すごいご機嫌な紅茶をもらった話
■ワーーーーーーー!!!文章を書くぞ!!!!!
■ワーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!
■文章は良いな、大人が大声を出しても引かれないから。
■現実世界の「大人の大声」ってメッチャ怖いので。普通にやめてほしい。
20代OLです。
■先日、仲良くしてくれている女の子からプレゼントが届いた。
■その子は絵を描く子で、私をイメージしたターコイズブルーの海の絵と、黄色い靴下と、ラッピング用の包装紙と、紅茶を送ってくれた。
■生きていて、自分の為に描かれた絵をもらうことってなかなかない。というか人生初かもしれない。私の為だけに使われた時間と絵の具とキャンパスがこの世にある。嬉しい。さっそく絵を壁に飾り、眺めながらいただいた紅茶を飲むことにした。
■お湯をわかして、ティーパックを入れたマグカップにとぷとぷ注ぐ。オレンジの香りが広がる。あったけぇ。あったけぇしうまい。
■なんていう銘柄だろう?ティーパックが入っていた箱に、原材料が書いてあるはずだ。紅茶をすすりながら、箱を改めて見てみた。
・・・?
■様子がおかしい。
■普通こういうとこには、「〇〇産のオレンジを使用しており、柑橘の芳醇な香りが楽しめます、美味しい淹れ方は~」とかが書いてあるんじゃないのか?
■「説明書きを読むモード」の脳を一度取っ払わないと内容が入ってこない。もう一度よく読んでみた。
こんな気持ち初めてよォッ・・・ええ?なんて言いながら、あなたとお茶したいオランジェな午後、すっかりわずらわしいこと忘れて、おいしい紅茶を飲みたい、そして、二人でずっと一緒にいたい。紅茶の人生だけど”よろしく”なんてムレスナさん、少し特別な午後を迎えています。本当においしい紅茶がそこにあるから・・・さらにムレスナティーだよォねェッ‼
■なるほど、これは俗にいう「飛ばしている」文章だ。
■もう少し子供だった頃の自分なら、「ちょwwww何いってんのこの人ワケわかんねwwwww」の一言で片づけてしまったかもしれない。
■しかし、こちらもだてに20数年生きていない。仕事をしていく中で頭のネジのない人や、理解できない事柄もそれなりに見てきた。
■そうやって大人の階段を上ってきた私は、この飛ばしまくりな文章を目にしたとき、「一旦事情を聞かせてくれ」という気持ちになった。
■それにしてもなんだろうこの文章は。見たことのない文章だ。
■このムレスナさんと名乗る人物の文章が奏でる独特なリズム。形式にはまらない、コンテンポラリーダンスのような、変拍子で展開しまくる難解なジャズのような文章。書こうと思って書けるものではない。慣れない奴が、あえて、そういうものを書こうと、したら、リズムが、変に、なっちゃってェ、このザ、マになっちゃう、よォねェッ‼ええ?!
■私はすっかりムレスナさんなる人物のことが気になってしまった。箱を回して別の面を見てみる。
パリに生きようと想っていた時もありました、そしてロンドンにもお庭のあるテラスハウスで生活しようとも想っていました、さらにヴェネチアでパスタのお店をひらこうとも考えていました、でも、今、日本にいます・・・ええ?そう、私は私なのです、日本が一番好きです。それでいいと思う、ムレスナさんもそんなこと思ったことがあったかな?だから、それでいいんだよねェッ、ジャーン ムレスナさんバリバリ語録
■きた!!!!身の上話だ!!!!!
■ムレスナさんの生い立ち、ちょうど知りたいと思っていたところだ。まだ知り合って間もない私にどこまで教えてくれるの?ねェッ?!
■どうやらムレスナさんはヨーロッパが好きらしい。フランス、イギリス、イタリアへの移住を考えたことがあるそうだ。
■パスタの店をやろうと思っていた、と記述があることから、イタリアンレストランで修行をした経験があるのかもしれない。日本人が単独でパスタの本場ヴェネチアに渡り開業しようとしていたなんて、相当チャレンジングである。ひょっとして三ツ星レストランとかにいたのか…?飲食の道で独立を考えていた…?
でも、今、日本にいます・・・ええ?そう、私は私なのです、日本が一番好きです。
■・・・なぜだろう、ムレスナさんに「日本が好き」と言われると無性に嬉しくなってしまう。「よくぞこの地に残ってくれた」というこの安心感はなんなんだ。ムレスナさんが好きだと思うものに、きっと悪いものは1つもないんだろうなという謎の信頼感が芽生えてくる。どうしよう…これって…この気持ちって…
■いや待てそもそも日本人か?ムレスナって名字か?下の名前か?佐藤ムレスナ?山田ムレスナ?誰それ?
ムレスナさんもそんなこと思ったことがあったかな?
■前半のヨーロッパへの羨望を語るシーンでは「想った」という表記だったのが、ここでは「思った」に変わっている。「想った」という言葉のニュアンスから、ムレスナさんがかつて夢みた理想の生活の、絵本のようなキラキラしたイメージが伝わってくる。読み手にイメージを想起させるために、こういった巧みな使い分けをしているのかもしれない。
■ムレスナさんが意外とテクニシャンである可能性が出てきた。それか自分の文章を一回も読み直してないかのどっちかである。
それでいいんだよねェッ、ジャーン
■ジャーン
■この句読点も何もない ジャーン が、ムレスナさんの奏でる音楽のような文章を締めくくるオノマトペとして最高の仕事をしている。
■良い、良すぎる。協奏曲のフィナーレのシンバルのようなジャーン
■そうだよな、ここは ジャーン じゃないといけない。ボワワワンでもなくチャンチャンでもない、ビックリマークも句読点も何も要らない、いちばんムレスナさんらしいのは ジャーン だ。コンサートマスターは、キミなんだ!
■あとムレスナさんの特徴がわかってきた、特徴的な語尾の「ねェッ」は最初の文章にも使われていた。ムレスナさんっぽい文章を書きたければ、語尾をちょっとォだけ伸ばして、最後にシンバルを鳴らす、ことなのかもねェッ‼ジャーン
■ちなみに表紙にあたる真ん中の面はこちら。「キャラメルチックなパリにオレンジの香りを加えると…」と、一見まともな説明書のように見えるが、加えた結果は「ムレスナパリになってしまう」と、何の説明にもなっていないところがミソである。
■ムレスナさんの紅茶は、東京や名古屋にも取扱い店舗があり、大阪の梅田にはムレスナティーハウスという専門のカフェまであるそうだ。いつか行ってみないといけない。ムレスナさん本人に会えたりはしないのだろうか。
■このムレスナティーがきっかけで、私は最近紅茶にハマっている。
■もともとカフェイン中毒で毎朝コーヒーをぶち込まないとダメな体なんだけど、食後はコーヒーよりも紅茶のほうが、大忙しの臓器に優しく寄り添ってくれている感じがする。
■世界一かわいいガラスのティーポットもポチったんだ!!!!!世界一かわいいのでたくさんの人に見られるべき!!!!!お前は見られるべき!!!!!!!!
■どう見ても世界一かわいい。しかも形が入り組んでないので洗いやすい。
■見た目かわいい上に従順ときたもんだ。愛されるために生まれてきた物体。
■ムレスナさんの他の紅茶も、このガラスポットで飲んでみないとォッ、ねェッ‼
■ジャーン
■スッ(指揮棒をおろす音)
お先に失礼します。
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