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#poem
イベリスアリッサムサカキ
彼女は前髪を手で直すとき、困ってもいないのに眉毛を少しだけハの字にする。ぼくはそれを見るのがわりと好きだ。春先は気分が鬱ぐのであまり外に出たくないのだけど、前髪のことを考えれば、まあ、すこしなら歩いてみましょうか、という気持ちにもなる。
それでも
、人ごみの中に入ると、自然と膝が震える。ぼくは待ち合わせ場所につくまでのあいだ、歩を進め
ながら、右足、左足、右足… と順番に唱えていく必要があった
彼女は前髪を手で直すとき、困ってもいないのに眉毛を少しだけハの字にする。ぼくはそれを見るのがわりと好きだ。春先は気分が鬱ぐのであまり外に出たくないのだけど、前髪のことを考えれば、まあ、すこしなら歩いてみましょうか、という気持ちにもなる。
それでも
、人ごみの中に入ると、自然と膝が震える。ぼくは待ち合わせ場所につくまでのあいだ、歩を進め
ながら、右足、左足、右足… と順番に唱えていく必要があった