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未来を創る当事者に育むために

6月30日

指導主事をしていた時に、国から出される様々な文書や答申を必ず一読していた。もちろんそれは自分の「教育情報化」に関わるものだけではなく、それ以外のものもなるべくたくさん読むようにしていた。そして、自分に関わるものについては、読んだ中身をなるべく図式化し、自分の言葉で伝えられるようになるまでなんども読み込むようにしていた。


難しいことを難しいまま伝えるのではなく、シンプルに、わかりやすく伝えるためにはどうしたらいいか?常に思考はそういう風に流れていたように思う。

”2019年6月25日”この日は文部科学省、経済産業省という二つのところから、これからの日本の教育を左右するであろう重要な文書が出された。
文部科学省:新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)
経済産業省:「未来の教室」ビジョン 未来の教室とEdtech研究会第2次提言
どちらも、これからの教育の道筋を示す重要な文書になっている。
文部科学省の最終まとめには「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び」というビジョンが示され、Society5.0の時代、新時代に求められる教育のビジョンが書かれ、そのために必要な環境整備やビッグデータの活用、クラウド活用の積極的推進が謳われ、VRやARの教育利用まで触れている。ようやくここにきて、文房具として当たり前のように活用していくべきだ、という主張がなされている。「教育情報化推進法」も可決され、いよいよ各学校、自治体も進めざるを得ない状況になってきた。
経済産業省からのアプローチは第2次提言の中では3つの柱に集約された。


(1)学びのSTEAM化
(2)学びの自立化・個別最適化
(3)新しい学習基盤づくり

それぞれに9つの課題とアクションが整理された。経済産業省としては環境整備にも触れているが、学校で何をどう学ぶべきか?というところによりフォーカスされている。そして様々な実証結果から見えてきたことがまとめられている。

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さて、ではこれをどう現場で具現化していくか?関係省庁や国会で出された文書や提言、法律だが、最終的にエンドユーザである子どもたちに届けるのは先生たちの仕事である。
その中継地点として、教育委員会がいる。各自治体教育委員会は、これをどう読み解きローカライズしていくか、現場の先生たちにわかりやすく、地域にフィットさせながら浸透させていくか、ここが最初の関門だ。
そしてそれを受け取る学校管理職、教諭がどう理解し、明日からの授業に反映させていくのか。そもそも自分自身の教育観、指導法、価値観をどう変えていけるのか?


シンプルに言えば本気でアップデートできるのか?
では保護者はどうすればいいか?少なくとも関心を持ち、自分たちの思い描く「学校」というものさしで測るのではなく、これからの教育、学校について子どもたちや先生と話し、夢を語り、家庭でどんな風に声をかければいいか思考すればいいのではないか。


どんなに素晴らしい提言や文書も、最終的に子どもたちにとって意味のあるものでなければ、なんの価値もない。そのために関連企業も含め、教育委員会、学校、先生、保護者、社会全体が、これからの未来を創る当事者として子どもたちを育むために、どうあるべきか、何を変えればいいのか、自分に何ができるかを考える時がやってきている。

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