【詩】不眠症の薬 - リマスター
悲しみはちっとも消えない。疲れて疲れて、昔あなたから貰った手紙を読んだ。
『ごめんなさい。傷つけて。でも、綺麗な心でいたいのは、人間の性でしょう?』
性?
手紙はいつも"おやすみなさい"で終わる。"うまく眠れるといいね"
枕元の不眠症の薬をちらりと見る。
あなたはもう眠ったのだろうか。テレビ画面が青白くちかちか光っている。
とてもあなたに会いたいけれど、僕はあれから随分と変わってしまったし、ギターの弦も切れたまま、すっかり錆びついている。借りた本は本棚でひっそりと眠っている。
もうすぐ、夜が終わる。
(2013.2.14 初稿)
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