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283 シェアリングエコノミー


はじめに

モラルの欠如は、様々な面で大きなデメリットとなります。複雑化する社会の中にあっても最後は、個人個人のモラルに頼っていることには変わらないということです。
例えば、ビックモーター的思考、裏金キックバック事件、日大タックルなど共通しているのはモラルの欠如ということになるわけです。現在日本でも広がりつつあるシェアリングエコノミーという考え方ですが、アメリカなどでは先進的にここ数年拡大してきている新しいビジネススタイルです。
今日の教育コラムでは、最近話題の高級腕時計のシェアリングサービスにおけるトラブルについて取り上げながらシェアリングエコノミーについて少しお話してみたいと思います。

シェアリングエコノミー協会

日本のシェアリングエコノミーの先駆者的な団体として、下記のような協会があります。様々な団体や人材が集まっている団体で、各地のシェアリングビジネスを後押ししています。
2016年に設立されたこの団体は、行政やNPOとも連携しシェアリングエコノミーの健全な市場環境づくりを目指しています。
新しい、経済の在り方ということもありますが、SDGsとも関連する持続可能な社会の実現に大きくつながるものとして注目を集めています。
シェアリングエコノミー協会の掲げているテーマは、「共助」「共有」「共創」の3つです。これらによって持続可能な共生社会を目指しているということになります。

シェアリングエコノミー協会のロゴ

どんなものをシェアするの?

シェアリング・エコノミーとは 一言で言えば、「個人が保有する資産やスキルなどを貸出しを仲介するサービス」ということになります。貸す側は、遊休資産を活用できまる上に収入を得ることができます。また、借りる側は購入せずに使いたい分だけ利用できるため費用が抑えられ、目的が達成できるわけです。
では、どのようなものがシェアリングエコノミーの対象となるのでしょうか。その種類をみてみると次のようなものが見えてきます。

〇モノに関するシェア (もの)
〇個人の所有するスペースを共有するサービス(空間)
〇個人に家事等の仕事・労働を依頼できるサービス(スキル)
〇移動に関するシェア(移動)
〇お金に関するシェア(お金)

私たちの生活に関わるあらゆるものにこの考え方はマッチするようにも見えてきます。つまり、それだけビジネスのチャンスがあるのです。そんな、ものとシェアを掛け合わせたサービスが、今回多くの方に被害を出している高級腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」ということになるのです。

事件から

高級腕時計のシェアリングサービスを運営する「トケマッチ」と呼ばれる会社が今年の1月末、突然解散を発表しました。
少なくとも500本以上の時計が所有者のもとに返却されていないことから多くの利用者が損失を出しています。預けた腕時計がすでに転売され始めていることもあり、不安の声が高まっています。
業界団体の中心的存在であるシェアリングエコノミー協会は、この協会に所属していた「トケマッチ」を運営する企業の退会処分を決定しました。また、警察相談時に活用するための資料なども発表するなどの対応をとっています。
ではこの事件からどのようなことに気を付ける必要があるのかを見てみたいと思います。シェアリングエコノミーという考え方に基づくビジネスには、他のビジネス同様にリスクがあるということです。リスクはどんなものにもありますが、特に「貸し出す」「人の物を使う」という行為を介するシェアリングビジネスの形態には、使用者のモラルと提供する側のモラルの双方が非常に重要なになります。また、リスクをどの程度としてみて、その代価を得ようとするかという判断も重要でしょう。
簡単に言えば、高級な腕時計を詐欺の手口で集めて、転売する目的でシェアリングサービスをしているのかもしれないと疑えないようでは、大切な資産を守れないのです。新たなビジネスが始まって広がっていく時期には、良い企業と悪い企業の淘汰が終わっていません。混とんとしている時期には、こうした詐欺のようなビジネスが横行する傾向があるのです。
高級な時計や思い出のある時計をシェアして、副業で儲けようと考えた人も多いかと思いますが、時計を集めるだけ集めて儲けようともし考えている人がいたとしたら、そのリスクを見抜く目が無いと太刀打ちできないというわけです。
いずれにしてもシェアリングエコノミーは今後もさらなる浸透を見せていくはずです。
・個人が所有する資産の有効活用
・新たな消費行動の促進による経済活性化
・提供者と利用者ともに不要なコストの削減
・消費行動だけでなく人とのつながりを創出

この4つのメリットは、日本の社会が抱える様々な問題の解決につながる可能性があるからです。シェアする時のモラルを守ることは、子どもたちにとっても大変重要な人格形成に必要な要素となるはずです。

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