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このパロディは説明すべき?~境界線が悩ましい~

「左手はそえるだけ」

あなたは、このフレーズを知っていますか?

おそらく日本で最も有名なバスケットボール漫画『SLAM DUNK』に出てくる、シュートのコツです。主人公の桜木花道が、クライマックス直前に呟いたことで、より印象的なものになりました。

まさか、この名言が仕事であんな議論に発展しようとは……😓

きっかけは「古いニュース」

先日、番組でNBAのニュースを作ることになったんです。ワシントン・ウィザーズの八村塁選手が、活躍したということで。ただ、ニュースとしては古く、ほかの番組で何度も放送されてしまっている状態でした。

こんなときは、工夫しないと芸がない! 如何に尖らせて引っ掛かりを持たせるか。

その日の八村選手は、ゴール下から少し離れた位置でのシュートが冴えていました。そこで僕は、こう提案したんです。

「左手はそえるだけ」って一言をそえて、遊んでみないか🤔

大反響!NHKの「尖ったニュース」

2019年12月、僕はたまたま見たNHKのニュースに衝撃を受けました。

内容は、八村選手がいつものPF(パワーフォワード)ではなく、C(センター)で出場したというもの。この事態を、なんと『SLAM DUNK』に置き換えて説明したのです!

スタジオに桜木花道ら登場人物のパネルを並べ、PFとCの役割をわからせた後、海南大付属戦での桜木と今回の八村選手は同じだと言い放ちました。

まさか、国営放送がここまで尖らせてくるとは😲

海南大付属という聞き慣れない単語を突然ぶっこんできたので、ちょっと乱暴に感じた視聴者もいたようですが、評判は上々。SNSでの大反響がネットニュースに取り上げられるほどでした。

そんな話をして、編集作業に入ってもらったのですが……。

決して若手でもないスタッフ数人が、元ネタを知らないと首を傾げているではありませんか。

彼らが言うには「あきらめたら、そこで試合終了」は聞いたことがある。しかし「左手はそえるだけ」はピンと来ない、と。

うそだろ😨

境界線はどこにある?

TVというメディアは不特定多数の人々に向けて発信しています。なので、どんな人にも伝わるように説明するのがセオリー。

とはいえ、表現をわかってもらおうと説明しだすと、八村選手の活躍を伝えるという本来の目的から外れていってしまう……。

例えば「どこでもドア」「タケコプター」レベルの認知度なら、説明は一切いらないと思うんです。でも「石ころぼうし」「タイムふろしき」レベルなら『ドラえもん』の道具で、どんな効果があって……と説明しなくてはならない気がします。

問題は「左手はそえるだけ」が「どこでもドア」レベルなのかどうか。

結論としては、八村選手がシュートを決めた後で「漫画『SLAM DUNK』に出てきた、左手はそえるだけのシュート!」とそえるのが正解かなと、思い至った次第です。

如何でしょう?

最後にオマケ「まだだ、まだ終わらんよ!」

ちなみに、パロディといえば去年の秋に面白い事例がありました。

フジテレビONE、TWO、NEXTで放送していた、プロ野球のみやざきフェニックスリーグのCM。その冒頭が……。

「まだだ、まだ終わらんよ!」「そうプロ野球はまだ終わらない!」

しれっとぶっこんできましたね。そう「まだだ、まだ終わらんよ」は『機動戦士Zガンダム』でクワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)が最終回で吼えたセリフ。

もちろん、CMにそんな説明はなし。わかる人にだけわかればいい、という作り手の遊び心を感じることができました。

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