見出し画像

4/14開催【ドコモベンチャーズピッチ】高齢化社会で要注目のエイジテック~拡大必須のマーケットと多様なソリューション~

皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2022年4月14日(木)に行ったイベント、

【ドコモベンチャーズピッチ】高齢化社会で要注目のエイジテック~拡大必須のマーケットと多様なソリューション~

についてレポートしていきたいと思います!

本イベントでは、エイジテックに関連する事業を展開している注目のスタートアップ5社をお招きしピッチをしていただきました。

  • エイジテックに興味のある方

  • シニア向けビジネスに興味のある方

  • シニア向けビジネスのアイデアや事業連携を模索している方

にぜひお読みいただきたい内容となっております!

以下、ピッチ内容をご紹介します!

■1社目:AP TECH株式会社

1社目は、AP TECH 大西 一朗様にご登壇いただきました!

<AP TECH株式会社 代表取締役 大西 一朗様>

AP TECH株式会社 大西 一朗様

・AP TECHの事業紹介

AP TECH社は、独自のデータ極小暗号化技術を核に、ヘルスケア、物流、 ドローン、IoT、Fintech等の幅広い分野のDXを支えるプラットフォーマーを目指すITベンチャー企業です。

“CHANGE THE WORLD -地球上のすべてをつなぐ”のVisionの下、元総務省、医師、Web開発などの経験を持つスタッフとともに未来志向のDXイノベーションを進めています。従来型のインターネットの枠を超えて、圏外でも地球上のあらゆる場所にいる人々を接続し、見守るということをミッションとしています。

AP TECH株式会社が展開する見守りシステムとは、どのようなものなのでしょうか。

遠隔モニタリングアプリ「Hachi」

まず、現在AP TECH社が主力サービスとしているのは、スマホアプリの「Hachi」です。 このアプリはシニア世代にアップルウォッチをつけてもらい、①充電方法、②SOSの仕方、③電池が切れた時の対処方法の3つの単純な操作を覚えてもらうだけで、簡単に使える遠隔見守りサービスです。

シニア世代の見守りというと、カメラによる監視や、見守る人と見守られる人の間に仲介会社をはさむ、一方的な見守りサービスが主流です。 しかし、HachiではSOS機能のほかにテレビ電話にまで対応しており、安心感とともに「つながり」も感じられる、非常にユニークなサービスとなっています。もちろんアップルウォッチが取得するバイタルデータも閲覧でき、遠隔での健康チェックや遠隔診療との連携が可能な点も、差別化ポイントとなっています。

※Hachiのビジネスモデル
月額のサブスクリプション代金を、見守る子ども世代に払ってもらう仕組み。見守られる方にiPhoneとApple watchを用意し、アプリをダウンロードし設定を行うだけで見守りが開始できる。

独自の通信技術

独自のデータ通信技術

さらにAP TECH社は、データを3000分の1以下とする独自のデータ暗号化極小化技術の開発に成功しました。この技術を基礎に、携帯電話の通信環境がない地域でのデータ通信サービスの実装や、膨大なデータ解析に基づくAI開発等が検討されています。

この技術は、ドローンを使った遭難者の捜索や、過疎地域における物流、疾病発症リスク予測AIの開発、フィンテック分野等での活用が期待されています。

■2社目:株式会社Magic Shields

2社目は、Magic Shields 下村 明司様にご登壇いただきました!

<株式会社Magic Shields 代表取締役 下村 明司様>

株式会社Magic Shields 下村様

・Magic Shieldsの事業紹介

Magic Shields社は、シニア層の転倒骨折を無くすため、転んだ時だけ柔らかくなる新素材を使った「ころやわ」という置き床を開発・製造・販売している会社です。

「ころやわ」の語源と開発の背景

「ころ」んだときだけ「やわ」らかいことから名づけられた製品名「ころやわ」。それを可能にしたのは、Magic Shields社が特許を持つ独自の構造体メカニカル・メタマテリアルです。

「ころやわ」の開発に至るまでには、シニア層の転倒にまつわる様々な損失が背景にあります。

シニア層は筋力の衰えやバランス感覚の喪失などにより、転倒する可能性が非常に高く、また骨自体も強くはないため、転倒してしまうと骨折をしてしまうリスクも同時に高くなります。特に大腿骨の骨折は、寝たきりの状態、介護の必要、認知症の悪化など様々な悪影響を及ぼします。

シニア層の医療費・介護費については大腿骨の骨折だけでも年間に1兆円を超えています。

こうした状況を踏まえて、車いす利用時や歩行時には固く、転倒時にはやわらかくなる「ころやわ」が現在では病院を中心に普及し始めています。

ころやわの活用場所

「ころやわ」とIoT

現在、IoTを活用した転倒予防や転倒後の対応を改善するための開発も行われています。

具体的には、センサーに伝わる振動の周波数をAIで解析することで、転ぶ前に歩行していたのか、どの部位を地面に打ったのかなどを把握できます。
これらのデータを活用することで、転倒を予防するための効果的な対応策が明らかになります。

こうした転倒対策のサービスは経済的にも非常に有益で、行政と高齢者施設にかかる一人当たりの大腿骨骨折によるコスト(約500万円)を削減できるそうです!

超高齢化社会となっていく世界のトレンドから見て、「ころやわ」の市場規模は今後も拡大が見込まれますね。

そして、将来的には、構造体を生かした衝撃吸収・消音・防振への応用、さらにはスマートシティに使用可能な新素材としての活用などを目指されているそうです。

■3社目:株式会社MIHARU

3社目は、株式会社MIHARU 赤木 円香様にご登壇いただきました!

<株式会社MIHARU 代表取締役 赤木 円香様>

株式会社MIHARU 赤木 円香様

・MIHARUの事業紹介

MIHARU社は、シニア世代のwell-beingの実現を目指して「もっとメイト」というサービスを運営している会社です。

起業の経緯

赤木社長が起業しようと思ったきっかけは、骨折を機に出かける楽しみを
失ってしまった自分の祖母のために、あったらいいなと思うサービスをつくりたいと思ったことだそうです。

シニア世代と言っても、健康な方から介護が必要な方まで様々です。
彼らの中には「健康とまではいえないけれど、介護は不要」という段階に
該当する「フレイル(虚弱状態)」のシニア層が一定数存在しています。
赤木様のご祖母様もフレイルに該当していたそうです。

そうした方々は、日々の生活の中でできないことがだんだんと増えてきて、漠然とした孤独感を感じるようになります。

そこで、彼らに希望や願望を抱いてもらえるよう寄り添い、孤独感を少しでも緩和するためのサービスとしてMIHARU社が提供するのが「もっとメイト」というサービスです。

もっとメイトが目指すシニア層の心の状態

「もっとメイト」のサービス概要

  1. 主に孫世代の大学生スタッフ(パートナー)がお客様の⾃宅を訪問

  2. 傾聴を通して潜在ニーズを聞き出す

  3. 1人1人にあったオリジナルプログラムを作成

  4. そのプログラムを一緒に実行していく

このサービスの特徴は、家事代行は行わないことです。ここが介護とは異なる部分です。スタッフは、シニア層が身体的にできないことをサポートするのではなく、実はやってみたいと思っていたがこれまでやってこなかったことなどを傾聴の中から聞き出して、実現を目指します。

※2022年4月現在、一都三県でサービス展開しており、今後拡大予定

「もっとメイト」はシニア層に暮らしの楽しみや喜びを提供するだけでなく、デジタル機器の操作方法を教えることで、介護予防にも役立ちます。

そして、お客様から傾聴した内容を顧客カルテとして蓄積し、どのようなアプローチが最善か、日々改良も行っています。

お客様からは、「孫ができたみたい」、「若いお友達ができた」、「⽼後に光が差し込んだ!」とのお声をいただいているそうです。

このサービスで大事なのは、大学生スタッフの採用・教育です。MIHARU社はここにとても力を入れており、なんと、採用までに面接は3回、採用率は約17%、採用後も5段階に分けた実践的な研修を行い、サービスの質の向上に努めているそうです!

■4社目:トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社

4社目は、トリプル・ダブリュー・ジャパン 中西 敦士様にご登壇いただきました!

<トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社 代表取締役 中西 敦士様>

トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社 中西 敦士様

・トリプル・ダブリュー・ジャパンの事業紹介

トリプル・ダブリュー・ジャパン社は、超音波技術を活用し、世界初の排泄予測デバイス「DFree(ディー・フリー)」を開発しました。
登録したスマートデバイス等へ、事前にトイレのタイミングを通知することで、トイレでの排尿を支援します。このデバイスがもたらしたソリューションとさらなる可能性について詳しく見ていきたいと思います!

「DFree」の仕組みと効果

「DFree」は超音波ウェアラブルデバイスで、サイズは500円玉2枚程度の大きさ、重さは単三電池一本分程度と非常に小型です。

これを膀胱の下の皮膚表面に貼ることで、膀胱内の尿の量を検出し、排尿のタイミングをスマートフォンやタブレットなどで知ることができます。

超音波ウェアラブルデバイスDFree

60歳以上の人で、尿漏れ・失禁をする割合は約78%になると言われており、多くの人が排尿に関する悩みを抱えます。

そんな中で「DFree」を使用した人のうち約75%はトイレの悩みが軽減したと回答しており、介護施設でも利用が広がるこのデバイスは非常に効果的であるといえます。
実際に介護施設での失禁回数は約47%も減少したそうです!!

「DFree」の今後

「DFree」は2022年の4月から介護保険適用の対象になりました。これは22年の介護保険の歴史の中で12年ぶり2品目目という極めて厳しい審査を通った機器だそうです!これにより、要介護・在宅介護の方は1割負担、約9,000円で購入が可能になりました。

また、現在シニア層が使う紙おむつは、2030年には廃棄物のうち約7%を占めると予測されています。リサイクルできないうえ焼却炉を痛めることから、地球環境に悪影響を及ぼす製品の一つになっています。

紙おむつの使用を減らすことにつながる「DFree」は、そうした環境問題への対策においても、一役買う存在になると期待されています。

さらに、排便についても実証が始まっています。大腸の動きを観測することで、排泄全体をカバーすることが可能になります。2024年度の商品化を目指しているそうです。

今後は肺や心臓のような循環器の観測などにも技術を応用して、遠隔診療や病気の早期発見に生かすことを目標にされているとのことです。

■5社目:株式会社ファミトラ

5社目は、株式会社ファミトラ 三橋 克仁様にご登壇いただきました!

<株式会社ファミトラ 代表取締役CEO 三橋 克仁様>

株式会社ファミトラ 三橋 克仁様

・ファミトラの事業紹介

ファミトラ社は、テクノロジーの力で「笑って長生き」を実現するという
ミッションのもと、お客様の家族信託の組成をサポートする事業を展開している企業です。

家族信託を安く、早く、簡単に

ファミトラ社は、認知症になってしまったときに起こる、資産に関する問題に備えておくための制度、家族信託(Family Trust → ファミトラ)を誰もが簡単に組めるようにするサービスを提供しています。ITの力を駆使し、あらゆるオペレーションの効率化を図りつつ、組成費用の大幅な低価格化を実現しています。家族信託とは何か、また市場規模はどのくらいなのかなど、気になるポイントを見ていきます。

成年後見制度が抱える問題を解決する家族信託

認知症になると、本人は契約行為ができないという問題が発生します。例えば、介護費用に充てようと自宅などの自分の資産を売ろうと思ってもできません。また、自分の銀行口座から預金を引き出すこともできなくなる可能性があります。つまり認知症になると、資産が事実上凍結されてしまうということになります。 認知症になってしまった際に使える制度として、家庭裁判所が指名する弁護士などの第三者に資産管理を任せる成年後見制度がありますが、この制度は多くの問題を抱えています。

第三者に資産管理を任せる成年後見制度の問題点

  • 意見の不一致

  • 高額な費用負担

  • 各種出来事を報告する事務負担

そこでファミトラ社が注目したのが家族信託という制度です。

家族信託のしくみ

家族信託とは、資産の一部に関して、管理と処分権限だけを家族などの信頼できる第三者に委託できる制度です。この制度は成年後見制度が抱える問題の多くを解決できます。 しかし、メリットがあるのになかなか普及していません。家族信託は、信託できる資産の範囲が広く自由度が高いため、専門家でも何度も関係者と打合せを重ね、その都度書類を作成しなければなりません。そのため、数ヶ月の期間と、数十万から数百万円の費用がかかることが原因です。

ファミトラ社のソリューションと展望

そうした煩雑で費用もかかる家族信託のコンサル部分を、ファミトラ社はIT化することに成功しました。 全工程をIT化することで、家族信託の組成までに数か月かかっていた期間を数週間に短縮し、初期費用も10分の1に抑えられています。

第一生命経済研究所から2018年に発表された「Economic Trends」によると、2030年には日本の認知症患者が家計金融資産の10.4%(215兆円)保有するようになると予測されています。

ファミトラ社は、その5%(約10兆円)に関し、家族信託組成サポートサービスと、その後のアフターケアを行う信託監督人サービスの獲得を目指しており、こうした事業の将来性から、ファミトラ社はわずか2年間で17億円もの資金調達に成功しています!

家族信託の関連業種は多岐にわたるため、ファミトラ社は大小合わせて100社程の企業と提携しており、今後もその数は増えていくことが期待されています。

まとめ

今回は、エイジテック関連の代表的な5社のお話をお聞きしました。

どの会社も魅力的な事業や独自の技術を生かした製品を世の中に送り出しており、さらなる展望もあられるとのこと、期待せずにはいられません!今後ますます高齢化していく社会の中で、今回の登壇者様にお話しいただいた
サービスや製品に需要が集まることも容易に想像できます。

今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!

引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!
>>今後のドコモ・ベンチャーズのイベントはこちら







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?