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星降り山荘の殺人:倉知淳:本格中の本格

「星降り山荘の殺人」(52/2022年)

1996年に発表された本格ミステリの名作です。超王道、雪で閉ざされた山荘設定での連続殺人事件、本格ど真ん中。時系列とか部屋の見取り図とか、本格に欠かせないアイテムもバッチり。登場人物のキャラクター設定も、いかにも本格です。
本格が苦手な人にとっては、ここまで「本格」だと厳しいかと思いますので、作品の善し悪しの問題ではなく、読まない方が良いと思います。逆に本格ビギナーの方にはオススメです。今から25年くらい前にこういう作品があったことを知っておくと、今の「本格」作品の進化を感じることが出来るのではないでしょうか。

犯人は誰なのか、誰が犯人としての条件を備えているのか、本格なので描かれる登場人物のキャラは全て偽りかもしれないという前提のもとで読み進める楽しさ。おバカキャラの二人ですら、実は…ということが起こりえるのが本格だと思っています。全てがトリックの可能性があります。それを逆手におバカが本当におバカであるという騙しのテクニックかもしれません。

あと、解説にも書かれていますが、どこかコミカルな雰囲気を醸し出すという本格メソッドのお手本のような作品でもあります。それを不謹慎だと感じる方は、多分、本格が苦手な方だと思います。

兎にも角にも本格です、お楽しみあれ。

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