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日本で生き残る選択をしたKHさんとSOMちゃん

KHさんが日本に居る。
居る、というか住んでいる。SOMちゃん(かわいい奥様)と、MUMUちゃん(かわいい猫様)と一緒に、日本の東京のどこかに住んでいる。

KHさんは韓国出身のZETA DIVISIONのストリーマー(ゲーム配信者)である。わたしがKHさんの存在を知った時(2017年)はDeToNaTorというチームでストリーマーをしていた。流暢な日本語で親父ギャグまで使いこなしていて、当時からみんなに愛される存在だった。


[DTN_KH]狂気のKHシリーズ
狂気のKHシリーズはファンの間では伝説的存在となっている。
まだβだった頃のPUBGで、草原を無防備に走る敵に向かってサブマシンガンを構えたKHさんが

『カワイソウネェ、HAHAHA!シンデクダサイヨォ!』

KHさんにこんな日本語を教えたの誰だ?


と嘲笑いながら敵を倒していくもので、視聴者はそのサイコっぷりに震えながらも笑ってしまう。

ご本人の名誉のために言っておくが、数年後にKHさんが「狂気のKH」の動画を見返したとき「これまじで別人だと思う」と言ってめちゃくちゃ引いていた。そういうところも含めてサイコパスなのかもしれないがw

[雑談KH]自分のクリップを見るKH 昔の自分がやばすぎて気づかれない?
KHさんの狂気っぷりは極端ではあるものの、バトロワの面白さのひとつに、検問やハイドで一方的に敵を撃っているときの愉しさがあるのは確かだと思う。5対5のFPSにはない、バトロワ独自の愉悦だ。
バトロワはとにかく"生きてるやつが勝ち"なのだ。
どんな方法で戦うかは自由。しかし、生きているプレイヤーにしか勝利は与えられない。



KHさんは2017年の12月にストリーマー部門からDeToNaTor KoreaのPUBG部門に移籍し、コーチ(監督)として活動し、チームは最終的に世界大会に出場するまで成長した。
わたしがPUBGで一番熱心に応援していたのがこのDeToNaTor PUBG Koreaだった。シーズンごとに選手の変更はあったが、KHさんが監督をしている限り応援するに決まっていた。"あの"狂気のKHをやっていた人が、PUBGというゲームに命を燃やしているのだ。


DeToNaTor PUBG Koreaに在籍した選手にはそれぞれ思い入れがあるが、個人的にはHikari、isco、WICK2D、Aqua5の時代が一番印象深い。
チームの特徴として、安定してポイントを稼ぐことを少し苦手としていたが、勝つ時は大量のキルポイントを掴むことが多く、多くのファンを魅了した。

左からAqua5、isco、WICK2D、Hikari

リーグの合間、時々KHさんが直近の成績を振り返る配信をしてくれることがあった。
試合の映像を観ながらムーブ、各選手のポジショニング、ファイトのタイミングなどの分析を行うKHさんの言葉や真剣な表情から、脳のストレージ全てをPUBGに使い、いかに勝つか、いかに上位進出を果たすか、ということをずっと考え続けているように感じられた。KHさんは口癖のように「死ぬ気でやる」と言っていた。
言葉通り、彼らは死ぬ気でやっていたと思う。

バトロワというどうしても運の要素が存在してしまうゲーム性の中で、いかに自分たちの強さを示し続けるか。
それは、ゲームの理解度や選手のメンタルケアなど様々な要素が必要になる。
一視聴者であるわたしなどでは想像もつかないところまで日々の努力や選手とのコミュニケーションがゲームの成績に影響を与えていたのだと思う。

冷静に考えてみると、ほんの少し前まで「シンデクダサイヨォ!」と叫んで愉悦に浸っていた人と、監督として献身的にチームを支えた人が同一人物だとはどうしても思えない。
しかも、これがPUBGという同じゲームでの話だというのがすごい。あまりにも物語が出来すぎている。PUBGを中心に廻るKHさんのストーリーをわたしは夢中で追いかけた。

ここに、最初にPUBG部門が始動したときのKHさんのコメントを引用させてもらう。

[DETONATOR KOREA PUBG部門の発表]

『私は日本の舞台で大きなストリーマになるのが夢です。 
しかし、その過程で、1年の時間の間、ファンの皆さんとチームの多くの応援と愛を受けたため、
私が感謝する皆様に何ができるかを悩みました。 
私は愛を受けたほど、立派なチームの一員になってもっとDTNを世に広く知らせたいです。 
そのためにPUBGのプロ部門を志望し、これは私にとって一つの挑戦であり、
私がこれに歩いていく道だと思います。 
良い成績を出して私を応援してくださる皆さんに一緒に熱狂できる特別な思い出をプレゼントしたいです。 
今後、さらにプロが持つべき明確な目標を持って活動できるように成長していきます。 ありがとうございます。』

この発表が2017年12月28日。
そして、DeToNaTor PUBG Koreaは2020年3月をもって解散となる。直前まで世界大会に出場していたので解散の発表を聞いたときには強い衝撃を受けた。世界大会での成績は振るわなかったが、まだまだ伸び代のあるチームだったので、本当に悲しかった。
また、KHさんも悲しそうだった。解散の細かい理由は発表されていないのでわたしの知るところではないが、DeToNaTor PUBG Koreaの冒険は約3年の活動期間を経て終了となった。


[雑談KH]KHが日本に行ったら何をしたいか、どうしてSOMちゃんが日本に行きたいか
それからKHさんは再びストリーマー部門に戻り配信活動を再開する。以前からKHさんは「日本に移住したい」とよく言っていたのだが、この頃から移住を本気で考えはじめたのではないかとわたしは思う。
長年交際していたSOMちゃんというパートナーと結婚し、日本でストリーマーとして活動することがKHさんの大きな目標となった。

しかし移住はなかなかスムーズには進まなかった。ビザの問題や、住居の問題、そして金銭的な問題。家族を養い、異国で生活するのはわたしが想像するより遥かにハードルの高いものであるようだった。


KHさんとSOMちゃんは、たくさんの苦労をして、長年在籍したDeToNaTorを今年の1月に卒業し、7月にZETA DIVISIONに加入した。
(その辺りの経緯は割愛します。)


そして現在、KHさんは日本に住んでいる。

[浅草を満喫する韓国人夫婦KH &SOMちゃん]

浅草寺で夫婦揃ってお参りをしたとき、KHさんは感慨深そうに「なんだか、思っていたよりも幸せだな」と言った。KHさんが幸せだと、わたしも嬉しい。




ふと、どうしてKHさんは日本に来てくれたのだろうかと考えることがある。ご本人は「ファンの皆さんと同じ場所(国)で配信活動をしたい。オフラインイベントで皆さんと会いたい」と仰っていた。
でも、韓国に住んだままでもイベントの時だけ来日すればオフラインイベントには参加できるのだ。わざわざ異国の地に住む必要はそこまでない。

〜ここからはわたしの勝手な解釈になります。〜

KHさんは日本に"生きにきた"のだと思う。日本のファンと同じ土地で、日々生活し、楽しさを共有して、SOMちゃんを愛して、生きることを選択したのだと思う。

まだ韓国で配信していた頃、KHさんは素直に「私はもっとお金を稼がないといけません」と告白していた。
SOMちゃんと移住に向けての話し合いを重ね、お互いの両親や親戚の了解を貰い、その上で必要になるものをリストアップしたときに"お金"という問題が改めて浮かび上がったのだと思う。

11年(かな?)に渡る配信者としての生活の中で、KHさんが自身の財政状況を告白したのはその時が初めてだったと思う。わたしは配信を観ていて「こんなこと言うんだなぁ」と意外に思った記憶がある。それだけ切羽詰まっていたということなのだが、KHさんはそれほどまでに日本への移住を望んでいたのだ。
わたしはその気持ちがとても嬉しいし、感謝している。


KHさんは日本というマップで、生き残ることを目標にしている。「楽しく生活していることを見せることが恩返しになると思う」というKHさんの言葉通り、人生というバトロワを日本で我々ファンと共に戦い抜こうとしているのだ。
glglgl!!! KHWIN!!


KHさんはよく自身の徴兵経験を話のネタにする。日本に移住する際も、自前の軍服を持ち込んでいた。日本人からしたらなかなか触れにくい部分なのでヒヤヒヤする時もあるのだが、KHさんは日本のことも韓国のことも愛しているのだ。
開催中のサッカーW杯でも日本と韓国の両方を応援している。韓国の勝利の際は熱狂し、日本の勝利のときは涙ぐんでいた。

[VARの記事にあった韓国人たちのコメントに嬉しくなった話]
「今まではもちろん韓国だけを応援していたが、今は日本も同じように応援している。これは不思議な感じ」

わたしもKHさんのおかげで韓国の試合を見るのが楽しみになった。
ベスト16チームに両国とも残ったことがとても嬉しい。



さて、日韓関係は決して良好な面ばかりではない。韓国の徴兵制度が続いていることからもそのことは明らかである。
世界の歴史を見ても、隣国とずっと仲良くできている地域はとても少ない。隣同士だからこそ争いが起こりやすいのだ。

しかし、わたしはKHさんのとある発言を聞いてから、一生この人のことを信用しようと心に決めた。

それは、確か1年前くらいの配信での発言なのだが、日韓関係の話題になった時、とあるリスナーが「もし日本で戦争が起きたらどうしますか?」という質問をしたのだ。わたしがもしKHさんのモデレーターだったとしたら

※ twitchモデレーター→ は会話の邪魔になる悪意のある投稿やスパムを削除して、ストリーマーが定めたチャット利用時のルールが守られるように監視するリスナー。

このコメントをすぐ削除してしまっていたと思う。
そんなことをKHさんという一個人に聞いてどうするんだ、配信の雰囲気が悪くなるじゃないか、と。
だが、KHさんはそのコメントを読み上げて、こう言い切った。

「そうしたら私が、日本に行って皆さんを守ってあげます!」

わたしは驚愕した。こんなことを言う人が存在するのか。もちろん本気で軍服を着たKHさんが単身で日本に乗り込んで敵を倒してくれるとは思っていない。ウルトラマンじゃあるまいしw

でも、KHさんが冗談のつもりでそんなことを言ったわけじゃないことはわかる。
「この人はまじでやりかねない」とわたしは思った。それほどまでに日本を、日本のファンを愛してくれているのだ。わたしがKHさんを信じなくてどうするんだ、と思わせてくれた。

わたしがKHさんにサポートできることと言えば、twitchのサブスクくらいなのだが、KHさんが日本で生き続けてくれる限りは見守っていきたいと思う。カムサします。


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