見出し画像

80年代 各年一番好きな洋楽のアルバム紹介

60年代、70年代と各年で最も好きな洋楽のアルバムを紹介しました。

今回は80年代、というわけでここで一度20年分を振り返ってみましょう。
太字がイギリス勢です。

60年代

1960年 「Rockin' at the Hops」-Chuck Berry
1961年 「Blue Hawaii」-Elvis Presley
1962年 「Bob Dylan」 -Bob Dylan
1963年 「Surfin' USA」-The Beach Boys
1964年 「Kinks」-The Kinks
1965年 「My Generation」-The Who
1966年 「Fresh Cream」-Cream
1967年 「The Piper At The Gates Of Down」-Pink Floyd
1968年 「Electric Lady Land」-The Jimi Hendrix Experience
1969年 「Green River」-Creedence Clearwater Revival


70年代

1970年 「Plastic Ono Band」 -John Lennon & Plastic Ono Band
1971年 「Led Zeppelin Ⅳ」-Led Zeppelin
1972年 「Exile On Main Street」-The Rolling Stones
1973年 「Band On The Run」-Wings
1974年 「Red」-King Crimson
1975年 「Wish You Were Here」-Pink Floyd
1976年 「A Day At The Race」-Queen
1977年 「Heroes」-David Bowie

1978年 「The Man Machine」-Kraftwerk
1979年 「Highway To Hell」-AC/DC

全部聴けばきっと素晴らしい一日を過ごせる我ながらなかなかいいラインナップ。やはりいいものはいい。
今のところ12/20と6割がイギリス。70年代のイギリスはおかしい。80年代強いイメージのアメリカ勢、ここで巻き返すのか。

それではやっていきましょう。
今回も「年代通して」同じアーティストは禁止です(企画全部通して禁止でも良かった。ピンクフロイドでやってしまいましたが。)




1980年 「Remain In Light」-Talking Heads

他候補
「Double Fantasy」-John Lennon
「Back In Black」-AC/DC
「The Game」-Queen
「Boy」-U2

一曲目から徹底されたミニマリズムと黒人リスペクトのアップテンポなビート。「80年代の幕開け」にふさわしいサウンドではないでしょうか。
あちこちで鳴ってる世話しないパーカッションが繰り返しのリズムに味を添え、デヴィットバーンのいい意味で演技臭い声で完成します。
そして何よりプロデューサーのブライアンイーノの働きは相当大きいでしょう。度々聴こえてくるシンセサイザーは絶対必要なサウンドです。
これを聴いた後にYMO、特に「増殖」を聴くと絶対影響受けてるなと笑わずにはいられません(増殖は本作より前です、ご指摘ありがとうございますそしてすみませんでした)
お気に入りは3曲目の「The Great Curve」。巧みなコーラスワークが素晴らしい。もちろん彼らのヒット曲の一つ「Once In A Lifetime」もフワフワ感のあるシンセサイザーが特徴の名曲。すみませんレバーは??



1981年 「For Those About Rock」-AC/DC

他候補
「Faith」-The Cure
「4」-Foreigner
「Killers」-Iron Meiden

世界が明らかに新しいロックの形を模索している中、彼らは我関せずとストレートなロックアルバムをリリース。そういうところが好きだ。
ここは逆張りさせてください。「Back In Black」より好きです。
これまでよりさらに洗練されたメタル色の強い傑作で、彼らは「メリハリの付け方」を完全に本作でマスターしました。
それが特に分かるのが5曲目の「Snowballed」。中盤までは静と動を完璧にコントロールし、最後で怒涛のギターで畳みかける。AC/DCの全キャリアの中でもかなり好きな曲。
彼らの何より好きなところは「ロックと真剣に向き合ってる」点です。下ネタor悪魔崇拝の歌詞、激しいギターリフ、ボンそしてブライアンのけたたましい叫び。ずっとこれしかやってないのに、それに対して聴衆に「決して投げやりではない」と思わせることに成功しているのは、めちゃくちゃ凄いことなのです。



1982年 「Combat Rock」-The Clash

他候補
「The Number Of The Beast」-Iron Meiden
「The Nightfly」-Donald Fagen
「Thriller」-Michel Jackson
「1999」-Prince

逆張りはあまりしない主義ですが「1982年で一番のアルバムは?」という質問にスリラー以外を挙げている時点でもはや逆張りなのかもしれません。それくらい絶対的な力を持っていますから。悩んだのですがやはり「好きなバンドの好きなアルバムを紹介したい」という気持ちには勝てませんでした。
というわけで僕が愛してやまないパンクの皮を被った技巧派集団、クラッシュのオリジナルメンバー最後のアルバムです。「流行りの音楽をパンクに取り入れる」ということをやらせて彼らの右に出る者などあり得ません。実際本作ではダンサブルなレゲエ、ファンク、アフリカンビートなど様々な要素を取り入れていますがシンセサイザーは添えるだけに抑えるなど、パンクという根元は決して崩していない素晴らしいバランスを楽しむことが出来ます。(とはいえ流石にパンクから逃げたと批判もあったらしいですが)
口ずさみやすいシンプル名曲「Should I Stay Or Should I Go」イントロのピアノと手拍子が最高のディスコ「Rock The Casbah」など代表曲はもちろんですがレゲエ色の強いパーカッションの楽しい「Straight To Hell」などバラエティ豊かな名曲が多数備わっています。名盤です。



1983年 「Synchronicity」-The Police

他候補
「War」-U2
「Murmur」-R.E.M.
「Let’s Dance」-David Bowie
「Peace Of Mind」-Iron Meiden

3人編成でメンバー全員天才で仲が悪く、出したアルバム全部名盤という点でクリームを彷彿とさせるポリス。そんな彼らの世間的には一番の名盤とされているラストアルバム。僕もポリスで一番好きです。
オルタナティブな前半と名曲を詰め込んだ後半の対比が素晴らしく、後半を象徴する誰もが知る大名曲「Every Breath You Take」は癖が強めの彼らの曲の中ではかなり綿密な「引き算」が行われていて、必要最低限の個性で名曲を作るセンスに脱帽。
僕は「King Of Pain」もかなり好き。印象的なピアノとマリンバかな?の浮遊感のあるイントロとメロディアスなギターソロ、巧みな後半部分の盛り上げが最高です。
僕はレオンを見て「Shape Of My Heart」を聴いて「なんだこの・・・神曲は・・・」と衝撃を受けスティングを知り、そこからポリスを知ったのですが、同じ人いますか?



1984年 「1984」-Van Halen

ジャケットマジで好き

他候補
「The Smith」-The Smith
「Love At First Sting」-Scorpions
「Purple Rain」-Prince

ポップで未来的でかっこよくて正統派かと思いきや所々ユニークで楽しくてそれでもふとどこか切なくなる最高のアルバム。本当に大好きです。何回聴いたか分からない。エディ、RIP・・・。
33分と長くない総時間の中で「Jump」「Panama」「Hot For Teacher」と珠玉の名曲を揃え、ヴァンヘイレンの最高のアルバムなのはもちろん、80年代のアメリカのロックというスケールで見ても真っ先に名前が挙がるであろう大名盤。
やはりなんといってもエディの最高に楽しくイカしたギターでしょう。最初から最後まで一切手を抜かないオールウェイズ最高の名演を披露しています。
とにかく聴きましょう。話はそれからです。




1985年「Brothers In Arms」-Dire Straits

他候補
「Meat Is Murder」-The Smith
「Around The World In The Day」-Prince

初めて「Walk Of Life」を聴いた時、泣くまでは行きませんでしたが涙腺をかなり刺激されたのを覚えています。あのイントロは魔法です。「やるべきこと」・・・見つけないとな。
古典的なブルースに根ざしつつ、先進的なサウンドを惜しみなく採用する柔軟さ、そしてイギリス人の伝統芸とも言える皮肉とユーモアのある歌詞が魅力的なダイアー・ストレイツ。そんな彼らの代表作。
歌詞という面で見るならやはり「Money For Nothing」は傑作です。MTVを批判した曲が結局MTVを通して大流行しちゃうなんとも皮肉なもの。もちろんサウンド面も素晴らしい。特徴的なギターもそうですが絶対に蛇足じゃない壮大なイントロも印象的。
そしてラストを飾る表題曲。映画のエンディングのような迫力で心に迫ります。



1986年 「Raising Hell」-Run-D.M.C

他候補
「Slippery When Wet」-Bon Jovi
「Master Of Puppets」-Metallica
「Invisible Touch」-Genesis
「A Kind Of Magic」-Queen

ロックとヒップホップの融合という試みに80年代では最も成功したアーティストだと思っています。成功したというかそもそも彼らが先駆けなのですが。
やはり何より「Walk This Way」でしょう。僕はエアロスミス側の「使われる側」に徹した姿勢を高く評価したい。いや本当に。本当に凄いことですよ。個性を出し過ぎず吞み込まれ過ぎない絶妙な塩梅が最高。実際にこれが再ブレイクのきっかけになりました。
そして愛すべき一発屋、ザ・ナックをサンプリングした「It's Tricky」。王道を往くロックソング。このアルバムの雰囲気を決定づけています。
もう一つお気に入りは「You Be Illi'n」。記憶に残るピアノとブラスの音、中間部の素晴らしい盛り上がり。いい曲です。
彼らの固く、生々しさを残したビートは後世のヒップホッパーにどれだけ影響を残したのか想像に難くありません。リックルービンによってそぎ落とされた必要最小限の音数で最大限の迫力。古き良きヒップホップここにあり。

このMVほんと愉快で好きなんだよな・・・。



1987年 「Appetite For Destruction」-Guns N' Roses

他候補
「Sister」-Sonic Youth
「Bad」-Michel Jackson
「The Joshua Tree」-U2

ここで逆張り一切なしの一直線選出。もうシンプルにかっこいいんですよね。親父のフェイバリットで車でよく聴かされてました。ボンジョヴィやヴァンヘイレンとは違う、ロックの原点回帰、セックスドラッグロックンロールが80年代という時代に適合して帰ってきたといったところでしょうか。
もちろん「Welcome To The Jungle」は神です。初めて聴いたときはテンション上がりすぎておかしくなりそうでした。そしてPVを見て「このギターを弾いてるシルクハットの男はなんなんだ」と衝撃。加えて「ボーカルの男イケメン過ぎないか?」と衝撃。全てが衝撃的な出会いでした。
これだけに留まらず「Paradise City」「Sweet Child O' Mine」とこいつらだけで同じ年に出た全てを蹴散らせる2曲も惜しみなく収録。どちらも歴史に残る大名曲。
他のお気に入りは「Nightrain」です。イジーとスラッシュの息つく間もないスピード感のある絡み。イジー、本当にもっと評価されるべきだと思う。




1988年 「Surfer Rosa」-Pixies

他候補
「Daydream Nation」-Sonic Youth
「It Takes A Nation Of Millions To Hold Us Back」-Public Enemy
「New Jersey」-Bon Jovi

「衝動」が音楽になって表れたものと言って差し支えない、歪んだギターとフランシスの気持ち悪い(誉め言葉)叫び。しかしそのままではアクが強すぎてかなり聴く人を選ぶ内容になってしまう。ではどうするか?歪んだサウンドを減らす?叫びを控え目にする?デジタルサウンドを入れる?否。彼らピクシーズは「女性のコーラスを採用してキャッチ―にする」という答えにたどり着きました。実際にこれはかなり効果的に作用しており、本当にびっくりするほど聴きやすいアルバムです。この世界観はピクシーズ以外で味わえません。
そんな歪んだサウンドに頭を揺らしていたら全男をブラッドピットに憧れさせた大名曲、「Where Is My Mind?」が突然参上。名曲だなあ・・・と惚れ惚れしていたら少しホラーじみた終わり方に目が覚めます。
僕はそのあとの「Cactus」が好き。盛り上がるのか?盛り上がるのか?というそわそわ感が魅力。まあそわそわしてたらいつの間にか終わるんですけどね。

ピクシーズにレディオヘッドが影響受けてると聴いて驚き。そして「Pablo Haney」を聴いて「あー・・・w」と納得。面白い。



1989年 「The Stone Roses」-The Stone Roses

他候補
「Doolittle」-Pixies
「Rhythm Nation 1814」-Janet Jackson
「Bleach」-Nirvana
「Mother's Milk」-Red Hot Chili Peppers

ついに候補にニルヴァーナとレッチリが登場。グランジ全盛期に向けてアメリカがさらにアップを始めました。
そんな1989年、選んだのはコテコテのイギリス色がたまらないマンチェスタームーブメントの代表バンド、ストーンローゼズのファースト。徐々に近づいていく異音と共に放たれる幻想的なイントロと「崇拝されたいです」とえげつない歌詞が最高の一曲目「I Wanna Be Adore」から始まり、ポップな「She Bangs The Drums」、サイケで浮遊感マシマシな「Waterfall」とバラエティ豊かな曲を演奏技術最高峰のメンバーが作り出す独特な世界観が包み込みます。
しかし僕の一番のお気に入りは「Made Of Stone」。しっとり系かと思いきや徐々に疾走。レニ、ドラム上手すぎ。
全体的に古典的なサイケの影響を感じつつも確かに感じる前衛的なサウンドメイキングは彼らの卓越した技術だからこそ為せる技。オアシスも影響受けてます。



まとめ
集計結果はイギリスが4、アメリカが5、その他が1
企画全体で見ればイギリスが16、アメリカが11、その他が3
アメリカが大分巻き返しました。90年代もアメリカは強いのでこの先どうなるか気になります。

さて、80年代のロックシーンを振り返ってみて感じたことは「楽しむことが第一」という風潮が強まった気がするということです。踊って頭を揺らしてとにかく楽しもう!そんな音楽が増えた印象。それだけ世界が平和になった、と言えますね。
社会的なアルバムが扱うテーマには「環境問題」が加わり、よりグローバルに世界を捉え、目下の問題だけではなく未来に繋がる問題を見据えるようになりました。
60年代や70年代ほどの目まぐるしい変化はありませんが、ディスコとレゲエとデジタルサウンドに染まっていた80年代のロックシーンは、シアトルの方向からやってきた死の匂いを纏った天才によって完全に破壊されます。

さあ次は90年代。グランジVSブリットポップの時代。
よろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?