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309 富士山の入山料


はじめに

富士山と言えば、日本最高峰の山であり標高3776mは日本で最も高い位置となるわけです。この富士山で登山料2000円を5合目のゲートを通過する際に支払うという試みがこの夏から開始されるとのことです。
さて、みなさんはこの話を聞いてどこに論点を置きたくなったでしょうか。まずは、問いを立ててみることが大切であるという点から今日の教育コラムは、少しお話をしてみたいと思います。

状況把握

2013年、今から約10年前に富士山は世界文化遺産に登録されました。その翌年から本格的に始まったのが、入山料の任意協力でした。基本的には1人1000円の徴収をお願いする形で、支払うかどうかの意思決定は個々の利用者にゆだねられています。この費用は、トイレの新設・改修や救護所の拡充など富士山の保全目的に使われます。しかし、この入山料の導入時期にも実は関係者の皆さんは多くの混乱を乗り越えて、現在に至っています。
山小屋の経営者の型や五合目の売店や飲食店の方、富士山の保全に努めている方やガイドの方々など新たな制度の導入は、登山者への対応に影響するからです。
そんな中、新たにこの入山料とは別に登山料として、2000円を追加で徴収するというのが今回のお話です。この登山料の導入は、弾丸登山やオーバーツーリズムの対策として考えられてきたものの一つでもあります。マイカー規制や富士スバルラインの有料化や料金の引き上げなど様々な議論の中の一部であると考えていいでしょう。

高いの2000円?

因みに富士山の入山料を2000円にするというお話が出ると必ず持ち出されるのが世界の名だたる山々の入山料です。上位3位までをまとめると次のようになります。
1位:エベレスト(ネパール側) 約250万円
2位:エベレスト(チベット側) 約100万円
3位:アコンカグア 約10万円

世界最高峰は、入山料も世界最高峰なことがわかります。ではそれを踏まえて富士山の入山料2000円は高いのかと考えてみると、納得の価格のようにも思えます。もしかすると適正価格はもっと上なのかと思う人も多いように思います。結果として入山料2000円について行ったアンケートでは、賛成している人は多く、理解が得やすい現状であることがわかります。

論点整理

まず、すでにかかっている任意の入山料1000円に新たに2000円を加えて徴収することについてどの論点で意見を述べるかを考えてみましょう。

・入山料2000円は高いのか?
・入山料は何に使われているのか?
・どのような理由で価格を設定しているのか?
・弾丸登山などを防止する、または登山者の抑制に適切な方法は何か?
・富士山とはどのような存在であるのか?
・地域の観光産業との兼ね合いは大丈夫なのか?
・集めたお金は何に使うの?
・山小屋などを予約してしっかり準備している人も同じなの?

ざっとあげてもいくつか論点が見えてきます。このすべてについて述べなければ自分の意見がまとまらないと考える必要はありません。いくつか又は、一つを用いて述べることで、議論に関われるとしたらどの項目に皆さんは着目するでしょうか。
このように事象に対して、自分の意見をもち述べるとは、客観的なデータをある程度用いながら感想にならないようにある方向性から意見を述べる必要があるのです。それを立場という言葉で表現することもあるわけです。

今年度の高校入試、大学入試も最後の佳境に差しかかっています。考えをまとめて述べる上で論点をどこに置くかは非常に重要です。最後の最後まで思い残すことなく、自分の受験を貫いてほしいと思います。

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