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【狂犬ブックセミナー第2弾】久松達央さん「農家はもっと減っていい」

約20年にわたって全国各地で経営とまちづくりに取組んでいる木下斉さんがまちづくりや地域事業、都市経営などに関連すると木下さんが独断と偏見で判断した書籍を毎回ピックアップし、著者の方などをお招きして学ぶオンラインセミナーに第一回に続き、LDLアソシエイトとして参加いたしました。

今回の書籍はこちらでした。

タイトルは「農家はもっと減っていい」とちょっと過激ですが、本を読んで真っ先に思ったのは、著者の久松さんは、ただ作るという農家さんではないと思ったことでした。本の内容はとても現実的です。農業について学びたいと言う方だけでなく、経営者としての苦悩や考えも書かれています。

経営者として、戦略を立てていらっしゃること、しかも戦略だけでは戦えない、会社の規模を大きくすることは経営者であれば目指すところなのではないかと自分自身も思いますが、自分の目の届く範囲で経営をされている。商品やサービスの品質を維持することを大切にされていらっしゃるんだと思いました。

主催された木下所長の記事は下記になります。動画も見れますので、ぜひチェックしてみてください。

■ 自分も当てはまった兼業農家問題

我が家も代々続く田んぼを所有していて、毎年お米を作っています。しかし自分たちの食い扶持分としてなので、買った方が安いのか?とかではなく、代々続く田んぼを守るためでしかなくなっています。
田んぼって、ただ植えて放っておけば出来るものではなくて、毎日の水の管理が必要なのです。朝に水路から田んぼに水に流して水が溜まったら水路を止めると言う大事な作業があります。これは水を止めてから日中の気温で水温が高くなり、稲を育てるために日々続けなくては稲は育ちません。

で、現在父親が自営業なので田んぼの管理は出来ているものの、サラリーマンが増えてきたり、高齢化が進み、田んぼを維持できない状況は進んでいます。我が家の田んぼの東西南北みんな荒れ果てています。

これって観光地であれば、結構ダメージなのではと思っています。確かに田んぼは日本中どこでもありますが、春なら田植え、夏なら緑の稲、秋なら黄金に広がる稲穂と都会や海外からのお客様であれば非日常な景色が映るわけです。それが草が覆った荒地になってしまったら…。まぁ興醒めしますよね。こう言った状況が日本中に広がっているんではないかと思います。

こう言った、兼業農家だと売上としては成り立たなくなった方は廃業を余儀なくされて、減少していくのは妥当だし、経営が成り立っているプロ農家層の規模増加に繋げることは大事なことだと思いました。

自分ごととして考えると、この農家を民宿と繋げるような形を考えないといけないなと思いました。この本では、久松さんがこだわって作った野菜を活用してお客様を獲得することも書かれています。

■ DX化と言っても儲かるのは農業関連企業

小規模農家がDX化を導入するのはそれなりの売り上げがなくては、経費が圧迫するだけになりかねません。農林水産省もDX化を進めているようです。補助金申請の手続きもオンライン化を目指しているようですね。

農業をDX化すると言ったら、当然リテラシーが必要であり、教育や研修が必要になります。下記図を見れば、いかに業界全体が高齢かが分かります。

【参照】農業を担う人材の育成・確保に向けて/令和3年6月農林水産省経営局就農・女性課

となれば当然、外部パートナーとして業者にお金を払って導入しなくてはいけなくなります。これはインフラとしてのDX化だけでなく、JAに頼らず直接販売に力を入れるために様々な農業関連通販サービスが出ています。

農家が伸びていることよりも農業関連企業が伸びているのが表面化しているようにも思えます。特定の企業名は出ておりませんでしたが、とても興味深い話だと思いました。

■ 小さい農業の生き残り術

情報過多の時代に、自分の農作物を知ってもらうためには大変なことだと改めて考えさせられました。価格競争に巻き込まれないためにどうしていけば良いか?こんなノウハウ術を惜しみなく書かれていらっしゃいました。

私はマーケティングを学んでいるので、おおっという方が出てきて胸熱になりました。河野武さんの最愛戦略です。過去に自分も学ばせていただきました。今も商品だけでなく、メーカーや販売する企業の物差しになっています。

とにかく、自分の商品を好きになってくれる人。商品にこだわりを持たなくては、継続して取引をしてくれる人はいません。スーパーなどの特売で安さを求める人は多いでしょう。
野菜という商材で差別化を図るためには小さい農家だからこそできる方法があるのだと教えてもらいました。

■ 事業継承の難しさ

久松さんは60歳になったら引退すると言っていらっしゃいました。これは事業継承という現実を自分にも突きつけられた気がしました。事業規模の縮小も考えなくてはいけないとおっしゃっていたので、後任になる経営者の育成なども考えいかなくてはいけないのだと思いました。

事業をやる以上、取引先に影響が起こります。観光業であれば地元産の野菜が扱えなくなり、差別化が図れなくなるかもしれない。さらに言えば、法人であれば税金が減ります。働き手が減ります。地域の経済力が低下する。これが一つ、二つと増えていけば、持続可能とはいかなくなってしまいます。

■ まとめ

今回のブックセミナーは実家にある田んぼや畑をどうしたら活用できるのか考えるということを目的にしていました。ありきたりかもしれませんが宿泊施設とどう組み合わせるかだと思いました。さらには経営者として広い視点で考えることが必要だと感じました。

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