近頃、内山理名さんブームが再燃している。高校生のころから好きで、通学路に貼られていた化粧品のポスターに毎朝挨拶するのがルーティーンになっていた。 いつでも同じ場所にいて、いつでも同じ分量の笑顔をくれた。わたしは戦地に赴く兵士のような気持ちで「それじゃあ、行ってくるよ」と片手をあげて挨拶した。
学校生活を楽しめるタイプの人間ではなかったので、内山理名さんの笑顔でなんとか憂鬱な一日を乗り切っていた。わたしに優しくしてくれるのは世界で彼女ひとりだけだった。

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高校１年から３年の夏くらいまでそのポスターはずっと同じ場所に貼られていた。月日を重ねていくうちにポスターは劣化し色が落ちていったが、わたしにとっては何の問題もなかった。背景の白と肌の境目が分かりにくくなっても、そこに居るのは紛れもなく笑顔の内山理名さんなのだ。

しかし、ある朝ポスターは何の前触れもなく剥がされて消えてしまった。わたしはポスターの前を横切るとき、いつものように「それじゃ、行ってくるよ」と言おうとしたが、そこには誰も居なかった。剥がされたポスターの日焼け跡が遺っているだけだった。
わたしは「あー！！！」と叫んだ。誇張ではなく本当に、叫んだ。あの時のショックと自分の声色を今でも鮮明に覚えている。
いつかこの日がくるかもとは思っていたけど、こんなに唐突に居なくなってしまうなんて、あまりにも悲しかった。
"友達のいない学校"という戦地に赴くわたしを支え続けてくれた彼女に心から感謝した。ありがとう。内山理名さん。（心の中ではいつも「内山理名」とフルネームの呼び捨てで呼んでいた。何故だろう？内山理名という文字を見るだけでも癒された。今でも心がなめらかになる気がする）

わたしはそれ以降も、高校を卒業する日までポスターの貼られていた場所に挨拶をし続けた。

「それじゃあ、行ってくるよ、内山理名」

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それから10年以上が経って、学生時代の心憂い通学路のことなどすっかり忘れていたけれど、たまたまInstagramで内山理名さんのアカウントを見つけた途端、一気に記憶がよみがえり、胸がときめいた。

いまは俳優をしながらヨガのインストラクターの仕事もされているらしい。

綺麗！とにかく綺麗だ。
高校の時はたった１枚のポスターだけで満足していたのに、Instagramには内山理名さんの写真が1000枚近くある。

幸せ。嬉しすぎる供給過多である。

【追記2021年11月22日】
ご結婚おめでとうございます。わーい！どうぞお幸せに！

#エッセイ #内山理名 さん