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学生さんの指導から学んだこと

僕は医療従事者で理学療法士という仕事をしているんですが、たまに学生さんの指導をするんですよ。
まだ現場に出たことがない学生さんに、患者さんの担当として2ヶ月間治療して、レポートを書いてもらって、その間の学生さんの指導を僕ら現場の人間が受け持つことがあるんですね。

これを「実習」と呼ぶんですけど、これが1ヶ月、2ヶ月、2ヶ月の合計5ヶ月やらないと学生さんって卒業できないんですよ。

この学生さんの実習ですが、めちゃめちゃ大変で、指導する現場の人間のことを「バイザー」と呼ぶんですが、このバイザーの言う通りにしないと、実習が簡単に落とされちゃうんですよ。

だから性格の悪いバイザーに当たった学生さんは最悪で、2ヶ月間ずっといじめられて過ごすことがあるんですね。

そんな恐怖の実習の指導者役に、僕は医療業界に入って間もない時期に任されたんですよ。

僕は学生の頃に、ひどいバイザーに3ヶ月間いじめられた経験があったので、自分が指導するときは「理不尽なことはしない」って決めて指導したんですね。

そのおかげで僕は学生さんから一番人気のあるバイザーだったんですよ。

いや、本当にすごかったんだから。
僕の治療時間の見学は、取り合いだったんだからね。

これを課長にこないだ言ったら「自分で言うんだねw」って言われちゃったけどね。

最近は誰も言ってくれないから、誰よりも自分で言うようにしています。

僕が学生さんへの指導で実際にやっていたことはシンプルで
・レポートの作成とか、治療内容については口を出さないから自分で考えて
・今日はやることは朝イチに教えて。それ以外のことでやりたいことが出てきたら、必ず僕に確認を取って
・何かトラブルがあったら、言ってね。言ってもらったことに対しては必ず守るから
・君が間違った時は指導者の問題だから、思いっきり楽しんでやってくれていいよ。ただし「やるな」って言ったことだけはやらないでね

たったこれだけ。
ね、シンプルでしょ。
普通のことなんですよ。

でも多くのバイザーってこれをやらないというか、できないんですよね。
僕をいじめたバイザーもそうでしたけど、みんな自分の考えを相手に押し付けちゃうんですよ。

「そう考えちゃうかぁ、うーん。本当にそうなの?これ違くないの?」

みたいに指導する人に言われたら、経験も知識も少ない学生さんからしたら

「あ、自分の考えは間違っているんだ」って思っちゃうから、次の日のレポートの内容が変わっちゃうんですよ。

それでバイザーの気にいる内容になるまで、修正していくから、結果バイザーの考えでうまったレポートになっちゃうんですよ。
そのレポートで発表をして、質疑応答でボロカスに言われると、バイザーからのフィードバックでは
「なんでちゃんと答えないの?全然ダメじゃん」みたいに言ってくるんですよ。

学生さんからしたら
「いやいや、お前の言う通りにしただろうが」って言いたくなりますよね。

あとはすぐに感情的になるバイザーが多いですね。
自分の思い通りにならないと
「なんでこうしないんだ!」とかね。

普通に怒鳴ってきます。
自制心が働かない猿かな?って思っちゃいますよね。

僕は怒鳴っているスタッフが病院内にいたら、いつも黙って、オムツをその人の顔面に投げつけてます。
オムツを顔面キャッチしたい方は、どうぞ、病院内で怒鳴ってみてください。
僕から顔面にオムツのプレゼントをしますよ。

僕は指導する時は
「僕は治療方法や考察については教える気ないから。そんなものは自分で考えてね。ただ患者さんや病院のスタッフとの向き合い方や、思考の仕方についてはきちんと教えていくね」

って言ってましたね。

治療方法とかは本とかで学べるんですが、社会に出たら、人間関係の方がはるかに大事なので、そこを僕は徹底的に学生さんに教えていましたね。
うまく人間関係築けないと、ちょっとしたことでミスも起こるし、何かあった時に問題視されたりしちゃうから、仕事がまともにできなくなっちゃうことがありますからね。
だからそこを徹底して指導していました。

あとは治療方法とか考察については、教えないって言っておきながら、見学に入ってくれた時にこっそり教えたり、治療の練習をさせたりしていましたね。
見学に来てくれた学生さんに

「今何か悩んでることありますか?レポートで困っていることがあるなら、それに沿った話を今日はしますよ。」
「何か見たい動作とかありますか?あるなら、それを見せながら今日やりますよ」
みたいにね。

実習最終日に、答え合わせっていう感じで、全部教えてましたね。
「こうやって書いてたけど、あれって本当はこうゆう方がいいと思うよ。だってこうゆう風にした方がこうなるでしょ。」

みたいに最後に教えてましたね。

ほら、優しいでしょ。
優しいんだから、僕。

だから一番人気だったんだって。

患者さんの見学に学生さんが来てくれた時も、患者さんから
「今までいろんな先生のもとで見学とかあったけど、こんなに親切な先生いないから。なんでも聞いたらいいよ」

って言われたんだから。

まぁそんな話はどうでもいいんんだけど、
僕が思う指導って、結果を全て受け入れることだと思うんですよね。

学生さんがうまくいかなかった時も、学生さんから「なんだこいつ」って思われるような指導をしてしまった時も、感謝された時も、そうゆう全部の結果をきちんと受け入れて責任を持つことが指導者の役割なんだろうな、って思うんですよ。

僕はいつも、関わったからには相手に幸せになってほしいと思っています。
それは患者さんだろうと、学生さんだろうと関係なくね。

だから学生さんを指導する、ってなった時も、その子らしさを最大限引き出す方法を考えながら、「あぁここに来て良かったな」って思ってもらえるような、伝え方って言うのをいつも意識していました。

だから
「思いっきり楽しんでいいよ。トラブったら守るからね」っていうスタンスで最初に伝えるんですよね。

で、僕が誰よりも楽しそうに患者さんと笑顔で仕事していたら、見ている学生さんも
「こんなに笑顔で楽しそうに仕事できるなんて、なんかいいな」って思ってくれそうじゃないですか。

医療従事者って、患者さんと言うお客さんを相手にしたサービス業なので、相手を考えることが仕事なんですよね。
だから相手を考えることができるような、指導の仕方を僕ら医療従事者はしなきゃいけないんだろうなって、思う今日この頃でした。

ちゃんちゃん。

Ps:僕は指導するよりも、美女からの指導を受けたいです。

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