見出し画像

大人の予想を素通りする子どもに焦ったよ

さて、本日も引き続き、ワークショップから着想したお話です。

コロナがいったん落ち着いた隙に、職場以外の様々な属性の人たちと出会うと、おのずと、日々の気づきが多くなるものです。

コロナ禍でオフィスにこもっている日々も嫌いではなかったのですが、やはりリアルな新しい出会いは思考を刺激してくれるものですね。

子どもはワークショップの難易度を無視するもの

ワークショップを企画する際にまず決めることのひとつが、ワークショップの工作メニューの対象年齢はどれくらいか?ということ。

全般的に子供向けのワークショップとは言え、幼児と小6では当然できることに大きく差がでてきます。

なので、およそ対象年齢が小学生低学年~中学年辺りで、選ぶメニューによっては幼児でも小学生高学年でも楽しめるものと定義し、メニューを考案します。

そして、暗に難易度をランキングしておきます。

難易度ランキング


ワークショップ当日、
あらかじめ参加者の年齢が分かっている場合でも、準備したすべてのメニューを提示するようにしています。
ものつくり系のワークショップに来てくれる子のほとんどは自称図工が得意な子、でも時々、親に薦められて一緒にくる子もいます。

となると、年齢でその子の手先の器用さレベルは図れません。

なので、幼児でもできる難易度~高学年相当の難易度まですべて提示します。

で、来てくれた子が選ぶメニューは・・・

たくさんの子ども達のメニュー選択を観察していると、ちょっとした傾向があることに気が付きました。

・幼児は、親の言うことを大体聞く
・小学生は、自分のやりたいものを選ぶ
・小学生は、友達と同じものを選ぶ

幼児が選ぶ場合は、親次第なところがあります。
幼児参加は親のサポートをお願いしているので、親ができるだけ子供の力で作らせたいと考える場合、難しいメニューは選ばれにくいです。一方で、子供の作りたいものを優先させる親の場合は、子供に好きなように選ばせて難しいところは親ががっつりサポートに入ります。

小学生の場合、
主催側が設定した難易度を完全無視されることもあります。

そう、彼らの選択に、難しいかどうかはほぼ影響しないということがよく分かりました。

彼らは、自分の好みのものを選ぶ。
少なくとも、私たちが主催したものつくり系ワークショップに参加する子どもたちは。

そして、また、学齢期という発達段階における特長のひとつ、友達との関係性優位により、友達と同じメニューになる場合が多いということ。

はい、そうです。
我々が設定した難易度ランキングはことごとく無視され、

いやぁぁぁ、ちょっと、小3には難しいかもね・・・

という懸念をもろともせず、選択の自由を享受するのです。

で、焦る私。
この子、最後までやり切れるんだろうか。と。

簡単とか難しいとか・・・関係ないよね

そう、これ大人になると忘れてしまいがちな真理ではないかと私は思っています。

自分にできるか、できないかより、
自分はやりたいか、やりたくないかを優先できるってスゴイことだと思うんです。

できるかどうかはさておき、やりたいからやる

大袈裟ですが、
幸福論にもつながるような真理だと思うんです。

そして、子どもにとっては、何となく興味を持って参加したワークショップでちょっとしたチャレンジに挑むことになる。

これって、いわゆる学校教育で実現するのが難しいところではないでしょうか?公教育では「中の下」ラインにそって授業が構成されていると聞きます。(実際は違っていたらごめんなさい)

先の教育改正で公立小学校の1クラス当たりの人数が35人になるよう進められていますが、それでも35人!多い!

みんな違ってみんないい

なんていう多様性が認められる世の中ではありますが、公教育を効率的に進めていくには、難易度は中程度以下にしておく…みたいな、ある程度の制限があるんだろうということは容易に想像がつきます。

と、本題から外れてしまいそうなので、元の話題にさかのぼるのですが、こどものやりたい!がいかほどに尊くて、そこに応える存在でありたいと、私は常々思っているワケです。

難易度ランキングは、一見意味をなさないのでは??
全メニュー同レベルの同デザインのほうがやりやすいのでは?

なんて思うこともあるのですが、やはり、一辺倒で、出来上がりがみな同じになるようなメニューでは、没個性的で、まず、主催側が面白くありません。
暗に様々な難易度を設けて選択できるメニューを増やすことで、子どもたちの『これをつくりたい!』を刺激し、難しいメニューにチャレンジする場つくりになっている・・・

私の難易度設定に対して、結果論的ではありますが、私自身はそのような肯定的なとらえ方をしています。


やりたい!気持ちを尊重したその先に?

「そのデザインは、結構難しいと思うよ・・・」

という私のアドバイスを華麗にスルーし、難易度高めのメニューをいとも簡単に選んじゃう子供たち。

彼らには、一切のやらされ感がありません。

難しいだけに、つまづくことはあります。
上手くいかなかったり、工程をミスったり・・・

でも、絶対に投げ出したりなんかしません

むしろ、母親の薦めで連れられてやってきたであろう子供のほうが、途中でスマホを触りだして、母親任せになったり・・・なんて光景が見られることがあります。

そう、自分の意思で、自分のやりたいものを選ぶ子に対しては、ほぼ心配無用なのです。工程をミスって失敗しても、DIYのワークショップなので大抵やり直せます。また、やり直せるようにしています。その場合、子供は失敗してイヤになっちゃったということはなく、もう一度根気よくやり続けるのです。

子供のやりたい!という気持ちを尊重することで、彼らは間違いなく最後までやり遂げてくれます。そこに難しい云々は関係なし。

最後までやり遂げられた子供には、達成した手ごたえが積み上がり、自己効力感アップにつながります。上手くできた!最後までやり遂げられた!という経験は、次のチャレンジへの大きなエネルギーになります。

目の前の困難から逃れず、チャレンジしてチャンスを掴む力はこうやって育まれていきます。

メニューを考案する上で、選ばれないかもしれないデザインを複数準備するのは、正直面倒な作業ですが(楽しくもありますが)、子どもが自発的に選ぶという環境設定には、やはり欠かせないこと。

私が設けている、一見すると意味をなさない難易度設定には、そう!このチャレンジする力を養う役割があるのです(ということにしておきます)。


本日も、落ちがあるのかないのか、私の雑談話にお付き合いくださり、ありがとうございました。


この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?