VCと起業家が語る起業のリアル。同志社大学寄附講座「アントレプレナーシップ論」
この春から、同志社大学でDNXが寄附講座「アントレプレナーシップ論」を開講しました。(リリースはこちら)
毎週倉林とDNXメンバーが京都・同志社大学に足を運び、起業の意義や方法論についてお話しています。 教室の広さの兼ね合いから400名程度の学生さんに受講いただいています。(おかげさまで人気講座となり、残念ながら抽選で受講できなかった学生さんもいるとのこと!)
全15回の講座は、DNX Venturesのメンバーによる起業とは何かを伝えるための授業と、全6名の起業家にリアルな起業ドラマをお話し頂く起業家講演の2種類で構成しています。授業を通じて起業の仕組みや起業家に求められること、事業の組み立て方などについて学び、それを実際に経営をしている起業家がどのように実践しているか、リアルな(ときに生々しい)話を聞いて掴んでもらおうと工夫しました。
授業の15回の組み立ては以下のとおり。 身内が言うのも烏滸がましい話ですが、DNX在籍の私も受けたい!という内容がずらり。
覗き見授業|起業のパーパス編
5月上旬現在、すでにこれまで全3回の講義を終えました。 今回はその授業の様子を一部ご紹介します。
第二回目の講義「起業の意義/パーパス経営」は、DNX Venturesの日本代表倉林とPrincipal 白石由己が講師となり、起業の意義についてお話ししました。授業の構成は、資本制社会の構造上株式会社のオーナーシップをもつ起業家が得られる「経済的リターン」の話と、良い時も悪い時も乗り越え成功まで走り抜ける支え「パーパス経営の重要性」の二部構成。
■資本制における経済的リターン
株式会社の構造上、事業がうまくいった際の配当・リターンは株をもつ株主が得られます。一方、労働者として企業に勤める立場は、契約上労働力との給与の等価交換で完結し、業績に応じたリターンを得ることは難しい。つまり起業するということは、自らの労働力を他の会社に売り渡す存在から、自らが資本をもち株主となり、また同時に自らの労働力を投じオーナーシップをもって経営するアントレプレナーに転身することです。資本制における経済的リターンが期待できるという観点から、起業の意義を捉えることができます。
社会人になってしまえば当たり前のことですが、学生のころや就職活動の折には、自らのスキルを活かすことやブランド力ある企業名に目がいって、何をもってお金を得るのかということを真剣に考えることはあまりなかったように思います。
■パーパース経営の重要性
後半からは倉林から、様々な映画やドキュメンタリーを紹介しながら「パーパス経営」の重要性について講義しました。紹介したドキュメンタリーのなかには、商品製造の裏側にある環境破壊の事実を紹介したものも。さまざまな環境課題や紛争など、世の中の向き合い乗り越えなくてはならない課題が多くあるなか、何をテーマに起業するのか、どんな企業を選んで就職するのか。パーパスで仕事を選ぶ時代にあります。
そしてそのとき、合理的な判断だけではうまくいかない。また、論理的な説明だけでも人の心は動かせない。人の魂や直感に訴えかける、そんな能力をコツコツ磨いてほしいと語りかけました。
■学生のみなさんからの声
覗き見授業|FOLIO 甲斐社長編
続く第3回目の講座は、DNXの投資先スタートアップより株式会社FOLIO 代表取締役の甲斐 真一郎さんが登場。「全てオフレコ!今日は全部話します!」と180ページ以上のパワーポイント資料を携え、80分間、学生時代から現在に至るまでの壮絶な起業家ストーリーを披露してくださいました。
創業にあたって何をテーマに事業を立ち上げるか悩んだ時大事にした「Founder Market Fit」と「パーパス」の話、Paul Graham氏が「資金調達はスタートアップにおいて二番目に難しい(一番はPMF)」と言った資金調達をものの見事にやり遂げた順調すぎるほどの黄金初期、大手事業会社との提携に関する意思決定の難しさ、そしてPMFしておらず地獄を見た苦しい時期の涙のエピソード、FOLIOをV字回復させた復活劇・背水の陣。
怒涛のドラマを全身全霊で語り尽くした甲斐さんの最後の締めくくりはこうでした。
■学生のみなさんの声
初めて聞く起業家の熱く刺激たっぷりの話に、引き込まれ聞き入った学生400人。起業する人もしない人もいると思いますが、パーパスを持って生きる尊さに触れる、原体験になったのではないかと思います。
海外と比較しても極端に起業意欲が低い日本の大学生に、すこしでも起業意欲を喚起する機会を提供できればと実施を決めた本寄附講座。まだまだ続く残る12回の講義で、学生たちの心はさらにどう動いていくのか。引き続き、起業の魅力も意義も厳しい現実も、最前線のVC・起業家の目線からお伝えしていきます。
(文・写真:上野なつみ)
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