという徹底ぶりを見せました。 ジェンダーやルッキズム問題を解消するための措置かもしれませんが、わたしには他にも意図があると思いました。 結論から言うと、ブランドイメージの向上と新卒採用の宣伝に使用したと

          「最近面白いと思ったプロモーション」

          ビジネスに潜むオシャレ

          IT企業では何かを開発する際、テストを行う。バグがないか、正しい挙動をするか、などを確認するためである。 その際、テスト者以外にもテスト結果を共有できるように"キャプチャー"というものを取得する。 キャプチャーとは、端的に言えばPC画面の写真のことである。このキャプチャーを使用し、テスト者以外の第三者はテストの成果を確認する。 今回ここで書きたいことは"キャプチャー"という言葉と意味するものの関係である。 英語ではcaptureと記し、その語の通り"捕まえる"という意味が原

          ビジネスに潜むオシャレ

          昼と夜の跨ぎ

           コロナのおかげで、アメリカにいる友達とメールのやり取りを頻繁にするようになった。アメリカの時間は日本の時間のマイナス13時間で、友達が起きると僕は寝ることを意識しだしている。  「おはよう」と僕は深夜0時に友達に送る。そして友達は「今日何した?」と、僕はそれに答え、「君は今日何するの?」と返す。  僕が起きた時は友達が(アメリカは夜にも関わらず)「おはよう」と。そして友達が起きた時と逆のことを聞き合う。  とても不思議だ。1日とは何なのか、ここまで強く疑問に思ったこと

          昼と夜の跨ぎ

          21の夜道

          夜の道に落ちている何かほど不気味で、それなのに目が離せないものはない。これは断定できる。僕の中では決定的なことだ。 今日も見た。暗いアスファルトの上に一際目立つ白い物体。目を背けたくなるが意志に反して目は捉え続け、足は一歩一歩踏み出す。ただのタオルだった。ピンクとブルーの縞模様のタオル。何を恐れていたのだろう。 そういえば先日この辺りで犬か猫が車に轢かれていた。死骸と思しきモノの隣には飼い主であろう人がポツリ。不思議と絶望や悲哀の念は浮かべておらず、やっちまったもんは仕方

          ちょっとした気づき

          「昔昔あるところに〜」 この書き出しは、それ以降に書かれる世界をある程度規定している。 まず、過去であること。 この世界、この私が生きている世界の時間軸をそのまま滑っていくと、「昔昔あるところに〜」で書き出される世界が存在していることになる。 そして、現実であること。 昔のことではあるが、別世界の話ではないのだ。フィクションではなく、ノンフィクションであると言っている。ミケランジェロの逸話は『桃太郎』や『一寸法師』と大差ないことになる。 「昔昔あるところに〜」は、その

          ちょっとした気づき