世界最終芋煮会

「コッ↑コ↓」
「コッコちゃんかわいいね」
「コッ↑コ↓」


この時は誰も予想していなかった……。

2日前に主人公が買った総額7億円分の株が、暴落し、総額で3円になりつつあるなんて……。

……以上が原作エピソード『世界最終芋煮会』の冒頭です。


このエピソードのサブタイトルがめっちゃ好きです。

3018年の惑星で変わり果てた姿の妖怪たちが開いた芋煮会が、宇宙で最後の芋煮会なんだと思うと、人間の営み(芋煮の発明)のちっぽけさと終焉のしょうもなさに感動してしまう。

言うまでもなく、全ての営みには終わりがある。人類が数千年の歴史の末に生み出した何かが、これといった理由なく(或いは「これといった理由がないからこそ」)、永遠に失われてしまうのを想像すると、底の見えない谷を覗き込むようなぞっとする感覚がある。そんなとき、「世界最終芋煮会」は私の手を引いてそっと谷から遠ざけてくれる。

作中の芋煮会がそうだったように、終焉はそれと認識されることなく訪れる。最後の芋煮会を開くことに痛みはない。ただいつものように、くだらないことで一喜一憂しながら執り行われて、過ぎ去って、宇宙の歴史から消え去る。それは救いだ。


(ひさしぶりな気がする)余談
不老不死にはなりたくないなぁ』を書くとき、世界最終芋煮会の話題に触れようかかなり迷った。「ユーモアやアイデアが思いついても、その背後にある文脈は既に世界から失われている」のって本当に切ない。


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