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採用の過程でDIY! そこで見たもの、見られたこととは?

畑違いの業界(出版社で健康雑誌の編集)から、自立援助ホームのスタッフに転身したYです。今回は、ダイバーシティ工房※の「新拠点DIY」に参加した日について書こうと思います。

ダイバーシティ工房は、自立援助ホーム・ルポールを運営するNPO法人です。発達障害や不登校など学校生活に特別なニーズがある学齢期の子どもを対象とした学習教室、保育園、コミュニティカフェ、SNS相談の運営などを通し、地域の0歳~20歳の子ども・若者とその家族の成長にあわせた居場所・地域づくりを行っています。

雨の中を歩きながら聞いた話

入職前の話です。ダイバーシティ工房の求人に応募して、書類審査と一次面接を通過し、二次面接の日程調整のメールをもらった際、なぜか「新拠点のDIYイベントにいらっしゃいませんか?」とのお誘いを受けました。

ときは2月。しかも当日は氷雨が降っていました。憂鬱な気持ちが全くなかった、というと嘘になりますが、どちらかというと『雨天決行なんだ!いったいどんな人たちが集まるんだろう?』という興味の方が勝ち、靴下を重ね履きして腰とおなかに使い捨てカイロを貼った重装備で、待ち合わせ場所の駅へ向かいました。

アテンドしてくれたのは、ずっとメールでやりとりをしていたSさん。
「今日はありがとうございます!ここから少し歩きます。雨の中すみません」と、メールの印象どおり、やさしく明るい女性です。口調はゆっくりで無駄がなく、そして的確。話していてストレスがありません。

沈黙が怖くて、つい人に話しかけてしまう私。このときも「Sさんは、どんな経緯で工房に入られたんですか?」と軽い気持ちで質問しました。

そうしたら、「私、娘がいるんですけど、生まれつき心臓が悪くて入れる保育園が見つからなくて」と、サラリと言うんです。こちらはもう相槌も打てなくて、頭の中では「えっ? ええっ? 今ものすごく大変な話をされてる? ど、ど、どうしよう…」と軽くパニック。

Sさんは「ダイバーシティ工房がやってる小規模保育園が医療的ケア児も受け入れていると紹介されて、入園面談に行ったんです。だけど、結局別の保育園に入ることができたんですよ。で、なぜか工房で働くことになって」と話し続けます。

私の頭の中は「?」が舞っていましたが、一つわかったのは「ダイバーシティ工房、なんか懐が深い」ということでした。

工房の保育園も魅力的だし、保活で面談に来たSさんをすかさず雇用する目の付け所と柔軟性も「すごいなあ」と感心したし、なによりSさんが楽しそうに仕事をしているのが感じられて、ものすごくうらやましいと思いました。

極寒なのにみんな笑ってる!

DIYの現場に着くと、手持無沙汰になる暇もなく仕事をもらいました。ドアの向こう側にHさん、こちら側に私が立ち、マスキングテープをはがす仕事です。Hさんにもいろいろ質問してしまったのですが、一つひとつ丁寧にじっくり考えながら答えてくれて、「Hさん、好き…」となったのでした。

壁紙を貼る作業にも参加させてもらいました。実は1枚目の壁紙を貼り終わったあと天地が逆だったことに気づき、その場が凍ったのですが、皆さんの笑顔が消えたのはその一瞬だけ。あとはずっと、極寒の木造中古住宅の中でみんな笑ってました。

「なにこれ楽しい。文化祭の準備みたい。仲間に入れてほしい…!」というのが、率直な感想でした。

帰宅後、私はSさんにお礼メールを送りました。
(今回、このnoteを書くにあたって当時のメールを発掘しました。)

「S様
お世話になっております。Yです。
本日はお忙しいなかアテンドしていただき、ありがとうございました。
DIY、堪能いたしました!(生まれて初めて壁紙を貼りました!)

皆さん、細やか&正確&スピーディーに情報交換をし、
かつ、楽しく作業を進められていて、
そのなかで私も楽しい時間を過ごさせていただきました。
ありがとうございました。
S様をはじめ魅力的なかたばかりなので、いろいろお話を伺いたくて、
立ち入った質問をしてしまったかもしれません……。
たいへん失礼いたしました。
面接日程のご調整など、引き続きご面倒をおかけいたします。
何卒よろしくお願いいたします。
スタッフの皆さまにも、どうぞよろしくお伝えくださいませ。」

自分が送った文面を読み返してみて、「そうそう!ボーッと指示を待ってる人とか、つまらなそうにしてる人とか、文句言う人とか、一人もいなくて気持ちよかったなあ」と思い出しました。

そして入職した今、「あの空間って、工房そのものだったんだな」とあらためて思います。誰もが自分から仕事を取りに行き、分からないことは相談し、決まったことには気持ちよく協力して取り組む。そして、(私のような)外部の人には親切に丁寧に接し、楽しい時間を共有する。

DIYは参加スタッフから差し入れが持ち寄られることも多々

一方で、私も見られていたんだろうな、とも思います。「採用には関係ないDIYイベントへのお誘い」と言いつつ、絶対に「審査」されてたよなーと。入職後、採用担当者に聞いてみたところ、「採否に関係はしてないけれど採用内定の裏付けにはなった」とのことでした。そして今は、はっきり「選考の一環」としてイベントへのご案内をしていて、お互いにマッチングを見極める場としているとのこと。

そうだとして、いったい私の何が良かったんだろう。未経験の壁紙貼りに挑んだチャレンジ精神?初対面の人たちに興味津々で話しかけた図々しさ?それとも寒さに強い強靭な心身?
 
当たり前ですが、工房の仕事がすべて「文化祭の準備」的なわけではありません。地味で細かい一人作業もあるし、ときにはイラッとしたり、頻繁に落ち込んだりもします。

それでも、違和感が出たら放置せず、しつこいほどコミュニケーションをとり、迷ったときは「私たちが目指すもの」に立ち返ろう、みんなが気持ちよく働けることを大切にしよう、という工房の姿勢が私はやっぱり好きだし、「この人たちと一緒に何かやりたい」と今も思うのです。

* * *

ダイバーシティ工房は、「制度の狭間で孤立しやすい人たち」が、困ったときにいつでも相談できる地域づくりを目指し活動するNPO法人です。
発達障害があるお子さんを対象にした学習教室、保護者の就労状況やお子さんの発達・軽度の発達障害などにより保育園に入りづらいご家庭にご利用いただける保育園、コミュニティカフェ、自立援助ホーム、SNS相談の運営など地域の0歳~20歳の子ども・若者とその家族を主な対象に活動を行っています。

現在、募集中の職種を以下の採用ページで公開しています。
暮らしやすい地域づくりの仲間として加わり、自分らしく働きたい方、ぜひチェックしてみてください!


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