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ものづくりにおけるヒトの価値

15年ほど前に某メーカーのPC製造工場を見学させていただきました。
見学コースではなく、現地現物で工場の方々にもインタビューして状況と改善活動についてご説明を受けてきました。

当時はソフトもハードも海外で製造するのが流行っていました。
ソフトウエア開発では「ニアショア」「オフショア」という言葉が流行っていました。

その工場では、某国で200人掛けて作っていた商品を、国内工場で10名ほどで生産できるようにした。

との記事が『月刊ものづくり』なる雑誌に載っていたのです。

当時の上司『ドイ、行くぞ』

ワイ『へ?』

上司『アポとって。見に行く』

んなアホな。そんな簡単に行くわけ。。

わい『こんちわ、わたくしドイです。あの記事見たんすけど行っていいすか?』

先方『準備いたします!』

まじ?!

そして飛行機乗って現地へ。


決して新しい工場ではなかった。
素人目に見てもまだ改善の余地あり。

正直にいうと、ガチで10人くらいしか生産ラインに居なかった。
ライン管理システムも内製で作ったらしい。

素晴らしい。
説明してくださった上位の方々もなんとか軌道に乗ったことを興奮気味に話してくれた。

そして何が失敗だったのか話してくれた。

当時の某国生産で200人もヒトが必要だったのは『恐ろしいほどの離職率』があったからだそうだ。少しでも難しいことはさせられない。

あなたは、このネジ締めるだけ
あなたは、ひっくり返すだけ

と1タスクのみにしないと仕事ができないうえに、入れ替えた時に教育もままならない。
そして、そのころから某国に人件費はどんどん上がっていっていた。
コスパが悪いということになったそうだ。

こぞって国内メーカーが某国に工場建てたんだけど、技術だけ盗まれて終わりましたよね。
だいぶ撤退が進んだと思う。
いまや日本より給料高いかもだ。

そんなこんなを乗り越えるためにこのメーカーさんは、国内最大手の生産方式を取り入れ直接指導してもらい現在の形まで漕ぎ着けたそうだ。

なるほど、通りで工場内が知ってる言葉だらけなわけだ。


時は現代、ここからは妄想だ。

この話を思い出すと、日本が一部分が某国みたいになってきたなと感じてきています。

作り手もユーザーも。
昔のやり方のまま『安く』が最優先になってクオリティが下がってきている。

このままでは、安い人材を雇い、安い仕事をやり易い方法でやってもらう未来が来る。
人材不足は変わらないけど、人手不足はなんとかなる。高齢者たくさんいるから。

そうなると、安いもの作るのにロボットやAIを使うより安いヒトに作らせた方が『安い』になってしまう。

格差って2分割なのかなと思ってたけど、どうやら3分割もあり得る。

匠の技術により、より一層人の価値が認められる作る人も使う人も高級な上段
AIやロボットにより、効率的にそれなりのクオリティが担保される中流の中段

そして、
技術よりも安いヒトを使って作る、安いものしか与えられない楽だけど下流の下段

そんな未来。



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