「カラスの色は謎である」
河合隼雄さんの「こころの処方箋」という本を読んでいます。でも、1行読むごとに考え込んでしまってなかなか先に進まない。
「こころの処方箋」がどんな本かご存知ない方に説明しておくと、日本のユング派心理学の第一人者であり臨床心理学者である河合隼雄さん著作の『真剣に悩むこころの声の微かな震えを聴き取り、トラブルに立ち向かう秘策を与えてくれる一冊 (巻末より)』です。
今までこの手の本は意識して読むことを避けてきました。なぜかというと、わたしは心理学についてまったくの無知だし、他人の気持ちを理解する能力が足りずに苦労してきた人生だったので、気軽にその辺の本を手に取って間違えた知識をつけてしまうとこれまでより余計に誰かをいたずらに傷つけることになりかねないという心配があったからです。
知識・情報が少なすぎて、書かれていることの真偽を確かめる力が恐らくあまりありません。「カラスは白である」と書かれている本を最初に読んだら「なるほど白かぁ」と素直に信じてしまう。疑うことを知らない。
逆に疑ってかかると、今度は全てを疑ってしまう。カラスは白ではないのでは?と疑問を感じても「黒」という答えを知らないので「カラスの色は謎である」という頭の悪い結論が出てしまう。まぁ、そもそも「心」は白黒ではっきり区別できないと思うのでカラスの例えも破綻しているのだけど(迷子)
実際にこの目でカラスを見ることができれば、知識量が増えて本の内容と照らし合わせて納得できるノウハウを選んで学べるはずなのだけど、いかんせん人間と接してきた時間が少ないので知識量がほかの人に比べて少ないと思うのです。
これからどうやって生きていくのか分からないけど、もっと人との関わりを持たないといけない気がする。
あっとうてきに犬のほうが好きだけど。
わんわん。
・・・
わたしがこの本を読んでみようと思えたのは、河合隼雄さんが冒頭で「私は人の心などわかるはずがないと思っている」と仰っていたからです。
その一文を読んでとても安心できました。わたしも同じように人の心などわかるはずがないと思っています。
もし冒頭に「この本を最後まで読めばあなたも人の心を読めるようになるでしょう!Let’s do this!!」などと書かれていたら、恐ろしくてとても最後まで読む気になれません。
もちろん心理学のスペシャリストである河合さんとわたしとでは、この前提の持つ意味は10も100も違うのだろうけど、河合さんをとりあえず信用して、ゆっくり読み進めていろいろ考えてみようという気持ちです。
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