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【ビートルズ禁止】60年代各年 一番好きな洋楽アルバム紹介

20世紀において60年代ほど「激動の時代」という言葉が合う時代はないでしょう。
そしてそれは洋ロックにも言えます。60年代の洋ロックを聴くということはもはや社会勉強に近いのかもしれません。

今回はそんな変化目まぐるしい60年代の各年で一番好きな洋ロックのアルバムを紹介します。

70年代でも同じことやってます。よろしくどうぞ。

前回と同じく、同じアーティストは禁止、加えて今回は60年代を語る上で避けて通れないビートルズも禁止です。
散々語りつくしてるので今回くらいは禁止にしたいと思います。


1960年 「Rockin' at the Hops」-Chuck Berry

すみません。もう挫折しそうです。
50年代の洋楽は聴いてるのですが、1960年~1962年の三年についてだけ絶妙にあまり知らないことに気付いてしまいました。
1963年になった途端、水を得た魚のように語ることが出来るのですが・・・。
とはいえ1963年から始めるのはダサいので、何とかサブスクとにらめっこして捻りだしています。
1960年からはチャックベリーの4枚目のアルバム。辛いのが僕が彼のアルバムで一番好きなのがこの1年前の1959年の「Berry Is On Top」ということ。あと一年遅ければ・・・。
しかし本作もビートルズやストーンズが惚れたであろう洗練された古き良きロックソングを多数収録。あのバンドのこの曲はここからインスピレーション得てるんだな~とうんうん言いながら聴くのは楽しい。特に「I Got To Find My Baby」とかモロに「Yer Blues」のBメロです。実際彼らはカバーしてます。



1961年 「Blue Hawaii」-Elvis Presley

僕はこの映画を見たことがないのですが、「Can't Help Falling Love」のメロディアスかつ情緒的な雰囲気は大好きです。母がよく聴いててガキの時歌ってたのを覚えてます。
エルビス、時代に翻弄されて使い捨てられた悲劇の主人公というイメージがどうも拭えない。名曲が多いのはもちろんですが、本人が望まないミュージカル的、それも低品質な映画に多数出演させられ、「エルビスは終わった」と烙印を押され、挙句の果てにジョンレノンから「お前のレコードは一枚も持ってねえよ」と吐き捨てられる始末(冗談とはいえ)。そのあとは悪徳マネージャーの手に落ちどんどん落ちぶれ、肥満により死亡・・・。なんと辛い人生・・・。
好感が持てるのがエルビスはドラッグ賛美とも言えた60年代後半のロックの姿を嫌っていたということ。大御所がこういう態度を取っていたのはかなり意味があることだと思います。


1962年 「Bob Dylan」 -Bob Dylan

あかん、いよいよ1962年はなんも知らん・・・と本気で挫折しそうになったところで、そういえば俺ってディランのファースト好きだったよな・・・あれって確か1962年・・・??と思い出し、間一髪のところでセーフ。
デビューアルバムの時点でここまでアイデンティティを獲得しているのは凄い。政治的な一面はまだまだ影を潜めていますが、ギター、ハーモニカの腕前はもうこの時点で一流です。そしてこの素晴らしいしゃがれ声。ジョンレノンも影響受けるわけですね。
ギターで「感情」を表したのはディランが初めてだと思うのですが、どうでしょう。



1963年 「Surfin' USA」-The Beach Boys

他候補
「The Freewheeling Bob Dylan」-Bob Dylan
「In The Wind」-Peter Paul And Mary

ブリティッシュインベンションの片鱗が見え始めた1963年、当時一世を風靡していたサーフロックの代表バンド、ビーチボーイズの初期の傑作。
本当に聴いてて楽しいし、美しいコーラスでロックの荒々しさをマイルドにしていて聴きやすい。
このあと彼らはビートルズに脳を破壊されて芸術路線に移行しペットサウンズという世間的には最高傑作と呼ばれるアルバムをリリースするのですが僕は本作の路線のほうが好きなんですよね・・・。我関せずとサーフロックを追求してほしかったですが、それでは生き残れないんだろうなあ・・・。



1964年 「Kinks」-The Kinks

他候補
「The Rolling Stones」-The Rolling Stones
「Animals」-The Animals

ついにやってきた1964年。ブリティッシュインベンションが爆発した年。
その中の代表格の一つ、キンクスのデビューアルバム。
一曲目のチャックベリーのカバーからはっちゃけまくりで最高。「You Really Got Me」がもちろん人気で名曲のオーラをぷんぷん纏わせている至高の一曲ですが、3曲目の「Just Can't Go To Sleep」など他のオリジナル曲も見逃せない。
キンクス、四大ブリティッシュインベンションと呼ばれてる割にはビートルストーンフーと比べて影が薄い。その最たる原因はやはり「メンバー全員の名前がぱっと出てこない」ということな気がします。特にドラムのミックエイヴォリーの影の薄さは凄まじい。
ザフーのことはあまり知らなくてもキースムーンのことは知ってるよリンゴの息子にドラム教えた人でしょ??という人がいても珍しくないですがミックからはそういうエピソード的な話が一切ありません。
まあぶっちゃけ聴いててここのドラム凄いな!と思うこと正直一回もないかも・・・。何かあったら教えてください。



1965年 「My Generation」-The Who

他候補
「Out Of Our Heads」-The Rolling Stones
「Begin Here」-The Zombies
「Mr. Tambourine Man」-Byrds

キンクスの次はそりゃフーだろということで1965年からはザフーのデビューアルバム。
キースムーンの凄まじいドラミングはこの時点で健在。ミックスが悪いので聴き取りにくいですが、エントウィッスルも確かに存在感を放っています。
肝心の表題曲。大人たちは俺たちを見下してくる、ほっといてくれ、これは俺たちの世代の話・・・。当時の若者の代弁者を名乗るにおいて、ここまで適した曲はないでしょう。もちろん「I Can’t Explain」も忘れてはいけません。内に秘めた言葉に出来ない衝動。それこそまさしくロック。
ザフー、面白いのが一番影が薄いのがボーカルのロジャーという点。素晴らしいシンガーなのは確かなのですが、如何せん他メンバーの癖が強い。



1966年 「Fresh Cream」-Cream

他候補
「Blondy Blonde」-Bob Dylan
「Aftermath」-The Rolling Stones
「Face To Face」-The Kinks

サイケデリックロックが台頭し始め、難解な音楽が流行り始めた60年代中期、ギター、ベース、ドラムの3人のサウンドだけでデビューアルバムを作りそれを流行りのサイケデリックサウンドに昇華させヒットさせたのは彼らが天才集団だからでしょう。ジンジャーベイカー、ジャックブルース、そしてエリッククラプトンという最強のメンバーがたった2年とはいえ同じバンドとして活動していたという神の奇跡に僕のような凡人は感謝するしかないのです。
肝心の中身ですが、即興的かつメロディアス、衝動的かつ繊細で彼らにしか作れないサウンド。全体を通して好きなので一番好きな曲と言われても困りますがやはり「I Feel Free」の他とは一線を画したオーラにはやはり心掴まされます。



1967年 「The Piper At The Gates Of Down」-Pink Floyd

他候補
「Disraeli Gears」-Cream
「Axis:Bold As Love」-The Jimi Hendrix Experience
「Strange Days」-The Doors

シドバレットが唯一本格的に参加した最初で最後のアルバム。
これこそサイケデリック!と思わず唸りたくなる秀逸かつ洗練された曲の数々。デビューアルバムでこのセンスを発揮できた彼らはただものではありません。特に一曲目の「Astronomy Domino」の無線音声の入りは何度聴いてもワクワクします。
歌物も素晴らしいですが特筆すべきはやはり7曲目に突然放り込まれる長尺の「Interstellar Overdrive」。後のプログレサウンドの卵とも言える幻想的かつダイナミック、それでいて計算されつくした素晴らしいサウンドはまるで宇宙。
シドバレットはこのアルバムをリリースしてすぐLSDのやりすぎで精神に異常をきたしてしまいます。惜しいことしたなあ・・・。



1968年 「Electric Lady Land」-The Jimi Hendrix Experience

他候補
「Beggars Banquet」-The Rolling Stones
「Music From Big Pink」-The Band
「Waiting For The Sun」-The Doors

最近このアルバム、というかジミヘンのアルバムを聴くとき、「今回はギターだけでなく、曲単位でジミヘンを聴こう」という試みをやろうとするのですが、時間が経つにつれいつの間にかギターしか聴いてないことに気付き、「まただめだった・・・。」と肩を落とすというのを繰り返しています。本作だと、3曲目の「Crosstown Traffic」の頃にはギターに釘付けになってしまいます。かっこよすぎるよ・・・。
隠れたお気に入りはD面一曲目の「Still Raining, Still Dreaming」。歪な叫びのようなイントロのギターはまるでギターの産声。



1969年 「Green River」-Creedence Clearwater Revival

他候補
「Let It Breed」-The Rolling Stones
「In The Court Of The Crimson King」-King Crimson
「Tommy」-The Who
「Led Zeppelin Ⅱ」-Led Zeppelin
「Velvet Underground」-Velvet Underground

この年、ヤバすぎる。候補に書ききれない。「え、これも1969年なの?は?これも?」とずっと驚いてました。そしてもちろんアビーロードもありますからね。マジでヤバい。
もうこの頃には少し前まで一大ムーブメントだったサイケの波は落ち着き、ルーツロックへの回帰、初心忘るべからずみたいな流れが起こります。CCRはその流れの中の代表格で、本当に好きなバンドです。上の候補と10分くらい悩んで考えましたが、上に挙げたどのアルバムも「そのアーティストで一番好きという訳ではない」というわけで、CCRで一番好きな本作がふさわしいと思いピックアップ。
聴いてて故郷に帰りたくなるというか、車の中で口ずさみながら聴きたいアルバムです。収録時間は30分もなく短いですが、それが逆に気楽に聴けていいんですよね。
「Bad Moon Rising」が有名ですし僕も大好きですが、8曲目の「Sinister Purpose」のような少しブルース色強めの曲も彼らにやらせたら敵なし。
そしてなによりジョンフォガティの素晴らしい声。僕の中でジョンレノン、リアムギャラガー、ボブディラン、ジョンフォガティがロックシンガーの声だと四天王かも。やっぱり僕はしゃがれ声が好きだ。


まとめ
60年代ではロックがオワコン化→ディランとレノンマッカートニーによりロックが再定義され完全復活→サイケとドラッグ賛美→芸術作品としてアルバムを聴く姿勢の一般化→ルーツロックへの回帰、ジャンルの多彩化、そしてプログレ全盛期へ・・・と目まぐるしく変わるロックの形に翻弄されるアーティストの様子を楽しむことが出来ます。

しかしその中でも一貫している姿勢は「アンチ戦争、差別」「自由への憧れ」です。

これまでより世界はよりグローバルになり自らの叫びを具体化する手段も増えた。その一つにロックがあったのです。
第二次世界大戦を知らない40年代生まれの若者たちが挙って騒々しい音楽に乗せ自由を叫んでいたことは当時の世論を反戦、反差別に傾けるには十分な力を持っていたに違いありません。そんな60年代のロックの形を僕は愛しています。

次は80年代。気合い入れて書くのでよろしくお願いします。

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