マガジンのカバー画像

異文化

18
私の異文化体験。おもに、西洋と東洋のメンタリティの違いについて考察。異文化セミナーの内容共有もあります。日本のカルチャーに違和感を持つ方にも読んでいただきたい記事たちです。
運営しているクリエイター

記事一覧

私が愛したドイツ人

心を揺さぶられる映画だった。 多くの観客にとっては退屈な映画かもしれない。 80歳を過ぎたユダヤ人が昔の恩人に会うため、アルゼンチンからポーランドまで旅をするお話である。 ホロコーストがモチーフになっているが、この映画の主題はそこではない。 彼が旅の途中で出会う 3人の女性のモチベーションこそが主題である。 スペイン人のホテルウーマン。 ドイツ人の文化人類学者。 ポーランド人のナース。 私は、30代前半という多感な時期にドイツの会社で働いた。 当時、ドイツ人同僚たちと本音

韓国に嫉妬する

いろんな国に住んでいると、世界で日本がどう位置づけられているかがよくわかるものです。 私は日本人ですから、様々な国の人たちが日本という国をどう感じているかに関心があります。 その次くらいに関心があるのは、韓国でしてね。 日本と韓国。 歴史的に数々の因縁があり、現在も様々な分野でライバル関係にある両国。 私は、学生時代に在日韓国人の内縁妻がいたこともあり、韓国と韓国人全般に対して親近感をもっているほうだと思っています。 といっても、いわゆる「韓流びいき」ではありません。 『

どんなメールを書いていますか?

まだアジアロード中。今は中国広東省にいます。 支払い問題(VISAやMASTERカードが使えない)や、インターネット問題(GoogleやYouTubeやAmazonにアクセスできない)は、かなり死活的な問題ですが、そんなことはさておき。 この長期出張中に、オンライン研修を受けるスケジュールが入っていましてね。 Teamsはかろうじて使えるので、出張中ではありますが、とある研修に参加しました。その研修とは、非日本人向けに日本人の特殊性をレクチャーする異文化研修の上級コースです

火と氷の国にて

いまアイスランド (Iceland) に来ています。 寒いです。ただいま(日中)の気温 13度。 それでも現地のガイドさんは「夏は暑いなー!」と言っています。 昨日はバスツアー中に霙が降りました。 アイスランドにはイギリス人が金融資産を疎開させる先くらいのテキトーなイメージしかなかったけど、実際に訪れてみるとまったく別の国でした。 アイスランドといえば、イヤな事件を思い出しました。 2010年、東京で開催されたグローバルコンファレンスの幹事役を務めたときのこと。開催期間中

日本人が英語を理解できないのは、あなたの話し方が悪いからです

異文化研修もいよいよ 3日目(最終日)となりました。 今回は、日本人のコミュニケーションの特殊性について学びましょう。 日本人はなぜ意思決定に時間がかかるのか?あなたは日本人の意思決定の遅さにイライラしたことがありませんか? 簡単な質問への返答にどうしてそんなに時間がかかるの?と疑問に感じたことがあるのではないでしょうか。 そこには、ちゃんとした理由があるのです。 日本人の典型的な意思決定フローを見てみましょう。 あなたは Sato-san という担当者にメールで質問を送

ビジネスマナーは永遠に

前回の記事では、最近受講した異文化研修の導入編として、日本人の国民性を地理的要因、宗教・哲学、学校教育の面から解読したレクチャーを紹介しました。 今回は、その続き「ビジネスマナー編」を共有します。 前回同様、話し手は研修の講師です。 日本人は幼い頃から日本社会特有のルールを教え込まれ、さらに会社に入ってから、様々なビジネスマナーを身につけるために特別な訓練を受けます。それらは、あまりにも多くを要求するもの (demanding) です。 しかし、怖がることはありません。あ

もういちど日本人を学びなおそう

スイスの本社に帰任してから、日本支社と関わる機会が増えましてね。 そこで、あらためて異文化研修を受講することにしました。 その研修は、非日本人向けに日本人の特殊性をレクチャーするものでした。 以下に、その要点をお伝えしたいと思います。 地理的要因からくる日本人の4つの国民性日本人の国民性を決定づけている、日本の地理的要因は次の4つです。 1) 島国である 2) 人口密度が高い 3) 自然災害が多い 4) 天然資源がない 一つずつみていきましょう。 1) 日本は、本州・北

世界各国の有名人トップ3を当てよう

「有名なポーランド人」といえば、あなたは誰の名前を挙げますか? 1998年、私はワルシャワに住んでいましてね。 今でこそ “EUの優等生” と言われるポーランドですが、当時は民主化されてまだ日が浅く、「ググる」という言葉もない時代のことで、ポーランド人の名前なんて一人も知りませんでした。 そんな頃、現地の人に訊いたら 3人の名前を挙げられました。 ショパン キュリー夫人 ヨハネ・パウロ 2世 な、なんと! 文句なしでワールドクラスの 3名様ではありませんか。 「音楽家・

社員の国籍を 5つに分類してみた

2013年~2019年の 6年間、スイスで監査 (audit) の仕事をしていました。 当時の監査メンバーの国籍を数えてみたら、全部で 30 ありました。 もちろん国籍で人を語ることはできませんが、そこにはやはり傾向のようなものがあります。 30 の国籍について一つひとつ語るのは煩雑なので、5つにグルーピングしたうえで、各グループの特徴について語ることにします。 これは、私の経験のみに基づく所見なので、皆さんのイメージと合っているかどうかはわかりませんが。 グループ1:

法治と民主の 2軸で世界を分類してみた

住む国を選べるとしたら、どんな国に住みたいか、と考えます。 そこで、世界にはどんな国があるか、というところへ思考がいきます。 “法治” と “民主” の概念を使い、シンプルなモデルを提示したいと思います。 本稿は、2週間前の記事の続きです。 法治の対概念はなんだろう?法治とは、法による統治ですね。 この考え方の起源は、近代のドイツだそうです。 ドイツ駐在経験のある私からみても、現代のドイツ人が法を愛する国民であることは私の体感にフィットします。 余談ながら、ドイツ語を学んで

ヨーロッパ男のマザコンぶりときたら

ルクセンブルクに住んでいた頃、妻(当時)の唯一の日本人のお友達にエミというのがいましてね。 エミ 大阪出身。バリバリコテコテの大阪人。当時 36歳。ルクセンブルク在住。 マイクというベルギー人のご主人とハンゾウというパグと暮らす。 外国人としか付き合えない特異体質。今まで付き合った男の国籍:オーストラリア、カナダ、イギリス、アイルランド、オランダ、ベルギー 👈今ここ マイクとハンゾウ ご主人のマイクは EU で働く IT エンジニアでした。ラクで自由で高給という、誰もが

ヨーロッパ人が口を揃える、日本の社員に対する違和感

日系企業の海外駐在員だった頃、ヨーロッパ人の同僚から、日本人の社員に関する愚痴というかジョークをよく聞きました。 そのなかでもとくに多かったものを紹介します。 日本人だけで事前会議を?日本の親会社から大使節団がドイツの子会社に出張してきました。 10人くらい来てました。今思うと、当時日本人がやっていたことは中国人とそっくりです。 子会社側は、ドイツ人、オランダ人、イギリス人、ルーマニア人からなる、多国籍チームです。 大旅団は、出張の初日、日本人だけで会議をしていたそうです

異文化セミナー『日本人と働こう』

本棚を整理してたら面白いものを見つけまして。 元上司のヘレンが日本に赴任したときに受講した、異文化セミナーのレジメです。 セミナーのタイトルは、“Work With Japanese” もちろん私自身はそのセミナーに参加していません。 ヘレンが「興味があったら読んどいて」と、レジメのコピーをくれたんだった。 で、興味がなかったので、読みませんでした。 今あらためて読んでみたら、これがなかなかバカバカしく、本棚の奥に埋もれさせとくのはもったいないシロモノでした。 そこで、その

『日本人と働こう』 上級コース

このセミナーは 2日コースでした。前回の記事に載せたのは 1日目のレジメです。 今回は、2日目のレジメを和訳しました。 1日目よりグッと仕事向け・上級者向けの内容となっています。 外国人慣れしている方は、見出しを一瞥しただけで、「全部知ってるよ」と思われるでしょうが、日本人に対するイギリス人講師の解釈はときどき意表を突いていますので、おさらいのつもりで読んでみてください。 I vs We日本人と働くうえでまず理解しておかなければならないのは、日本人には「個人」 (indi