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夢。それから9:24。

今日、夢を見た。 

白い太陽の光が、パステルカラーの建物が並ぶ街並みを強く照らしていた。腕がジリジリと焼けていく。
ただ、建物は可愛いけど、道路は車と人と電線で雑然としていた。ガスの匂い。何言語も混じり合う声たち。パチモンが並ぶ露天。人が好き勝手に生活している風景だった。2月に旅行したタイのプーケットの雰囲気と似ていたかもしれない。リゾート地ならではのやかましさ。うさんくささ。喧噪。

男と手を繋いでいた。金髪で、体躯がしっかりした男性だった。繋がれた手から、ピュアなエネルギーが流れ込んでくる。
この人、わたしのこと、好きなんだな。わたしと手を繋げて、嬉しいんだ。だから、わたしに嫌われることを恐れている。
掌の質感や、温度、湿り気から分かる。夢だからだけど。それは「感じ」ではなくて、「確信」だった。

確信の相手に対する安心感、充足感の海で、ぷかぷかと浮いていた。
優越感の海でもあった。わたしの気持ちは、好感であって、好意でなかった。自分の意地の悪さが、芽を出す。突然訪れた春の風に、目覚める。わたしは、傲慢な人間だったこと。手の中の生殺与奪権に気持ち悪さを感じながらも、時折握り直す。ほくそ笑む。悲しませられるのは、わたしだけ。わたしは、悲しまない。

同時に逃げ出したかった。いつかこの手を振りほどくことの、その「いつか」を決めるのは自分に委ねられていることが重たかった。無責任だから。

空を見上げる。ギラギラとわたしを見下ろしてくる。イヤミなくらい眩しい。隣で私の名を呼ぶ声。鬱陶しいな。目を閉じた。

そこで、目覚めた。9:24。隣には誰もいなかった。もう一度目を閉じる。白い光は蘇らなかった。

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