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アオサギ・リベンジ…なるか

忘れていたわけではありません。
一月に挑戦して、いろいろ納得いかなかったアオサギの水墨画。

シリーズ化しつつある「墨で鳥」も、このアオサギ先輩から始まりました。
それまでほぼゼロだった鳥に関する知識が少しずつ増え始めたのもこのころで、春には庭の鳥の巣を観察する機会にも恵まれました。

そうなってくると、アオサギのことばかり考えてはいられない。
いつかもっとかっこいいアオサギを描いてやるぜ、と思いつつ、なかなかアオサギに再挑戦できない日々が続きました。

アオサギ先輩が呼んでいる!と思ったのは、先日俳句大会に向けて俳句を詠むべく夏の季語を探していた時。
「青鷺」って、夏の季語なんですって!
ええと、「青鷺や睨みきかせて魚飲む(あおさぎやにらみきかせてさかなのむ)」…却下。

しかし別ネタで俳句をひねりながらもアオサギは私の頭から離れる様子はなく。
この土曜日は今週公開となった『Planeta Praha(惑星プラハ)』というドキュメンタリー映画も見に行って(詳しくは後述)大画面で活躍するアオサギも堪能。
とうとうアオサギを描くべく筆をとりました。

ところがうまくいかない。
一月から進歩してないどころか退化している?

前回の「墨でアオサギ」はかなりアップで描いたのですが、今回はまず全身を描いてみました。体のフォームはなんとか取れるのですが、顔が、特に目が描けない。
アオサギの写真を見ていただければわかると思うのですが、彼らはかなり「怖い」表情をしています。まん丸の目に小さな瞳孔、目の下まで裂けている嘴。
この顔に魅せられてアオサギに挑戦しているのですが、写真を見てそれを墨で再現しようとすると、すごくコミカルになってしまう。
それこそ20枚くらい描いた後(そのうちの一枚が見出し画像)全体を簡略化して描く水墨画で目だけ、こんな小さなところだけ細かくリアリスティックに描こうとする、ということ自体が間違っているのじゃないか、と思い至りました。

写真もたくさん見た。大画面で動くアオサギも見た。
私の中に、アオサギは既に存在している。
「写真を見ながら描く」のではなく、自分の中にあるアオサギを再現すれば良いのではないか。そう思い、何も見ずに描くことにしました。

そして描いたのがこちら。


私の頭の中のアオサギ


まだまだです。
もしかすると、一月に描いたアオサギ先輩のほうがうまくいっているように見えるかもしれません。
ただ、自分としては一月のアオサギと八月のアオサギの対比は「この半年あまり理解を深めようと努めてきた水墨画の世界」を象徴しているような気がしています。

水墨画を始めたきっかけは自ら望んだというより向こうからやって来たような形でしたが、今では大切な人生の一部分になっています。


ついでに文中に出てきましたドキュメンタリー映画『Planeta Praha』を簡単にご紹介しておきたいと思います。
この映画、プラハという都会(日本の大都市から見れば小さいですが)に生息している野生動物を紹介するものなのですが、個人的にはすごく楽しめました。二年かけて撮影されたそうですが、パンデミックのおかげで普段は観光客であふれるプラハもガラガラで、撮りやすかったようです。

こちら、トレーラーです。

いろいろ学んだことはあるのですが、印象深かったことをいくつかご紹介しますと、まず私、プラハにアオサギがいることを知りませんでした!なんと彼ら、80もの巣をなんとプラハ動物園の近くに作って繁殖しているそうです!なぜ動物園近く?食料のためですって。動物園のペリカンに与えられる魚を盗んで巣に持って帰っているそうです。いや、迫力ですわ。魚、嘴にくわえて持って行くんじゃなくて、ごぼっと口の中に入れて飛んでいくんです。で、巣で雛たちにごぼっと口から出して与える。
あと、トレーラーの1分10秒くらいのところに写っている白い鳥、あれもクロウタドリなんだそうです。普通クロウタドリは真っ黒なんですが、この変種の白いタイプ、自然の中では猛禽類などにすぐ見つかって繁殖しにくかったのが、街に住み着いたおかげで子孫を残しやすくなったのだとか。
クロウタドリ全般、街で住みやすいように翼が短くなってきていたり、森のクロウタドリよりも産卵時期が一カ月も早かったりするそうです。

などなど、今の私には大興奮の内容で、涼しい季節になってきたらバードウォッチングを開始しようかしらなんて思い始めていますが、ただ、どうなんでしょうね、プラハに住んでいない人にも楽しめる映画か?と聞かれたら何とも言えません。外国に住む人にとっては、プラハに来る目的は歴史的建造物などを鑑賞する観光でしょうし、プラハ外のチェコに住む人にとっても、そんなに面白くないかもしれません。あくまでプラハを知りたい人向けではなく、自然観察に興味のある人向けの映画だと思います。
国際的な評価はどうなるのでしょうね。静かに見守っていきたいと思います。



ちょっとしつこく、先日参加した「鶴亀杯・みんなの俳句大会」のお話しなのですが

なんと、提出句の三句とも個人賞をいただくという信じられないことが起こりました!

夏の虫とろける紅に身を投ず」は沙々良まど夏賞を、「ギラギラの太陽の下水の中」はしろくまきりんさんの特別審査委員賞を、そして「グレタさん眉根を寄せてアイス食む」はSazanami賞をいただきました!

いやあ、こんなことって、あるんですねぇ、嬉しいですねぇ。
投票で決まる賞ももちろん魅力的ですが、今回のように選んでくれた方のご感想が直接読める個人賞は何物にも代えがたい喜びです。
沙々良まど夏さん、しろくまきりんさん、Sazanamiさん、改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

Sazanamiさんからいただいたアイスと対峙するグレタさん。後ろに飾ってあるのはしろくまきりんさんからいただいた金のくま賞トロフィー。

アイスを食べている最中のグレタさんはあえて描きません。これは、何というか、私の中にあるグレタさんへのリスペクトの現れであるとともに、やっぱり句を楽しんでくれる方それぞれで想像していただきたいのです、アイスを食むグレタさんを。



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