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日本のはりきゅうが今の形で残った理由


新しいものが好きな日本人の傾向
日本人は歴史的に見ていると新しいものが好きです。
諸外国の文化に追いつこうという機運は昔から高いんじゃないですかね。

日本の文化に外国の要素を取り入れる傾向
例えば漢字みたいなもの、仏教もそうですし、これは一番古いパターンですが、その他にも大陸でやってた社会制度を取り入れたり、都を作る時だって平城京にしたって長岡京にしたって平安京にしたって、あれは当時の大陸の都の作り方に習った形で作ってますし、それからもっと新しいところで言えばキリスト教なんかもいち早く取り入れましたよね。

鉄砲とかああいうものもそうですし、明治の御一新に至っては、富国強兵でヨーロッパ列強に追いつかないといけないということで、そのあたりのいろんなものを取り入れて今日に至っているんですが、よくも悪くもそれで入れたものって割合大事にするんですね。

それはそのまんまの形、オリジナルの形で大事にするんじゃなくて、その中で我が国の今までの文化に溶け込めるような形でその文化を取り入れていくっていう傾向がありますよね。

ですから、元から入ってきたものとは全く異質のものを、だんだん我が国流に改変していくっていう傾向があります。

そういう文化の中の一つが鍼灸でもあるわけですね。

我が国のパターンに合う、我が国の文化に合致する、そういう形で我が国は古来から文化を取り入れてきているというふうに言えると思います。

日本の鍼灸の特徴
鍼灸のことに限って言うならば、例えば、大陸から渡ってきた時のオリジナルの形がどうこうっていうのは、詳しくは今となっては知ることはできないんですけれども。

現在、うかがい知れる形で言えば、例えば、大陸の方ではあんまり触診しないんですよ。

目視でほぼほぼツボの位置を見つけて、その場所にタンと片手で打つんですね。

割合。日本の文化の特徴って片手文化じゃないですね。両手文化なんですよね。

日本のハリって多くの場合、左手で押さえながらハリ先をね、右手で刺すっていう両手でやる文化なんですけど、大陸の方のやつはもう片手でシュッシュッシュッと入れていく感じなんですね。

で、ありますので、日本のそれとはちょっと刺し方自体が違っている。

で、これ、お箸の使い方なんかもそうですけど、大陸流は左手を添えないですよね。

で、器は持ちません。

ところが、日本のハリの使い方というと、茶碗を持って箸で食べる。食器を持つんですね、左手で。

つまり両手でやるってことなんです。

両手文化。

この辺りが、我が国の文化が全て両手文化だと思うんです。

片手でやることってあんまないと思うんですね。

この辺りが日本流に作り変えられているところ。

で、何を目的に両手を使っているのかというと、一つは、感覚器官が集中している皮膚のところを刺すときが一番痛覚を感じるんですね。

その瞬間に左手でその痛みを緩和するという技になっているわけです。

切皮って言ってるんですけど、皮膚を破るときの痛みが少ないように左手で調整する。

効果のある鍼の響きを作り出そうと、それだけを作り出そうと。

齟齬のないように言うと左手で痛みを緩和したりしながら右手で刺していく。

それともう一つ特徴的なのは鍼を刺したままの手技が存在するんです。

突く動作とか、ひねる動作とか、簡単に言えばそういう動作って意外とこれ日本オリジナルなんですね。

他にもいろんな技があるんですけれども、こういった技っていうのは両手だからできてるようなところがあるんです。

片手だとひねる動作やると皮膚がつねられる感じがするんだけど、両手でやると抑えが効いてるので皮膚の引っ張られた痛みがあまりないという状態になるわけです。

こんなことが日本の鍼灸の特徴の一つになってます。

これはもう他のいろんな分野の文化と整合性が取れているところなんですね。

外来文化と日本の文化の融合
何しろ日本人は入ってきた外来文化を我が国の文化に照らして、今までの文化性と合致する我々の感性に合うような形でアレンジングをする。

こういう特性があるわけなんですね。

ここのところはなかなか見落としている点ではあるんですけれども、他の文化もみんな同じような感じのテイストに仕上がっているっていうふうに言うことができると思います。

どうして我が国の鍼灸がそういうふうに、大陸のものと比べて変質していったのかということが分かろうかなと思います。

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00:36 新しいものが好きな日本人の傾向
01:01 日本の文化に外国の要素を取り入れる傾向
03:16 日本の鍼灸の特徴
07:23 外来文化と日本の文化の融合

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